「粘土瓦」、「陶器瓦」という言葉を聞いたことはあるけれど、違いは分からない! という方はいませんか。
実は、両者は同じもの。
粘土瓦とは瓦全般を指しています。その一種に、陶器瓦があります。
粘土瓦は、
【陶器瓦】…釉薬をかけることで、色を出したり、保護性能をより強くしたりする瓦。お茶碗やお皿によく使われる。別名、釉薬瓦。
【いぶし瓦】…釉薬をかけず、いぶして作る瓦。
【素焼き】…釉薬をかけず、焼いて作る瓦。
の三つに分けられます。
これらの素材はすべて粘土。同じ素材でも製法によって、上記のように分類されています。
皆さんはインターネットなどで、金属瓦やスレート瓦といった言葉を見かけたことはありませんか? これは、屋根の専門家からしてみるとおかしな話。
本来、瓦とは粘土からできたもの。素材が違うのに瓦と表現するのはおかしいです。
なぜ、このように表現されているのか?
大半の日本人は、「屋根材=瓦」という認識を持っています。
そのため、「屋根材である」ことを伝えるために、「○○瓦」と表現しているのです。
しかしJIS(日本工業規格)でも、瓦は粘土から作られたものと定義しています。
これは世界共通です。
瓦は英語で、clay roof tile。土のタイルという意味です。 アスファルトシングルなど、土以外でできた屋根材に関しては「clay」という単語は使われません。
日本の金属瓦のような言葉を、英語に直訳すると、metal clay roof tile。これではmetalなのかclayなのかよく分かりません。そのため、「金属瓦」、「スレート瓦」ではなく、「金属屋根材」、「スレート屋根材」というのが正解です。
しかし、この事実を知っているのは瓦業界などほんの一部の人間だけ。
ある大手電機メーカーが、日経新聞の一面に「瓦屋根の点検もお任せください!」と、どう見てもセメント屋根材にしか見えない広告を打ち出し、「これは瓦ではない!」と瓦業界の人たちがメーカーに抗議したという事件も起こりました。
分かりづらいかも知れませんが、「屋根の上に乗っているもの=瓦」ではありません。
瓦とは粘土からできているもの。
そして粘土瓦は、陶器瓦、いぶし瓦、素焼きと製法によって種類が分かれている。
今回はこのことを理解してくださいね。
次回は、「瓦の“役物”って何?」についてお話しいたします。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜昭和二十六年創業。屋根に関する製造・販売・工事の全てを経験。
屋根専門石川商店の三代目、1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 なんだか断りそうだな、、、
【困り事】 寝ても寝ても眠い病
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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