今回も前回に引き続き【屋根のメンテナンスまとめ】として、スレート屋根編②(塗装工事)をお送りしたいと思います。
☑スレート屋根のメンテナンス工事(築10年~15年)
スレート屋根のメンテナンスとして一般的に知られているのは「塗装工事」が挙げられます。
しかしこの塗装工事、実は必ずしも実施しなければならないものではありません。
スレート屋根材の大手メーカー「ケイミュー(株)」はカタログにて「表面の色が薄くなった場合でも、屋根材としての基本性能(防水性など)には問題ありません」と明記されております。
※築約10年経過の屋根(コロニアルNEO)
では、なぜ屋根の塗装工事をするのでしょうか?これは大手ハウスメーカーにて新築住宅を購入された場合「有償メンテナンス工事を実施した場合、更に10年間の延長保証をする」ということで、屋根も塗装されるケースが多いと思われます。
築10年程度で外壁塗装のリフォームを実施するときには足場の設置が必要です。このときに一緒に「屋根も塗装したほうが、足場費用が掛からなくて済む」というのが最大のメリットです。
では実際に「屋根塗装」はどんな作業をするのかご覧にいれたいと思います。
☑まずは高圧洗浄で汚れをしっかり除去
長年に渡って家を守り続けてくれた屋根は、砂や埃、コケによる汚れが付着しています。まずはこれらをしっかりと洗い流すことが必要です。
こちらは洗浄前の状態です。
高圧洗浄中の様子です。洗浄を終えたところと洗浄前の差がハッキリご覧になれると思います。
洗浄を終え乾燥させた状態です。
☑必要に応じ屋根の補修を...
高圧洗浄を終えたら必要に応じて屋根の補修も行います。ここでは「棟板金の交換」をご覧に入れたいと思います。
まずは屋根の大棟の納まりがどのようになっているのかご覧ください。
大棟部分の板金(棟包)は、笠木(18×90)に対して釘を留め付け固定されております。笠木は防腐処理をされた木材が使われることが多いのですが、木材は外気温や湿度により伸縮する特性がございますので、長年に渡って伸縮を繰り返すと、板金留め付け用の釘は徐々に浮いてきてしまいます。
では、築約10年だとどれくらい釘が出てくるものなのか?こちらをご覧ください。
約10mm以上の浮きが見られます。ただしこの浮いた釘をそのまま打ち込んでも、なんの効果もありません。それは下地の材木が経年劣化によって腐食しているからです。
このような症状が見られた場合、下地の材木を新しいものへ交換し、同時に板金も新しいものへと交換をすることをお勧めします。
なお、この棟板金の交換の模様はこちらから詳しくご覧になれます。
☑修理を終えてからの塗装工事
ここからは、実際の屋根の塗装工事の模様をご覧に入れたいと思います。
まずは「下塗り(シーラー塗り)」と呼ばれる作業です。塗料の密着性を高めるための重要な工程です。
なお軒先側を塗る場合、弊社では塗料の飛散防止のためローラー等での作業は行っておらず、写真のよに刷毛塗りにて作業しております。なお、板金部は必要に応じて錆を落とすケレン作業の後、金属用シーラーの塗布を行います。
こちらがシーラー塗布前の塗布後の様子です。
シーラー塗布が完了したら、塗料の下塗りを行います。
スレート屋根材の重ね目(上下)と突きつけ部(左右)は刷毛塗りとし、しっかりと塗装をします。
下塗りが終わり、乾燥させてから上塗りを実施します。
上塗りが完了し、表面が完全に乾いた後で「縁切り」と呼ばれる作業を行い、屋根材の重ね部分の隙間を確保します。この作業を実施しないと雨漏りの原因となりますのでくれぐれもご注意ください。
☑まとめ
大切な住まいを末永く大切にするためのリフォーム工事ですが、同じ工事をなさるなら悪いところをそのままにするよりは、きちんと直して安心した方が良いと思いませんか?
そのためのポイントは
①事前に屋根の状態を必ず点検する。
②不具合や異常があれば適切な修理を行う。
③修理が必要な場合は、必ず専門業者に依頼する。
以上3つのポイントは必ず守っていただきたいことです。そして、必要な修理を終えてから塗装工事をすることこそ、本当の「良いリフォーム工事」となるのです。
☑次回は...
今回はスレート屋根材の10年~15年でのメンテナンス工事について投稿させていただきましたが、次回は「間違ったリフォーム工事」について実例を交えお話しさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
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屋根専門60年 石川商店
林 洋道(はやし ひろみち)です
【趣味】 旅行、F1観戦、F1チームのウェア集め、西部警察、ネコ
【特技】 洗車、タイヤ交換、他クルマのメンテナンス
【最近】 ゴールデンウィークどこへ行こうか考え中...
【出身地】 鳥取県米子市
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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