ー教えて屋根屋さん! 第130回ー
「瓦棒葺き」っていったい何?
瓦棒葺きという言葉を聞いたことはありますか?
名前だけみると、「下地に棒を使った瓦屋根なのかな?」と思いますよね。
ここでは、ナゾ(?)の瓦棒葺き屋根について説明します。
“瓦”とつくけど瓦じゃない!?
瓦棒葺き屋根は、“瓦”という文字はありますが、瓦屋根ではありません。
トタン屋根というと、波形のものか、50cm間隔で縦棒が入っている四角形のものを想像する人が多いと思いますが、後者が瓦棒葺き屋根です。
瓦棒葺き屋根
瓦棒葺き屋根は、金属屋根の全体的な特徴を備えています。
基本、つなぎ目が少ないため雨漏りに強く、一寸勾配(約5.9度)と呼ばれる緩やかな傾斜角度でも施工可能です。
また施工方法が比較的シンプルなため、工事しやすく、戦後は多くの家屋に用いられました。
瓦棒葺きに代わるNEWタイプの屋根が登場!?
しかし、現在瓦棒葺きは段々廃れてきています。
その代わりに、瓦棒葺き屋根を進化させた類似の金属屋根材が流行り出しています。
それが「縦ハゼ葺き(たてはぜぶき)」または「立平葺き(たてひらぶき)」と呼ばれるものです。
一般的な瓦棒葺き屋根には、心木となる棒(瓦棒)が入っています。
軒先から水を吸い上げてしまうと、その木が腐ってしまう。
それが最大の弱点でした。
瓦棒葺きは、この心木に全ての金属を固定しているため、ここが腐った状態で、強風にあおられたりすると、屋根がまるごと一面パコンとめくれてしまうのです。
そこで心木がない瓦棒葺き屋根を開発しようと、各メーカーが力を注ぎ、その結果、心木なしの瓦棒葺き屋根が誕生しました。
しかし、心木なしの瓦棒葺きは、金属同士のかみ合わせが難しく、普及しません。
その点をさらに改良した物が、縦ハゼ葺き(立平葺き)です。
縦ハゼ葺きの特徴
心木が5cmくらいある瓦棒葺きに対して、縦ハゼ葺きは1~2cm。
そのため、見た目がスタイリッシュです。
また瓦棒葺きは一寸勾配(約5.9度)から施工可能でしたが、縦ハゼ葺きは0.5寸勾配(約2.8度)から。
よりフラットに近い屋根が工事できます。
さらにソーラーパネルの利用者にも縦ハゼ葺きは人気を集めています。
というのも、縦ハゼ葺きは屋根に穴を空けることなく太陽光発電を設置できるのです。
そのため、従来の製品とは違い、止水工事をしなくても、雨漏りを未然に防ぐことができます。
縦ハゼ葺きは、雨漏りにも非常に強いのが特長ですが、とはいえ瓦棒葺き同様、軒先から水を吸い上げることがあります。
雨漏り対策を万全にしたいならば、ハゼ(隣り合う金属の屋根材を接合するためのつなぎ目)部分の止水措置にまで注意を払っているメーカーの製品を選択したほうがいいです。
このように、様々なメリットがあるため、いま縦ハゼ葺きは多くの人から支持されています。
価格は製品によりますが、約6000円/平米。
コロニアルやスレートに比べると1.2~1.5倍ほどですね。
金属屋根は塗装が必要になるので、耐候性(塗膜の表面の耐久力)の強いフッ素系の塗膜などを利用すると、もう少し高くなりますが、比較的短期間で工事できるので、初期費用だけでしたら驚くほど高額にはならないと思います。
変化していないようで、時代に応じて様々な進化を遂げている屋根。
ぜひ皆さんも、長い間愛用する物ですから、質の良い製品を選んでくださいね。
次回は、「金属屋根材の寿命とは? 金属屋根材の特徴を教えて!」についてお話しいたします。
創業75年、屋根専門石川商店の三代目。
1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 ブラッククローバー
【困り事】 正月食べ過ぎた
DIYで作った個人ブログはじめました。
37歳おっさんのチャレンジを綴っています。
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