屋根講座 超入門編(使用していない)

4,屋根講座 超入門編 目次 ・第1講 日本における「屋根」とは? ・第2講 屋根の「傾き」 ・第3講 屋根の「かたち」 ・第4講 屋根の「部位」 ・第5講 屋根材の「種類」 ・第6講 屋根材毎の「お手入れ方法」 (ページ内リンク1〜4) 第1講 日本における「屋根」とは? 1年365日の内、115日も雨が降る(2010年東京)「降雨大国」日本において、雨漏りから住宅を守るのに欠かせない存在が「屋根」です。 一般的に屋根は「陸屋根」と「傾斜(勾配)屋根」に分けられます。 簡単に言うと、屋根が傾いているかいないかの違いになります。 1,陸屋根(りくやね・ろくやね) フラットルーフと言われる、水勾配(みずこうばい)という水が流れるだけのわずかな傾斜を確保した、ほぼ平らな屋根の事をいいます。 簡単に言うとマンションやビルや学校の屋上のようなものです。陸屋根でも、もちろん雨漏りは防げますが、一般的に10年に1度の防水工事が必要になり、降雨大国「日本」の一般住宅には古くは存在しない屋根でしたが、経済発展や人口増加に伴い、狭い土地の有効利用や現在ではソーラーの設置面積の確保やメンテナンス性を優先する場合に、一般住宅でも積極的に採用されるケースがあります。 2,傾斜屋根(けいしゃやね)勾配屋根(こうばいやね) 降雨大国、日本の代表的な建築物の屋根は、茅葺き屋根や竪穴住居に見られるように傾いている屋根、傾斜屋根が多いです。亜寒帯の北海道から亜熱帯の沖縄まで、南北3000kmの日本列島は、世界の中でも稀な気候の変化の激しい国土です。四季の変化のなかで起こる高温多湿・台風・季節風・降雪は地域によって大きく異なります。その気候の多様さが地域独特の屋根形状や屋根材を生んできました。加えて「地震大国」でもある「日本の屋根」の役割はただ雨露を凌ぐ、雨仕舞(あまじまい)だけでなく、簡単に崩れたり、吹き飛んだりしない屋根が求められます。 【まとめ】 ・雨の多い日本では雨仕舞のより優れた傾斜屋根が多い。 ・気候変動の激しい日本では屋根のかたちと屋根材の組み合わせが重要。 第2講 屋根の「傾き」 一般的に傾斜屋根がどれくらい傾いているかを表すのは角度ではなく「勾配(こうばい)」と言います。直角三角形の「底辺」を10とした場合に「高さ」がいくつかで表します。例えば高さが4の時は、4寸勾配(よんすんこうばい)、6の時は6寸勾配(ろくすんこうばい)、10の時は10寸勾配(じゅっすんこうばい、かねこうばい)となります。 角度はそれぞれ、4寸勾配で約22°、6寸で31°、10寸で45°となります。緩い傾斜を緩勾配(かんこうばい)、急な傾斜を急勾配(きゅうこうばい)と言います。人が普通に歩けるのは6寸勾配までなので、それ以上の勾配の事を急勾配と呼んだりします。 6寸勾配より急な屋根の作業をするには「屋根足場」という特殊な足場が必要になります。屋根の勾配は、その地方の雨量、風速、積雪、地震、建物の意匠、屋根材により決められており、雨や積雪には急な勾配の方が適しています。また住宅地では、道路斜線・北側斜線等の法的制限もあります。 【まとめ】 ・屋根の傾きは色々な条件により決められている。 ・人が普通に歩けるのは6寸勾配まで。 第3講 屋根の「かたち」 ここで説明している「屋根」とは屋根自体、つまり骨組みとしての屋根の事です。実はこの「かたち」によって、工事価格が違ったり、防水性が高かったり、ソーラーに有利だったり、と色々な違いがあります。ですからまずは基本的な「かたち」を勉強していきましょう。 「かたち」は大きく分けると3つしかありません。 「切妻(きりづま)」「寄棟(よせむね)」「入母屋(いりもや)」のどれかに分類されます。 【切妻(きりづま)】 屋根の両端を垂直に切り落とした屋根。簡単に言うと本を伏せたような山形の形状をした屋根のかたちです。一番シンプルなかたち。 長所:工事価格が安い・雨漏りに強い・雪が積もりにくい・ソーラーに有利 短所:外壁保護にやや不利 【寄棟(よせむね)】 4方向に屋根を持ち、長方形の三角形の屋根2面と台形の屋根2面からなる。 長所:切妻よりも重厚なイメージ・外壁保護に有利 短所:小屋裏(屋根裏)の通気性確保にやや不利 【入母屋(いりもや)】 屋根の上半分が切妻、下半分が寄棟の複合屋根。 長所:寄棟よりも更に格式高いイメージ・切妻、寄棟の良いとこ取り 短所:雨仕舞の急所があり、工事に知識と技術が必要・比較的工事価格が高くなる 【まとめ】 ・屋根のかたちがシンプルであればある程、屋根にとっては有利な事が多い。 ・屋根のかたちが複雑になればなる程、知識と専門技術が必要になる。 第4講 屋根の「部位」 「部位」によって使用する瓦が違ったり、特殊な材料を使用したり、特別な防水処理が必要だったりします。そんな細かい事まで知らなくても、、、と思うかもしれませんが、正しい部位名での修理依頼は内容が確実に伝わります。また専門性がグンと上がる事で、「屋根に詳しい客」=「騙せない客」となり、悪徳業者からの自己防衛にもなります。 【軒、軒先(のき、のきさき)】 傾斜屋根の傾斜の一番下側の先端のこと。すべりだいの降り口にあたる場所。 【けらば、ケラバ、袖(そで)】 傾斜屋根の傾斜の横側の端のこと。すべりだいの持ち手にあたる場所。 【棟、陸棟、大棟(むね、ろくむね、おおむね)】 東西と南北のように、正反対の屋根面同士がつながっている時にできる、頂上部分のつなぎ目のこと。地面と平行で殆どの屋根の頂上にあたる部分。 【隅棟、降棟(すみむね、くだりむね)】 となりの屋根面同士が90度でつながっている時に、そのつなぎ目が山折りになっている部分のこと。傾斜のある棟の事。 【谷、本谷(たに、ほんだに)】 となりの屋根面同士が90度でつながっている時に、そのつなぎ目が谷折りになっている部分のこと。 【平壁、桁壁(ひらかべ、けたかべ)】 屋根と壁との境目で、地面と平行な部分のこと。 【流壁、降壁(ながれかべ、くだりかべ)】 屋根と壁との境目で、地面に対して傾斜している部分のこと。