ー教えて屋根屋さん! 第122回ー
屋根瓦の漆喰の補修は素人でもできる?
屋根瓦の漆喰がぼろぼろになっている!
すぐに修理しなきゃ! でも、あのくらいだったら自分でなんとかなりそう……? と思う人もいるかもしれません。
実際、素人でも屋根瓦の漆喰の補修はできるものなのでしょうか?
DIYで瓦の漆喰を補修する際の3つの壁
屋根瓦の漆喰の補修は、屋根にさえ上れれば、自分でできないこともありません。
しかし、瓦の漆喰の補修を自分にするには、以下3つの壁を乗り越える必要があります。
1.道具を発見するのが難しい
屋根瓦の漆喰を自分たちで補修する際に、まず乗り越えなくてはならない壁の1つが「道具探し」です。
今やホームセンターにさまざまなDIY用品が並ぶ時代ですが、瓦の漆喰補修に必要な「鶴首(つるくび)」と呼ばれる道具は一般的なホームセンターでは売っていないことが多いです。
郊外にある普通よりも大きなホームセンターに行けば売っているかもしれませんが、自力で探すのは難しいと思います。
2.技術的にも難しい
鶴首が手に入ったとしても、ただ漆喰を上塗りしようとしていませんか? それはNGです。
残念ながら、ぼろぼろの下地の上に新しい漆喰を上塗りしてもすぐにはがれてしまいます。
そのため、まずは古い下地を一回撤去し、きれいに掃除してから、塗るようにしましょう。
そうしないと、新しい層がすぐに傷んでしまいます。
また漆喰を塗るときは、厚塗りにならないよう気をつけてください。
なぜなら、厚塗りしてしまうと、雨漏りする可能性が高まってしまうのです。
重ね塗りはNGです。
屋根のてっぺんのほうの瓦は棟瓦と呼ばれ、丸形の冠瓦や丸瓦、平べったいのし瓦などで構成されています。
棟瓦の役割は屋根の接合面にふたをすること。
冠瓦や丸瓦に落ちた雨水が、のし瓦をつたい、一般的な平瓦や桟瓦の上に移動することで雨漏りを防ぎます。
しかし、漆喰が厚塗りされていると、この機能が正常に作動されず、逆に内部に水を呼び込んでしまいます。
3.屋根の上での作業のため危険度が高い
「2.技術的にも難しい」でも書いたとおり、漆喰を塗り直すときは、ぼろぼろになった古い下地を一回撤去する必要があります。
その際、ごみや土が出てくるのですが、ほこりで瓦が滑りやすくなり、屋根の上で転ぶ確率が高くなります。
ただでさえ危険な屋根の上の作業ですが、通常時よりさらなる注意が必要です。
ケガしないよう細心の注意を払って作業するようにしてください。
瓦の漆喰補修はDIYよりプロに任せることがおすすめ!
以上、「DIYで瓦の漆喰を補修する際の3つの壁」でした。
一見簡単そうに見える、屋根瓦の漆喰補修ですが、素人がしようと思うとこれだけのハードルを乗り越えなくてはなりません。
最悪の場合、ケガや命に関わる危険性もありますので、必要と感じたときはプロに頼むようにしましょう。
また訪問営業の人に「お宅の漆喰はがれています! このまま放置しておくと、雨漏りしてしまいますよ!」と言われて、慌てて補修工事を依頼してしまう人がいますが、これは真っ赤なウソ。
時間の経過によって危険性は高まりますが、緊急で対処しなくてはならないわけではありません。
(漆喰がはがれ、土も流れ、中が空洞状態になっている場合は別ですが……)
中には「無料で対応します」と言って、古い下地を撤去することなく、新しい漆喰を厚塗りするという不要な工事をすることで雨漏りを誘発する業者もいます。
それを知ってか知らずか、数カ月後再訪し、「雨漏りしたんです」と相談を受けたのを良いことに、「もう古いから、全部葺き替えましょう」といって高額な料金を請求するケースもあります。
これは悪質な詐欺以外の何物でもありません。
そのため、屋根の訪問営業が来た場合は「あ、そう」と言って追い返すようにしましょう。
ただ漆喰が落ちてきたというのは、「そろそろ屋根メンテナンス時期である」というのは事実です。
そのため、漆喰補修の道具を所持している地元の瓦屋さん(屋根屋さんの場合、上塗りだけして終わるケースがほとんど。中には、鶴首などの専門の道具を持っておらず、弊社に借りに来る業者もいます)に依頼するようにしてくださいね。
次回は、「屋根の苔の取り方を教えて!」についてお話しいたします。
創業75年、屋根専門石川商店の三代目。
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【資格】 1級かわらぶき技能士
瓦屋根工事技士
全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士
全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師
耐震プランナー
増改築相談員
古民家鑑定士
ホームインスペクター(住宅診断士)
ジュニアリフォームソムリエ
リフォームスタイリスト1級
リフォーム提案士
ライフスタイルプランナー
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 2級建築士
瓦割り世界大会初代チャンピオン
【ブーム】 ブラッククローバー
【困り事】 正月食べ過ぎて5kg増量
DIYで作った個人ブログはじめました。
37歳おっさんが残りの半生での日々のチャレンジを綴っています。
http://hiroki-ishikawa.info
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