8月に入って、夏休みを迎える方も多いのではないでしょうか?
遊園地、ショッピングモール、海、山など色々な観光スポットがありますが、私のおすすめは「お城」。
立派な城郭、美しい庭園、歴史を感じさせる展示物など見どころがたくさんあるお城ですが、ぜひ屋根にも注目してください!
今回は、お城を10倍楽しめる「お城の屋根の見どころ」を紹介します。
お城の屋根の特徴は、お寺と同様「瓦のサイズが大きい」ことです。
お城やお寺の屋根は、威風堂々とした品格を失わないよう、見た目を最優先に造られています。
特に、地面から高く、遠いところにあるお城の屋根は、見上げた時に迫力や屋根の立体感を感じられるよう、一般住宅の瓦4枚分など、ものすごく大きな瓦を使っています。
もし間近に見るチャンスがありましたら、ぜひ瓦の大きさもチェックしてみてください。
基本的に、お城の屋根は瓦屋根です。
戦国時代に最も恐れられていたのが「火」。火事に遭って燃えてしまったら、人々は籠城できません。
もともとお城は戦争の拠点。君主を守る砦です。防御に強く、守りに適している必要があります。
そのため、お城の屋根には燃えにくい素材である瓦が使われていました。
しかし、瓦以外の屋根材を使っているお城もあります。例えば、「金沢城」です。
金沢城の屋根は、下地の木材を瓦のような形状にしてその上に鉛版を張り付けています。
これは「鉛瓦葺き」と呼ばれる工法で、江戸城にも使われています。
(写真は金沢城公園ホームページから引用)
金沢城以外にも、瓦以外の屋根材を使っているお城があります。その一つが、「名古屋城」です。
名古屋城の瓦はなぜ緑色なのか? と疑問を覚えた方もいると思います。
それは名古屋城は瓦ではなく、銅板葺きだから。
銅板には、緑青(ろくしょう)と呼ばれる、銅が酸化することで生成される青緑色のさびが生じます。これが緑色の屋根の正体です。
さびが発生して大丈夫? と不安に思う方もいるかもしれませんが、心配無用です。
緑青は内部の腐食を防いでくれたり、抗菌作用があったりと屋根の強い味方なのです。
名古屋城以外にも、珍しい色の屋根を持つお城はまだあります。
例えば、白鷺城の愛称でも親しまれる「姫路城」。
その真っ白な姿形は“白すぎ城”なんて呼ばれて話題になりましたよね。
また福島県の会津若松にある「鶴ヶ城」の屋根は赤色です。
昔、瓦は焼きが甘く、一般的なお城に使われている黒瓦を寒い地域で使うと、「凍(い)てる」といって中の水分が凍ってしまい、瓦が割れてしまいました。そのため、東北や北陸地方では、釉薬と呼ばれる薬品を瓦の表面に塗ることで、強度を高めていました。含水率や吸水率を下げることで、凍害に強くしていたのです。
鶴ヶ城では、平成23年春に行われた改修にて、45年ぶりに赤瓦が使われるようになりました。
各地に存在するお城。その屋根の面白さも、感じていただけたでしょうか。
次にお城を訪れる際は、全体の雰囲気だけでなく、屋根もしっかり堪能してきてくださいね。
次回は、「良い家の材料とは?」についてお話しいたします。
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屋根専門石川商店の三代目、1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 なんだか断りそうだな、、、
【困り事】 寝ても寝ても眠い病
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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