スレート、コロニアルの台風対策。予防のための補修や工事方法と費用
台風被害にあう前に予防できたらいいけど、自腹で費用をかけてまで予防する必要って本当にあるの? という声が聞こえてきそうなので、まずはスレート屋根の台風被害の事例をご紹介します。
台風による屋根被害の実例と原因
一般的な屋根では、屋根の中央部分がうける風の力を「 1 」 とすると、
軒先「 2 」 (のきさき):屋根の先っぽ
けらば「 2.5 」:屋根の横はじ
棟「 5 」(むね):屋根のてっぺん
と言われています。
今から紹介する3つの事例は、
事例① 屋根材が部分的にめくれて飛ぶ
事例② 屋根のてっぺん部分がめくれて飛ぶ
事例③ 屋根が下地ごとめくれて飛ぶ
で、これらは実際に2018年の台風21、24号、2019年の台風15、19号で被害にあったお客さまの、屋根の写真です。
事例① 屋根材が部分的に飛ぶ
屋根材が部分的に飛んでしまう被害です。
【屋根材が部分的に飛んだ事例①】
【屋根材が部分的に飛んだ事例②】
【屋根材が部分的に飛んだ事例③】
原因は2種類あって、
■① 屋根材の強度不足で、屋根材が折れたり割れたりする
場合と、
■② 屋根下地の強度不足や釘のサビで、その部分の屋根材が釘ごとはずれる
場合の2種類です。
その違いは、①は釘が残っている、②は釘が抜けている、かで区別できます。
【釘が残っている】
【釘が抜けている】
釘が残っているか、抜けているかは、次の予防メンテナンスの方法がちがってくるので、とても重要です。
事例② 棟(屋根のてっぺん部分)が飛ぶ
屋根の棟(むね = てっぺん部分)が、部分的に飛んでしまう被害です。
【棟が部分的に飛んだ事例】
■ 棟板金(棟の金属のフタ)だけ飛散
原因は、棟板金(棟の金属のフタ)の下地の木材の劣化で、棟板金をとめている釘まわりの木材がくさってフニャフニャになったことで、棟板金が飛んでしまったり、下地の木材ごと飛んでしまったりする場合があります。
■ 棟下地ごと飛散
事例③ 屋根の下地ごと飛ぶ
屋根材というよりは、下地ごと屋根がごっそり飛んでしまう被害です。
【屋根の下地ごと飛んだ事例】
原因は結露や雨漏りで、屋根の下地を止めている釘がサビたり、釘まわりの木材がくさってフニャフニャになったことで、傷んだちかくの屋根が下地ごとはがされてしまうのです。
- スレート屋根の台風被害の事例3つ
-
- 事例① 屋根材が部分的にめくれて飛ぶ
- 事例② 屋根のてっぺん部分がめくれて飛ぶ
- 事例③ 屋根が下地ごとめくれて飛ぶ
という台風被害が、現実に起こっています。
スレート屋根の予防対策工事の時期は5年、15年、30年
それではこれらの台風被害の、予防対策の工事は、いつ、何をすればよいのでしょうか。
まず、スレート屋根を予防的にメンテナンスする時期の目安は、5年、15年、30年、と覚えましょう。
そのタイミングで、上記の台風被害の原因がおこってくるのです。
スレート屋根の劣化は、
スレートのひび割れ発生
↓
屋根のてっぺんのフタ部分の劣化
↓
屋根の防水シートが劣化
↓
屋根材の下地の木材が水分で強度不足
↓
防水性や耐風性の弱体化
のような流れとなっています。
劣化症状がおこる前に、予防メンテナンスをしましょうということになります。
5年、15年、30年の予防対策工事の方法と費用
予防メンテナンスの時期と内容をしては、
■ 5年おきに、ひび割れ補修【1〜3万円】
■ 築15年で、棟交換【10〜30万円】
■ 築30年で、葺き替え+ 木下地の強化【180万円】
がおすすめです。
それぞれの予防対策工事の方法と費用を、確認しましょう。
※ 費用は、屋根面積が30坪、100㎡の家を想定しています。目安としてお使いくださいませ。
5年おき: ひび割れ補修【1〜3万円】
屋根材の強度がよわくなっている症状として、ひび割れや割れが確認できます。
ひび割れや割れた屋根材が台風で飛んでしまう前に、接着剤で固定しておきます。
割れて近くに屋根材が割れずに残っていれば、かけらを接着剤でくっつけてあげればよいでしょう。
【ひび割れ補修】
【割れ補修】
ひび割れ補修の費用は、1〜3万円です。
項目 | 内容 |
---|---|
おすすめ時期 | 5年おき |
工事名 | ひび割れ補修 |
内容 | ひび割れの拡大防止 屋根材の落下防止 接着剤で応急処置 |
費用 (※ 30坪100㎡) | 1〜3万円 |
何年保つか | 作業時に踏み割れる可能性 → 5年おきにチェック 接着効果は30〜40年 |
ただし屋根材が部分的に飛んでしまった原因が、屋根下地の強度不足や釘のサビだった場合は、下記の築30年と同じように、部分的な葺き替え工事で、屋根下地の木材を補修する必要があります。
築15年: 棟交換【10〜30万円】
屋根のてっぺんの金属のフタを交換する、棟交換(むねこうかん)を行いましょう。
棟交換では、必ず木材を交換しましょう。
【新しい木材】
【新しい棟板金】
棟交換の費用は、10〜30万円です。
項目 | 内容 |
---|---|
おすすめ時期 | 築15〜20年 |
工事名 | 棟交換 |
内容 | 台風、強風での飛散防止 屋根のてっぺんのフタの交換 |
費用 (※ 30坪100㎡) | 10〜30万円 |
何年保つか | 20〜30年 |
築30年: 葺き替え工事で屋根の下地の補強【180万円】
葺き替え工事で、古い屋根材をはがしたら、新しい屋根の下地の木材を古い屋根の下地の上からもう1枚貼りましょう。
【新しい木下地】
このとき古い防水シートも結露を防止するために、できるだけはがします。
【古い防水シートはなるべくはがす】
【台風対策「 強風施工 」がおすすめ】
【踏み割れのない「 アスファルトシングル 」にする】
もしくは、踏みわれの全くない「 アスファルトシングル屋根材 」 での、葺き替え工事がよいでしょう。
中でも、「 オークリッジスーパー 」 という商品は、風速50m/sの設計強度を、強風施工で得ることができるのでおすすめです。
オークリッジスーパー
屋根の下地の補強工事は、20〜40万円です。ただ補強工事だけ行えないので、葺き替え工事と合わせると費用は180万円です。
項目 | 内容 |
---|---|
おすすめ時期 | 築30〜40年 |
工事名 | 葺き替え |
内容 | 古い屋根材を剥がす 新しい屋根材にかえる 屋根下地を強化できる |
費用 (※ 30坪100㎡) | 180万円 (※ 屋根材= シングル) |
何年保つか | 30〜40年 |
まとめ: 台風被害は予防対策工事で最小限に
今回の話をまとめると、
- スレート屋根の台風被害の予防対策工事の方法と費用
-
- ひび割れ補修 【5年おき】 1〜3万円
- 棟交換(むねこうかん) 【築15年】 10〜30万円
- 葺き替え(ふきかえ) 【築30年】 180万円
ということになります。
屋根材別、屋根被害予防対策工事の方法まとめ
各屋根材ごとに、台風や地震などの天災や、訪問販売による押し売りや詐欺などの人災、という屋根被害の予防に必要な最低限の修理やメンテナンス方法をまとめました。
屋根材 | メンテナンス方法 |
---|---|
スレート系 コロニアル カラーベスト | 5年毎: ひび割れ補修 15年: 棟交換 30年: 葺き替え+ 木下地補強 |
金属系 トタン ガルバリウム 瓦棒葺き | 5年毎: 特になし 15年: 棟交換(不要な仕様もある) 30年: 葺き替え+ 木下地補強 |
瓦系 日本瓦 洋瓦 コンクリ瓦 | 5年毎: 特になし 15年: 棟の取り直し 30年: 葺き直し or 葺き替え |
シングル系 シングル アスファルトシングル | 5年毎: はがれ補修 15年: 棟交換(不要な仕様もある) 30年: カバー工法 or 葺き替え |
※ リフォームを想定しているので、最新の工事方法で工事した新築一軒家の場合、予防メンテナンスの時期は変わってきます。
くわしい予防対策工事の方法と費用は、下記の屋根材の種類名をタップすると確認できます。
※ 順次、記事追加予定
■ スレート系: コロニアル、カラーベスト ※ この記事
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- 創業75年、屋根専門石川商店の三代目。石川弘樹(いしかわひろき)です。
- 【継続は力なり】
- 禁煙2009年〜、ダイエット2010年〜、禁酒2017年1月〜、筋トレ2018年6月〜、禁チョコ爆食い2018年12月〜
- 【資格】
- 1級かわらぶき技能士、瓦屋根工事技士、全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士、全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師、耐震プランナー、増改築相談員、古民家鑑定士、ホームインスペクター(住宅診断士)、ジュニアリフォームソムリエ、リフォームスタイリスト1級、リフォーム提案士、ライフスタイルプランナー
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