一軒家を建てる方必見!屋根の雨漏り対策「防水シート」を勝手に性能別ランキング化してみた

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実は、屋根材だけでは、雨漏りは防げません。

 

こんな事を言ってしまうと、屋根材メーカーさんに怒られそうですが事実です。

瓦でも、コロニアルでも、金属屋根材でも、シングルでもすべて同じです。

 

ではどうやって、雨漏りの防水をしているのかと言うと、

屋根材の下に 「ルーフィング」 と呼ばれる防水シートを貼ることで止水しています。

 

このルーフィングを誰が見ても分かるように、想定外の使用方法や、派手で分かりやすい試験を勝手にして、屋根の専門家である私たち石川商店が、勝手にランキングを作成しました。

 

試験したルーフィングは、アスファルトルーフィング工業会と透湿ルーフィング協会やOEM製造も併せた、16社の約100種類の商品のうち、10社35種類の商品です。

 

この内容は敢えて公開していなかったのですが、大手のリフォーム会社さんが参考にして、屋根の工事マニュアルを作成するなど、意外と役立つようなので、あらためてまとめました。

 

ルーフィングを変えるだけで、屋根材を変更するよりも安価で雨漏りに強い家になり、総合的な住宅の維持費を抑えることにつながります。

新築の戸建住宅を建てる時や屋根を含めたリフォームをする時の参考にして頂ければと思います。

(この記事は2015/10/19に投稿されたものを2017/6/7に再編集したものです)

 

そもそも屋根は2重構造で雨水を防いでいます

屋根の防水は、2つの防水層で出来ています。

屋根の防水の仕組み1

 

屋根を見た時に見えている表層部分で、一番はじめに雨を受けて防水するので、一次防水層と言います。

表層部分には、瓦、コロニアル、金属屋根材、シングルなどの「屋根材」があるので、

屋根材 = 一次防水層 となります。

 

屋根材を上下で互い違いに並べたり、上下の重なりを大きくしたりすることで、

なるべく一次防水層で雨水を中にいれない工夫をしていますが、

どの屋根材でも違いはあれど、雨水を完全に防ぐことは、ほぼ不可能です。

 

そこで、屋根材で防ぎきれなかった水に対して、雨水が家の内部に侵入しないように、

2回目の防水をしているのが、二次防水層です。

屋根材に隠れて見えませんが、屋根の下地に貼った「ルーフィング」という防水シートで防水しているので、

ルーフィング = 二次防水層 となります。

 

覚えておくべきルーフィングの種類は3つ

いろんな商品があるルーフィングですが、素材としては大きく分けるとこの3つに分類されます。

 

・アスファルトルーフィング940

・改質アスファルトルーフィング

・高分子系ルーフィング

 

一つ一つ説明していきますね。

 

アスファルトルーフィング940

基材にアスファルトを被覆し、表裏面に鉱物質粉末を付着させたもの。

わかりやすく言えば、アスファルトを染み込ませた紙です。

20151014_roofing_05-1

屋根の防水下地材としてJIS A 6005で規定されているので、基準の防水性能は保証されています。

どういった作りであれ家を瑕疵保証の対象にするための、最低限の防水性能をクリアしているもの。

他の種類に比べると安価でそれなりのルーフィング材です。

 

改質アスファルトルーフィング

アスファルトに合成ゴムや合成樹脂を混入して防水性能を向上させたもの。

さらに防水性能を高めるために、基材を複層にしたものや、粘着層を加えたものなどもあります。

つまり、アスファルトルーフィング940の「強化版」です。

日本で流通しているルーフィングのほとんどはアスファルト系のルーフィングで、940と改質のシェアは半々くらい。

 

20151014_roofing_05-2

 

高温に対してダレにくく、低温で割れにくく、この弾力があることで、釘穴止水性や耐久性により優れています。

性能規定としては、940以上の性能規定がJIS規格としては無いので、表記としては変わりませんが、

完全にアスファルトルーフィング940の上位互換と考えて頂ければ問題ありません。

 

高分子系ルーフィング

合成繊維などを基材にしたアスファルトを使用していないルーフィングです。

ヨーロッパで主流の透湿ルーフィングはこちらに分類されます。

ルーフィング(防水シート)種類2

アスファルト系のルーフィングと比べて、圧倒的に透湿性に優れています。

湿気は通しますが、もちろん屋根の防水基準もクリアしており、瑕疵保証の対象となります。

住宅の長寿命化を目指す日本において、徐々に注目度が高まっている商品です。

メーカーの通常の試験内容とは?

JIS A 6005で規定されている基準は、

単位面積あたりの質量、引張強さ、耐折り曲げ性、アスファルトの浸透状況、耐熱性において基準があります。

JIS A 6005

また、改質アスファルトルーフィングの性能の良さを計測するために、アスファルトルーフィング工業会が定めた規定には、JIS規格に、引裂強さ、釘穴シーリング性、寸法安定性を追加したり、既存の項目は合格基準を厳しくしたりした、改質アスファルトルーフィング下葺材規格(ARK−04S)があります。

改質アスファルトルーフィング下葺材規格(ARK−04S)

これらはいずれも、専用の計測機器を用いた強度試験で規定値をクリアする必要があります。

 

とは言え、その数値がどのくらいの強度があるのかなどの想像をするのは、すごく難しいですよね。

ハッキリ言って、僕にもよく分かりません(笑)

そこでみなさまに代わって、私たち屋根の専門家が、誰にも分かる形の強度試験をしましたのでご紹介します。

 

分かり難いメーカー試験をわかりやすくしてみた

釘穴シーリング性試験→ 水たまりにして釘を刺す

上述の「釘穴シーリング性」を検証するために、1m四方にカットしたルーフィングをたわませて貼り、2Lの水を入れ水たまりをつくり、

防水力テスト1

 

・ルーフィング固定用ホッチキスの針(タッカーステープル)(長さ1cm)

・コロニアル固定用の短い釘(長さ3cm)

・瓦固定用の長い釘(長さ7cm)

・その他固定用の長いビス(長さ7cm)

という、実際の屋根でもルーフィングに穴をあけている一般的なモノを刺していき、水が漏れるか漏れないか、という試験です。

判定は、

◎:漏らない

◯:少し漏る

△:漏る

✕ :ダダ漏れ

となります。

 

引張強さ→ 綱引きする

上述の「引張強さ」を検証するために、1.5cmの幅に切ったルーフィングを2人で切れるまで綱引きする試験です。

綱引きする

判定は、伸びた長さを計測しました。

 

引裂強さ試験→ 手でちぎる

上述の「引裂強さ」を検証するために、1m四方にカットしたルーフィングを手でちぎる試験です。

手でちぎる

縦からと横からの2通りでちぎり(長手方向と幅方向)、判定は、ちぎれたら✕です。

 

耐熱性試験→ ガスバーナーで炙る

上述の「耐熱性」を検証するために、ガスバーナーで炙る試験です。

ガスバーナーで炙る

 

石油製品であるアスファルトルーフィングは全て燃えるので、

940と改質からそれぞれ選んだ2商品のみ試験しました。

 

冷却スプレーで冷やす

上述の「耐熱性」とは反対に極端に冷やします。スポーツ選手の痛み止めで使うコールドスプレーで一気に凍らせます。

冷却スプレーで冷やす

 

940と改質からそれぞれ選んだ2商品のみ試験しました。

 

透湿性試験→ エアーガンで空気が抜けるか試す

透湿ルーフィングの湿気は通すが、雨水は通さないという性能を検証するために、水を張ったルーフィングの下から、エアーガンで空気を一気に送り込みます。

エアーガンで空気が抜けるか試す

 

泡だちが、空気が通っている証拠となります。

 

試験中の動画一覧

それでは、実際の試験動画をご紹介します。

尚、実験で登場する全ての商品は、通常使用においては問題がないことが証明されている商品です。

今回の実験は、1次防水や劣悪な環境や故意に破るなどの、想定外の使用方法であることをご理解の上、ご覧くださいませ。

 

テスト方法解説動画

 

種類別比較結果動画

 

綱引きする

 

手でちぎる

 

ガスバーナーで炙る

 

冷却スプレーで冷やす

 

エアーガンで空気が抜けるか試す

 

勝手にランキング!堂々たる性能一位は「カッパ100」

防水性

1位 日進 カッパ100

1位 田島 ライナールーフ(ホワイト)※廃盤商品

3位 KMEW ハイKCシート ※廃盤商品

 

ほぼ全てのルーフィングがルーフィング留め付け用の針に弱かったのですが、同率1位の2商品だけは、ピタッと止まりました。

 

耐久性

1位 田島 マスタールーフィング

2位 日進 カッパ100

3位 日進 カッパルーフ2号

 

圧倒的な破れにくさと柔軟性で堂々の1位です。

 

透湿性

1位 デュポン タイベックルーフライナー

2位 ドルケン デルタフォックス

3位 ドルケン デルタベントS

 

タイベックは、空気の通りが圧倒的に良かったです。

 

総合結果

1位 日進 カッパ100

2位 田島 マスタールーフィング

3位 田島 ライナールーフホワイト※廃盤品

 

となりました。おめでとうございます。

 

 

性能良すぎも問題アリ? カッパ100の欠点

さて今回の石川商店での非公式実験で、性能が最も良いとして「日進 カッパ100」をご紹介いたしました。しかしこちら、1つ問題がございます。それは、「メンテナンス」における問題。

 

実はこちら釘穴シーリング性が高いのは良いのですが、年数が経つにつれ、その強力な粘着力でルーフィングと野地板、屋根材がしっかりくっついてしまうのです。

 

そうすると、万が一割れが発生してしまった場合の交換や、葺き替え(全交換)の際の作業が困難となってしまいます。

ですので、メンテナンス時の費用が高くなってしまう可能性があります。ルーフィング自体も高価なのに、メンテナンスでも高くなってしまうのは避けたいですよね。

では2位のマスタールーフィングはどうか?と言いますとこちらも同じ症状が懸念されます。

そのため、「ルーフィングとしての性能」「メンテナンス性」「経済性」を考慮した上で最もオススメなのは

 

「田島 ライナールーフホワイト」です

 

…え?廃盤品じゃないかって?

そうなんです。

 

ですが、こちらただ無くなった訳ではなく、性能改善されて

「ニューライナールーフ」として現在使われております。

こちら、名前は変わりますが同じものが大手ハウスメーカーでも使われており、弊社でもよく使用しております。

 

石川商店のおすすめは『ニューライナールーフィング』

アスファルトルーフィング940と改質アスファルトルーフィング、及び透湿ルーフィングの違いが、

目に見えてお分かりいただけましたでしょうか?

 

私たちも分かってはいるものの、実際にやってみると、

・改質アスファルトルーフィングでも、明らかな下位商品と上位商品とで別れる

・ビスには意外と強い

など、色々な知見を得ることができました。

また、アスファルトルーフィング940製品も予想以上に…破けやすかったです…

 

透湿ルーフィングに関しては、まだまだ商品テスト数が少なかったので、

次回以降の検証課題としていきたいと思いますので、今後の発表にご期待ください!

 

ルーフィングを変えるだけで、屋根材を変更するよりも安価で雨漏りに強い家になり、

総合的な住宅の維持費を抑えることにつながります。

注文住宅でまさに家を建てようと打ち合わせ中!というあなたは、次の打ち合わせの時に、

ご紹介したルーフィングへの変更をお願いすると良いかもしれませんね。

今回の実験以外でもおすすめのルーフィングはございます。

折角のマイホームで雨漏りだけはイヤ!というあなたに、

少しでも役立つ情報をこれからも検証し、発信していきますね。

 

 

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昭和二十六年創業。屋根に関する製造・販売・工事の全てを経験。
屋根専門石川商店の三代目、1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】  ワンピース(マンガ)
【目標】  瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 しぶといなぁ、、、
【困り事】 寝ても寝ても眠い病
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com


 

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