『伝統工法で築60年「自然素材を活かした古民家の瓦屋根の良さを損なわない3つの工夫」を取り入れ、屋根リフォームで屋根専門石川商店ならここまでやります!』
ということで、
『屋根専門店ならではのこだわり』
を屋根専門石川商店の三代目、屋根バカ、石川弘樹が、お伝えしていくために、
前回は、屋根専門石川商店の第1のこだわり
今以下にはしない
について、
【屋根専門のこだわり】父や母の愛した築60年の家と瓦の屋根を継承しつつ、地震に強く、明らかに新しく甦えらせるために。
という記事で、さわりだけ紹介しました。
今回は、既存瓦の撤去から、屋根下地の補強、防水下地の作成、までの工程をご覧いただきながら、
礎石造りの伝統工法の古民家の特徴や自然素材を使った瓦屋根の長所を詳しくお話しいたします。
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古民家の瓦屋根の良さを失わせないために
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1,古民家の特徴
2,伝統工法の圧倒的な調湿性能で木が長持ち
3,調湿性能を確保するための3つの工夫
4,まとめ
☑屋根に重さが必要
大昔の日本の建築は、高床式倉庫のように、地面に穴を掘って直接柱を立てる堀立式が主流でした。
仏教建築が伝わって次第に日本の社寺仏閣の建造物は、ほとんど礎石造りに変化しました。
そして幾多の地震や台風にも耐えてきたのです。
変化した一番の要因は、湿気からくる木の腐朽を防ぐため。
地面の土と直接に柱が触れている掘立式と違い、
礎石で柱を地面から離すことで湿気を遮断できます。
柱の下を石の凹凸に合せて加工して柱を建てる「光つけ」という匠の技で、石と柱を固定しています。
そうすることで、簡単には石からズレて家が傾くようなことはありません。
とは言え、強風で家ごと柱が礎石から落ちないように、ある程度の重さが屋根に必要になります。
その為に茅葺き屋根や瓦屋根で古民家は建てられています。
ですから、金属(トタン)やスレート(コロニアル)などの、
軽い屋根材への葺き替えは、基本的にはオススメできません。
☑木が腐らない
構造体としての屋根の下地は、現在の一般建築では多くの場合、
構造用合板という、約縦1m × 横2mの合成木材を使用します。
それ以前には、小幅板(こはばいた)という10cm〜15cm幅の木の板を使っていました。
隙間をあけて、縦に流れる垂木(たるき)に横に固定して、木の下地を作るのが一般的でした。
小幅板で隙間をあけて作られた、木下地の状態のままで屋根裏から外を眺めるとこんな景色になります。
この隙間があいていることで、優れた通気による調湿性が得られます。
ただし、このままでは当然ですが雨漏りしてしまうので、防水材を施工します。
現在では、アスファルトルーフィングなどの屋根用防水シート(ルーフィング材)を貼るのが一般的です。
それ以前の日本建築は、自然素材の木をうまく使用して防水していました。
もっとも古いタイプは60cm〜70cmくらいの長さの杉の木の皮(下の写真)
これを10cm程度重ねる「杉皮葺き」で防水する方法。
もしくは、杉皮を3mm程度の厚さに成形して、縫い合わせ繋げた「トントン葺き」で防水する方法。
いずれにしろ、木を重ねることで防水しながらも調湿性も保ち、構造の木材を長持ちさせていました。
1、補強用のベニヤに隙間をあける
2、透湿性の高い防水シートを使う
3、新たに棟からも調湿できるようにする
1,補強用のベニヤに隙間をあける
構造用合板(ベニヤ)という、約縦1m × 横2mの合成木材は、本来はピッタリと敷き詰めて下地を補強します。
小幅板よりも大きな面で固定するため、強度が非常に強くなります。
しかし木材を接着加工しているので、透湿性は非常に低いのが特徴です。
そのために調湿用の換気孔をあけるために隙間をあけて固定しました。
2、透湿性の高い屋根用防水シート(ルーフィング材)を使う
アスファルトルーフィングは、日本で使われてからの歴史も長く、
実棟での防水性も折り紙付きですが、透湿性は非常に低いです。
ですから、せっかく構造用合板(ベニヤ)に隙間をあけても意味が無くなってしまいます。
だからと言って従来通りの杉皮葺きやトントン葺きだと、よっぽど質の良いものでないと万が一の雨漏りも心配です。
そこで、今回使用したのが、透湿ルーフィング。
メーカーは今回はデュポン社のタイベックルーフライナー。
エコ意識が高く、屋根の性能が住宅の価値を上げるという認識の強い、
ドイツなどのヨーロッパで主流の屋根用防水シート(ルーフィング材)です。
透湿ルーフィングであれば防水のために穴を塞いでも、ベニヤ間の隙間から湿気が排出されます。
透湿性能はこちらの動画を見ると、よくわかります。
3,新たに棟からも調湿できるようにする
さきほどもご説明した通り、現在の一般住宅の新築は、構造用合板(ベニヤ)という、
約縦1m × 横2mの合成木材をピッタリと敷き詰めて屋根の下地を作ります。
ピッタリと詰めると湿気の逃げ場が一切ありません。
そこで屋根の先端(軒先 のきさき)と、頂上部分(棟 むね)に、
換気口を設け屋根裏の調湿をするのです。
もともと小幅板で通気が取れていた古民家には、本来は必要のないものです。
そういう意味では今回の工法でも必要はないのかもしれません。
しかし「今以下にはしない」というぼくのこだわりをここにも込めてみました♪
屋根の頂上部分に換気口があることで、調湿機能とは別に、煙突効果(解説はこちらを参照)も期待できます。
夏場の熱い屋根裏の温度を下げて、屋根直下の部屋が過ごしやすくなります。
今回は、伝統工法の良いところを確認しながら、その良さを損なわい方法について解説しました。
☑次回はホールレス通気工法
についてです。
伝統工法から一気に最新工法まで進化します!
この連載は、
・自然素材で堅牢な瓦を使った屋根で家を守り、家族のために、長持ちする家にしたい!
・和風の瓦は日本の伝統文化であり、後世に世界に伝えるべき、日本の財産だ!
・でも瓦って、地震とか大丈夫なの???
という疑問をお持ちのあなたのために、
・国交省が推奨する長期優良住宅における、屋根の最新工法である「ホールレス通気工法」で
・日本の神社やお寺などの伝統工法の良いところは損なわずに、地震や台風や噴火にまで耐えられる堅牢性で
・家族の愛を最大限に屋根で表現した屋根リフォームの方法
を、この梅雨時期真っ只中に品川区で絶賛リフォーム中の実例で今日から何回かに渡って、ご紹介していきます。
前回の記事はこちらから。
【屋根専門のこだわり】父や母の愛した築60年の家と瓦の屋根を継承しつつ、地震に強く、明らかに新しく甦えらせるために。
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屋根専門石川商店の三代目、1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 あっちはシャンクスか、、、
【困り事】 寝ても寝ても眠い病
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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