第74回「現代の家の特徴」、第75回「理想の家を建てるには」において、現代の日本建築の課題についてお話しました。 その中、屋根屋は今後どのような未来を目指していくのか。
私の究極の目標は、「日本全国に昔ながらの美しい町並みを再現させること」です。
川越の蔵造りの町並み、倉敷の美観地区、伊勢神宮のおかげ横丁など昔ながらの和風建築ばかりのエリアがあります。
これらは、そこ自体が観光地。
美しい町並みや風景、感覚などを求めて、国内外問わず、大勢の方が訪れます。
日本全国そうなればいい!
一屋根職人の勝手な意見ではありますが、もし「一般建築でも瓦の屋根しか認めない」となれば、あっという間に日本のどこかしこも観光地になります。
しかも瓦は長持ちする素材。重いため、柱を太くする必要がありますが、その分頑丈な家が建ちます。
奈良や京都には「5階建てまでしか建ててはいけない」「屋根や壁はこの色でないといけない」などの規制があるエリアがあります。 ただ、そこでも「屋根が瓦でないといけない」という規制はありません。
一番近いのが「グレーの屋根でないといけない」というもの。 この場合、グレーでしたら、金属の軽い屋根でもOK。
しかし、それでは長持ちする家が建たない可能性が出てきますし、数年に一度、塗り直す必要があります。
瓦は長持ちしますし、塗装の必要もありません。そのため、総メンテナンス費用を安く抑えられます。
一部の設計士さんによると、瓦を選ばない理由はないそうです。 それなので、普通に「瓦は良いものである」ということさえもっと伝われば、瓦を選択する人はどんどん増えていくと思います。 これは情報発信ができていない業界側の問題。 弊社でも、一般の方に少しでも瓦の良さを知ってもらおうと、瓦割りなどのイベントを開催しています。
瓦割り道場:http://riverstone-roofing.com/test2020/kawarawari/
京都や奈良に行っても、写真やテレビで見た、あの日本風景を見ないことには訪れた気になりません。そして、あの日本風景に大きく貢献しているのが、お寺の銀色の屋根。瓦屋根です。
今、神社・仏閣が流行しています。 やはり日本人の多くは、日本の昔ながらの原風景、心のふるさとを良く思う気持ちがあるのでしょう。 その気持ちを一人でも多くの人が持ち、増やしていこうと思ってくれれば、きっと日本は変わっていきます。
すぐに実現するのは難しいですが、自治体や商店街など、小さな単位からコツコツと頑張っていきたいと思います。
次回は、「“瓦”の定義は世界中どこでも一緒なの?」についてお話しいたします。
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屋根専門石川商店の三代目、1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 なんだか断りそうだな、、、
【困り事】 寝ても寝ても眠い病
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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