皆さまは、ご自宅の屋根に乗っているものを何と呼びますか?
テレビなどでは、屋根に使う建材の総称として「瓦」という言葉を使い、「屋根瓦」「スレート瓦」「金属瓦」と言われていますよね。
ご相談いただく際も、「屋根瓦が割れていて…」「薄い瓦が乗っています…」といったお言葉を頂戴することが多いです。
ですがこれ、実は違うんです。本来屋根瓦は「屋根の瓦」という意味ですので、そのまま陶器瓦のことを指します。
では、屋根に使われるものの総称は何か?と言いますと、正確には【屋根材】と言います。
そんなのあんまり聞いた事ない?調べてもよく分からない?そもそも何がどう違うの!
ここでは、正直よく分からないそんなあなたに「屋根材」の基礎知識を5つに分けてわかりやすくご紹介いたします!
あなたのご自宅の屋根材はどれでしょう?
今回は4つに分類できない、現在あまり普及していない【その他】の屋根材をいくつかご紹介致します!
屋根材【その他】編
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厚型スレート・コンクリート瓦
セメントやコンクリートを瓦の形に固め、色を塗ったものです。コンクリート瓦やセメント瓦とも呼ばれますが、性質はほぼスレートと同じです。ですが、通常の瓦と見た目がそっくりなものがあり、瓦が割れてしまったと思いきや厚型スレートやコンクリート瓦だったという例は多くあります。
通常の瓦と比べて一枚の大きさがかなり違い、角部分の見た目や全体の色、裏面の色もよく見ると違います。
瓦と違って厚型スレート、コンクリート瓦は塗装で色を付けているだけ経年劣化で色が落ちて茶色くなってしまう事も特徴の一つ。屋根を葺いた当時の色とかなり違う場合は厚型スレートです。
厚型スレートは現在、製造していた会社が日本から撤退してしまった為、同じものを手に入れる事が難しくなっています。もし手に入ったとしてもかなりの高額になってしまう為、注意が必要です。
天然スレート
天然の粘板岩を薄く加工して作られた屋根材です。国内では宮城県石巻市でしか採れず、ほとんど輸入した粘板岩を使っています。その為材料費もかなり高価なのですが、意外と割れやすいので運搬に気をつけなくてはならなかったり、加工にもかなりの技術が必要な為に高級屋根材とされています。
日本ではあまり見かけない屋根材ではありますが、最近は住宅の高級化思考からか一般住宅でも天然スレートを選ばれる方が現れてきています。天然岩なので色が変わらず、耐熱性だけでなく耐寒性にも優れた屋根材です。
現在3.11で奇跡的に残った天然スレートが東京駅に使用されているので、気になった方は是非見に行かれてはいかがでしょう?
草木系屋根材
草木を屋根材としたもので、ちょっと大げさに言うと人類最初の屋根材とも言えます。草を使うか・木を使うかだけでなく、どの部分を使うか・厚さはどれだけかで名称が違うので、以下にてそれぞれご紹介します。
総じて耐久年数は40年程とされていて、水はけが良く通気性が高いので暑くなりにくくなっています。ただし、植物なので火には弱いという難点があります。
茅葺き(草)
日本昔ばなしの家を想像すると大半の方がこの屋根材を思い浮かべる程、有名な草木系屋根材の一つです。名前に「茅」とありますが、茅は屋根材や肥料に使われた植物の総称で、主にススキや稲藁、葦が使われています。ですが、夏頃に刈ったものを使うと水分が多くて腐ってしまうので、秋頃の枯れたものを春頃まで乾かして、耐久性を更に上げるために一度燻して使います。
稲を借り入れた後の藁や、十五夜あたりの時期に生い茂ったススキを有効活用していた模様。ですが、現在日本では茅葺き屋根を葺ける職人はかなり少なくなっています。西ヨーロッパでは富裕層の象徴として新築を茅葺き屋根にする方もいらっしゃるようで、日本の職人が研修で訪れるとか…。
檜皮葺き(木の皮)
木の皮の屋根材で、日本独自の伝統工法と言われています。使う木はヒノキやスギ等がありますが、代表的なものはヒノキ。ヒノキの場合は木を切り倒さないで皮を使用する為、木自体を切る必要が無く環境に優しいとされています。一坪に3000枚近くとかなりの量が必要ですが、厚さが1.5mmと薄い為屋根の丸みを表現でき、全体的に柔らかい雰囲気に仕上がります。北海道ではまさ屋根、とも言うそうです。
平安時代では貴族の私的な建物に使われていて、一時期は瓦より格式が高い屋根材になっていたそう。現在、厳島神社や出雲大社等で見る事ができ、最近では和歌山県の駅にも葺かれたそうです。ですが、十分に育ったヒノキが少なくなってきていたり、原皮師(もとかわし)と呼ばれるヒノキの皮を採取する職人が減少しているんだとか…。
板葺き(木の板)
木の薄い板の屋根材です。茅葺きと同じくらい古くからあり、古墳時代にはもう存在していたと言います。厚さは2mm〜3cmで、厚さによって名称が以下の様に異なります。ヒノキやサワラ、スギ、エノキといった筋目がよく通っていて削ぎやすく水に強い材木が使われます。その為、厚さの名称=使われる材木 ではありません。また、機械で切ったものよりも手作業で切ったものの方が長持ちとされています。
〈栩葺き〉
板葺の中で一番初めに生まれた、厚さが1cm~3cmと分厚い木の板です。木を玉伐り(分厚い輪切り状態に)して荒削りし、大きいハンマーと大割包丁でケーキの様に割り、そこから何度かに分けて薄く割っていって屋根材にします。分厚いとはいえ、直径約1m、厚さ約40cmから割り出されたものと考えると大変な作業ですよね。善光寺三門や光明寺二王門で見る事ができます。
〈木賊葺き〉
厚さが4〜7mmの板で、ちょうど栃葺きと杮葺きの間くらいの厚さ。分厚かった栃葺きが道具の進歩で薄く切れるようになり、飛鳥・奈良時代には木賊葺きが主流だったそうです。現在では修学院離宮客殿で見る事ができます。
〈杮(こけら)葺き〉
板葺の中で最も薄い板で、厚さが2〜3mmの物です。木賊葺きからさらに技術や道具が進歩し、薄くて扱いやすく作られるようになりました。栃葺き、木賊葺きでは分厚つくて自由な形が表現できない、といった難点が克服されたものになっています。鹿苑寺金閣や慈照寺銀閣で見ることができます。
※杮葺きの杮は果物の柿とよく似た漢字をしていますが、全く別な物で、こちらは木屑や木片と言う意味の漢字です。
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屋根材にはそれぞれ種類や特徴があり、使う道具も修理の仕方もがらっと違います。
その為、修理の時どの屋根材か?という事を初めに教えて頂ければ、
屋根屋さんも正しい点検や工事をスムーズにできます。
また、ご自宅の屋根材を知る事は悪徳業者への対策にもなり、屋根を守る事にも繋がります。
あなたの屋根材はこれでしたか?
「違う」、または「別な屋根材の事も知りたい」と言う方は下のリンクからどうぞ!
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入社三年目のしがない事務員『おにゃがわら』
事務したり現場お邪魔したりあっちこっち。
【趣味】 読書、昼寝、考察、夢の文章起こし
【目標】 文章構成力の上達。メシマズ回避
【最近】 ガトーショコラ調理でミス多発もおいしい奇跡。
【一言】 いやまじ美味しかった。…気をつけよ()
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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