ー教えて屋根屋さん! 第135回ー
庇って、必要なものなの?
窓の上にちょこんと乗っている庇(ひさし)。
デザイン的には可愛いけれど、本当に必要なの?と思う方も多いと思います。
今回は庇の目的、取り付ける時のポイントなどをお伝えします。
庇の役割とは?
あまりに単純でコンパクトな作りからそれほど重要ではないと考えられがちですが、実は庇には建物を守る大切な以下の役割があります。
1. 日よけ
夏の太陽は南の高いところに位置し、反対に冬は低いです。
冬は、正午のもっとも太陽が高い位置でも日射の角度はおよそ35度しかありません。
ですから、庇には夏の暑い日差しを遮って冬の温かい日差しを取り入れるという、四季のある日本に適した役目があります。
カーテンでも直射日光は遮断できますが、室内で日差しを遮るため熱がこもってしまいがちです。
2. 防雨
雨漏りしやすいところへの水の侵入や、窓に水が直接触れるのを防いだりするなど防波堤のような役割も果たしています。
3.雨音を防ぐ
雨が降った際の雨音が気になる……。
ある程度は仕方のないことですが、外壁や屋根に比べて窓ガラス、シャッターボックス、シャッターなどのガラスや貴金属は反響音をもたらすことがあるため気になるという方が多いです。時には安眠を妨害するほどの騒音になってしまい、隣家との騒音トラブルに発展してしまう可能性もあります。
窓やシャッター、雨戸の上に庇を設けることによってある程度防ぐことができます。
4.汚れを防ぐ
庇のない窓のサッシの端から下へ垂直に汚れによる黒いラインを目にしたことがあると思います。
これは、雨が降った時にサッシに溜まった砂埃が雨に混じって外壁沿いを流れることによって描かれた汚れ跡です。
庇には外壁、窓、サッシに水が直接触れることを防いで、汚れや劣化から守ってくれるというというメリットがあります。
また、窓に水垢がつくのを防止します。
設置する際の注意点
つける際にはしっかり設置しないと雨漏りの危険性が!
実は雨漏りのほとんどの原因が屋根からのものではなく、7(外壁):3(屋根)で外壁からの雨漏りの方が多いです。
主な原因として庇と外壁の取り合い部の施工不良、釘穴からの雨水の浸入が挙げられます。
このような場合、外壁より壁面内で起こることが多いので発見が困難な場合が多いです。
そして雨漏りをそのまま放置しておくと住宅の構造物が腐敗し外壁剥離、最悪 庇が落下してしまう恐れがあります。
雨漏りさせないためには……?
対策のひとつとして窓を内付けにするという方法があります。
海外では建物の窓は内付けが一般的ですが、事前に綿密な計画と計算が必要で正確な建築を求められるため、残念ながら日本ではあまり好まれません。
日本の住宅のほとんどの窓が、設置が早く簡単で大量生産に向いているという理由から外付けとなっています。
外付けの窓だとどうしても必ず水を受ける構造になってしまうので、もしも注文住宅などで建てる際に融通が利くようでな環境でしたら、窓を内付けにすることをおススメします。
ただし、窓を内付けにするのが難しいケースも多々あります。
その際は、塗料で窓枠をしっかりコーティングするなどして雨漏り対策をしましょう。
庇にも大切な役割が! ぜひ設置してあげましょう
最近は住宅デザインの洋風化、一戸あたりの敷地面積の狭さや居住面積を増やしたいといった理由から、庇がない家や屋根の出っ張りがかなり少ない家が流行っています。
ですが上述の通り、庇は四季があり高温多湿な日本の風土に適した多くの大切な役割があり、家を守ってくれています。そのため、できる限り庇はつけることをおススメします!
しかしきちんと設置しないと雨漏りの原因となってしまうことも……。
その点も考慮した上で、庇の取り扱いには気をつけてくださいね!
次回は、「下地材にも種類があるの? 屋根の下地の違いを教えて!」についてお話しいたします。
創業75年、屋根専門石川商店の三代目。
1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 ブラッククローバー
【困り事】 正月食べ過ぎた
DIYで作った個人ブログはじめました。
37歳おっさんのチャレンジを綴っています。
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