理想の家といわれて、皆さんはどのような家を想像しますか?
家族団らんができるリビング、清潔なキッチン、子供が自由に遊べるガーデンなどを思い浮かべるかもしれません。
では、新築で建てた家の30年後、50年後、100年後はどうなっているでしょうか?
新築当時の輝きをいまだに保っている? それとも、もう目も当てられないような有様でしょうか?
私は個人的に、「理想の家を建てる」ことよりも「理想の家を建てて維持すること」が大切だと思っています。
たった30年で建て替えようと思って、家を購入する人はいません。
それどころか、一軒家を購入する人のほとんどは、一度建てれば30~40年は何もしなくていいと思い込んでいます。しかし、それは大きな間違いです。
例えば、マンションを購入すると、毎月管理費を支払うことになります。
管理費は壁の塗り替えや屋上の防水などマンションを長持ちさせるためのメンテナンス費用として積み立てられます。
建てた瞬間から、数年後のリフォームまで計画して、住人全員でその費用をまかなっていくというのがマンションのシステムです。
対して、一軒家はどうでしょうか。
まず「メンテナンス費用がかかります」という売り方をしている家は一軒もありません。
何故かというと、日本人の多くは、一軒家を買うことがゴールになっています。
一度購入したら、自分が生きている間は何もしなくていい。 そういう勘違いをしている人が多いのです。
建築会社も、「将来のために、メンテナンス費用を貯めといた方がいいですよ」なんてアドバイスはしてくれません。
そのカスタマイズをすると、子供達の世代は家に住んでくれなくなるかもしれないのに、そのことを親身になって教えてくれる人はほとんどいません。
お客様の仰せの通り。
その方が、建築会社はカスタマイズ費用分も売上を立てられるため、得だからです。
このことを前提に、私が皆さんに「理想の家を建て続けるため」にして欲しいことは二つ。
一つ目が、もっと駆体(骨組み)部分を重視して欲しいということ。
二つ目は、長持ちする外装材を使って欲しい、ということです。
一つ目に関してですが、柱や壁、屋根など駆体と呼ばれる骨組み部分は、建築費用の約3割を占めています。
全体の建築費用が5000万円だとして、約1500万円。
ここが1割でも2割でも減らせれば、150~300万円近くの費用削減になります。
そのため、なるべくこの部分の費用を削ろうと、建築会社は強度計算ギリギリまで柱を細くするなど工夫します。
でも、その結果、せっかく高いお金を出して買ったはずの家なのに、実は安い部材を使われて、すぐぼろぼろになってしまうのです。
二つ目も、長持ちしない塗装材を使ってしまうと、数年後、見た目が汚くなってしまったり、ダサくなったりしてしまいます。
そうなると、その家を好きになれず、住む気が失せます。
それを防ぐため、塗装材ではなく、見た目が劣化しない、長持ちする外装材を利用して欲しいのです。
冒頭でも述べました通り、家を買うことがゴールの人たちには「メンテナンスが必要」という考えがありません。
メンテナンス費用を積み立てていないので、古くなっても放置。
その結果、老朽化が進み、子供達も住みたがらなくなり、せっかく建てた理想の家が30年ぐらいで取り壊されてしまうのです。
家を購入する人の多くは、キッチンやお風呂、トイレ、洗面所などの水回りを重視し、お金をかけます。女性が毎日の暮らしの中で使うモノなので、こだわりたい方は多いでしょう。
現実に、そういった給排水設備が占める費用の割合は、駆体(骨組み)工事に次いで多い、約15%となっています。
でも、それらの箇所にものすごくお金をかけたとしても、結局、20年後にまた新しい設備が登場して、総取り替えという可能性も高いです。
対して、柱や屋根などの駆体(骨組み)部分は、全交換が難しいです。なので、最初に長持ちする良質なモノを選んだ方がいいと思います。
新築当初は「理想の家」だったのに、数年後には「不要な家」になってしまった、という例は枚挙にいとまがありません。
これから家を建てる方には、ぜひ理想の家を「建てる」ことだけでなく「建てて維持する」ことにも意識を向けて欲しいと思います。
次回は、「屋根屋さんが今後取り組んでいきたいこと」についてお話しいたします。
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屋根専門石川商店の三代目、1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 なんだか断りそうだな、、、
【困り事】 寝ても寝ても眠い病
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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