アスベスト屋根材を解体するにはどうすればいい?

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ー教えて屋根屋さん! 第120回ー

 

10年以上前に世間を騒がせた「アスベスト(石綿)」。
皆さん、覚えていますか?
ニュースでは報道されなくなりましたが、まだまだアスベストを含む屋根材は残っています。
ここでは、そんなアスベスト屋根材に関する疑問に回答します!

 

◆アスベストとは
そもそもアスベストとは一体何なのでしょうか?
アスベストとは、鉱物から採取できる天然繊維のこと。
主なものとして、蛇紋石(じゃもんせき)族のクリソタイル、角閃石(かくせんせき)族のアモサイトなどが挙げられます。
アスベストは、すごく硬くて、強く、切れにくいうえ、熱にも強いともてはやされ、屋根材に含有されるようになりました。

 

◆アスベストの現状
現在、アスベストの使用は禁止されています。
厳密にいうと、0.1%以下なら許されますが、それ以上はすべて厳禁。
今は使われていないと考えてもらって結構です。

 

◆アスベストが危険な理由
アスベストって危険で怖い! と思っている人も多いかもしれません。
しかし、アスベストは空気中に飛散し、人体に入り込むと危険ですが、ただ製品に含有されているだけでは何の危険ももたらしません

 

アスベストが人体に影響を及ぼす可能性があるのは、解体するとき
そのとき、粉じんになり、飛散してしまうのです。
もし密室でアスベスト含有製品を解体するとなると、アスベストがふわふわと舞い、作業者はそれを吸い込んでしまいます。
アスベストは排出できないくらい、細かくて軽い繊維なので、肺の病気になる可能性もあるのです。

 

◆アスベスト含有屋根材の撤去は危険なの?
では、アスベスト含有屋根材はどうなのでしょうか?
先ほども申し上げましたとおり、アスベストは飛散しない限り、人体には影響しませんので、屋根の上にあるだけならほぼ無害です。

 

問題は、撤去時。

 

解体するときにはルールがありまして、人体の影響度によって、危険指数が設置されています。
以下、そのルールを簡単に説明しています。

 

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レベル1 危険度:★★★

 

具体的な工事内容:
・石綿とセメントの合剤を吹き付けている梁(はり)や柱などの解体
・石綿とセメントの合剤を吹き付けている天井や壁などの解体

 

対策:発じん量が多いため、防じんマスク、保護衣などの着用が必須!

 

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レベル2 危険度★★

 

具体的な工事内容:
・石綿保温材が張り付いているボイラおよびその配管、または空調ダクトの解体
・石綿耐火被覆板、石綿含有けい酸カルシウム板第二種が張り付いているはり、柱、壁などの解体
・屋根用折版裏断熱材、煙突用断熱材の撤去

 

対策:比重は小さいが、発じんしやすい製品のため、ある程度の防止対策が必要

 

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レベル3 危険度★

 

具体的な工事内容:
・石綿含有成形板、ビニル床タイルなどが張り付いている天井、壁、床などの解体
石綿スレートなどを用いた屋根材の撤去

 

対策:発じん性は低いですが、一応防じんマスクはしておきましょう

 

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大ざっぱにいうとこんな感じです。
そして、皆さんが関わるアスベスト含有屋根材の撤去はレベル3。
屋根工事は青空の下行われるため、一番危険性は低いのです。

 

◆今後、アスベスト含有屋根材はどうなる?
重量に対して1%を超える石綿含有建材、摩擦材、接着剤など10品目が使用禁止になったのが2004年(平成16年)。
今から12年前。ということは、築15年以上の家の場合、まだアスベスト含有屋根材を利用している可能性があります。

 

先ほど申し上げたとおり、アスベスト含有屋根材が屋根の上に乗っかっているからといって、人体に影響を与えることはほぼありません。
しかし、唯一の問題点は、産廃費用(撤去費)が非常に高額なこと
アスベスト含有屋根材と、非含有屋根材では、2~5倍ほど違います
非含有材の場合10万円の解体費用も、アスベストを含有しているだけで50万円になることもあるのです。

 

これは梱包を二重にしなくてはならなかったり、処分場でも手立てがないため埋め立てするしかなく処分費がかかったりするためです。
要するに、処分業者からしてみれも、アスベスト含有屋根材はやっかいな代物なのです

 

費用が高いため、今人気なのがカバー工法。
すでにあるスレート屋根材の上に、新しい屋根材を重ねる工法です。
(カバー工法についての詳しい説明は「屋根のカバー工法って流行ってるらしいけど実際どうなの?」をご覧ください)

 

といってもカバー工法はただ上から屋根材を重ねるだけですので、いつかは解体費用を支払う必要が出てきます。
そのときは、もっと値段が高騰している可能性だってあります

 

そのようなリスクを回避したい方は、早めに手を打ったほうがいいかもしれませんね。

 

 

次回は、「屋根が割れていた!どう対処すればいい?」についてお話しいたします。

 

「教えて、屋根屋さん!」の連載記事の目次はこちら。

 

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創業75年、屋根専門石川商店の三代目。20141125_profile_01
石川弘樹(いしかわひろき)です。

【資格】  1級かわらぶき技能士
      瓦屋根工事技士
      全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士
      全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師
      耐震プランナー
      増改築相談員
      古民家鑑定士
      ホームインスペクター(住宅診断士)
      ジュニアリフォームソムリエ
      リフォームスタイリスト1級
      リフォーム提案士
      ライフスタイルプランナー
【趣味】  ワンピース(マンガ)
【目標】  2級建築士
      瓦割り世界大会初代チャンピオン
【ブーム】 ブラッククローバー
【困り事】 正月食べ過ぎて5kg増量

DIYで作った個人ブログはじめました。
37歳おっさんが残りの半生での日々のチャレンジを綴っています。
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  1. お名前 : 山野井  

    初めまして、教えていただきたい事があります。アスベスト入りスレート屋根を処理はともかく建物から取り外す事は個人でしても問題はないものなのでしょうか。又は届出が必要なのでしょうか。知りたい方が他にもいると思いますが?

  2. お名前 : 石川弘樹  

    山野井 さま
    石川商店の石川弘樹です。

    『石綿(アスベスト)取扱い作業従事者特別教育』というものを受講すれば、個人でも不可能ではありません。
    屋根に上る危険性、作業時の吸引飛散防止措置、剥がしたアスベスト材の処理、なども考慮すると、専門業者に依頼するのが無難かなとは思います。

    以上、参考になれば幸いです。

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