和瓦、洋瓦の屋根の台風対策。予防のための補修や工事方法と費用
「台風被害にあう前に予防できたらいいけど、自腹で費用をかけてまで予防する必要って本当にあるの?」
という声が聞こえてきそうなので、まずは和風の「 和瓦 」、S型、M型、F型、平板瓦、などの「 洋瓦 」 に、コンクリ瓦も含めた「 瓦屋根 かわらやね 」 の台風被害の事例をご紹介します。
台風による和瓦、洋瓦の屋根の被害事例と原因
一般的な屋根では、屋根の中央部分がうける風の力を「 1 」 とすると、
軒先「 2 」 (のきさき):屋根の先っぽ
けらば「 2.5 」:屋根の横はじ
棟「 5 」(むね):屋根のてっぺん
と言われています。
実際に、2018年の台風24号、2019年の台風15号、19号での、和瓦、洋瓦の屋根の台風後の石川商店への修理依頼でも、この数字が高い部分に、あきらかに被害がでています。
実際に被害がでていることを、ここでは認識していただきたいので、事例をご紹介しています。
事例① 軒先 のきさき(屋根の先っぽ)が飛ぶ
屋根の軒先(のきさき= 屋根の先っぽ)が、飛んでしまう被害です。
■軒先が部分的にめくれて、飛んだ事例
事例② けらば(屋根の横はじ)が飛ぶ
屋根のけらば(横はじ)が、飛んでしまう被害です。
■けらばが部分的にめくれて、飛んだ事例
事例③ 棟 むね(屋根のてっぺん部分)が飛ぶ
屋根の棟(むね = てっぺん部分)が、部分的に飛んでしまう被害です。
■屋根の棟が飛んだ事例
これらの被害の原因は、古い工事方法のまま放置されて、そもそも固定されていなく、置いてあるだけ、というモノがほとんどです。
その他の原因としては、固定している木材の劣化によるものもあります。
■固定している木材の劣化
和瓦、洋瓦の屋根の被害事例をまとめると、
- 和瓦、洋瓦の屋根の台風被害
-
- 屋根の風当たりが強い部分がめくれて飛ぶ
- 原因の多くは、置いただけの古い工事方法の放置
ということになります。
和瓦、洋瓦の屋根の予防対策工事の時期は15年、30年
和瓦、洋瓦の屋根を、予防的にメンテナンスする時期の目安は15年、30年と覚えましょう。
そのタイミングで、台風被害の原因がおこるからです。
屋根の劣化は、
屋根のてっぺんのフタ部分の劣化
↓
屋根の防水シートが劣化
のような流れとなっています。
劣化症状がおこる前に、予防メンテナンスをしましょうということになります。
ご自宅の瓦のカタチの確認
予防対策工事の方法と費用の前に、あなたの家の屋根瓦が、どれだかよく分からない方は、次の瓦のカタチを見て、確認しましょう。
瓦のカタチによって、15年、30年で行う工事が変わるので、確認が必要です。
ちなみに瓦は、土を焼いて作ったものです。
なので素材が土じゃない、セメント、コンクリ、金属は瓦ではありませんが、今回は、コンクリだけ「 コンクリ瓦 」 と特別に表記して、解説に加えています。
20〜30年前に屋根材として多く流通し、今、築20〜30年で、メンテナンスの時期になっている一軒家が多いからです。
カタチの名前:J型、S型、M型、F型
J型:「 小さな波 」 のカタチの瓦。和型、和瓦などとも呼ばれる
S型:「 S字の大きな波 」 のカタチの瓦。S瓦と呼ばれる
M型:「 m字 」 で2つの山があるカタチの瓦。マウント瓦と呼ばれる
F型:「 平ら 」 なカタチの瓦。平板瓦(へいばんがわら)と呼ばれる
コンクリ瓦には、J、S、M、F型、すべてのカタチがあります。
表面のコーティングの名前:無釉、施釉、いぶし
無釉瓦(むゆうがわら):表面をコーティングしていない瓦、鉢植えの赤茶色のような色が多い。素焼き瓦(すやきがわら)とも呼ばれる
施釉瓦(せゆうがわら):お茶碗と同じで、表面を釉薬でコーディングした瓦。釉薬瓦(ゆうやくがわら)、陶器瓦(とうきがわら)とも呼ばれる
いぶし瓦:煙でいぶして、表面を炭素膜でコーティングした瓦。黒瓦(くろがわら)とも呼ばれる
コンクリ瓦は、塗装で表面をコーティングしています。
「 防災瓦 」 ってなに?
古い瓦は、上下左右の瓦の重なりで、台風や地震に耐えていたのに対して、
防災瓦は、瓦の先端部分を、斜め下の瓦に引っ掛けて、より台風や地震に耐えられるようにした瓦のことです。
コンクリ瓦には、基本的には、防災瓦はありません。
15年、30年の予防対策工事の方法と費用
上の「 瓦のカタチ 」 で、ご自宅の屋根の瓦のカタチは、分かりましたか?
瓦のカタチごとに、15年、30年の予防対策工事の方法と費用を見ていきましょう。
メンテナンス方法 | ||
---|---|---|
瓦のカタチ | 築15年 | 築30年 |
J型 | 棟、谷の取り直し 【30万円】 | 葺き直し【150万円】 葺き替え【250万円】 |
S型 | 棟、谷の取り直し 【22万円】 | 葺き直し【130万円】 葺き替え【230万円】 |
M、F型 | 棟、けらば、谷の取り直し 【36万円】 | 葺き直し【110万円】 葺き替え【190万円】 |
それぞれの予防対策工事の方法と費用を、確認しましょう。
※ 費用は、屋根面積が30坪、100㎡の単純なカタチの家を想定しています。目安としてお使いくださいませ。
棟の取り直し【15〜27万】
J、S、M、F型、すべての瓦で、築15年で必要な工事が、棟の取り直し工事です。
築15年で、土台の土や木材が劣化して、台風や地震で、瓦がはずれて飛んだり、くずれたりする被害が出る前に、しっかりとメンテナンスしましょう。
金額に幅があるのは、棟の仕様が違い、使う材料や工事方法が違うからです。
一般的に、S、M、F型の場合、丸1本伏せ(まるいっぽんぶせ)という仕様が一般的です。
■丸1本伏せ(まるいっぽんぶせ)
J型の場合、熨斗積み(のしづみ)という仕様が一般的です。
■熨斗積み(のしづみ)
熨斗(のし)というのは「 瓦割り 」 で割られている瓦です。
この熨斗瓦 (のしがわら)を2段積んで、最後に半円の「 丸瓦 まるがわら 」 を置くと、丸共3段(まるともさんだん)、
熨斗3段に丸瓦だと、丸共4段(まるともよんだん)と言います。段数を積めば積むほど、値段は高くなります。
古い工事方法の棟は、土の上に瓦を乗っけて、銅線(どうせん)という金属のひもで、ぐるっと結ぶという、単純な方法でした。
その工事方法だと、強度が取れず、地震や台風での被害が相次いでいます。
それにたいして、最新の工事方法の棟は「 ガイドライン工法 」 と呼ばれています。
これは阪神大震災後につくられたモノで、同じ規模の地震がきても耐えられる、耐震工法です。
なので、棟の取り直し工事を行うときは、この「 ガイドライン工法 」 で工事しましょう。
さて工事の手順は、丸1本も熨斗積みも大体同じです。
■棟の解体
■瓦を固定する土台の強度をあげる金具と芯材の設置
【丸1本伏せ(まるいっぽんぶせ)】
【熨斗積み(のしづみ)】
■なんばんしっくい(土としっくいがいっしょになったモノ)の設置
■瓦の設置
【丸1本伏せ(まるいっぽんぶせ)】
【熨斗積み(のしづみ)】
という流れです。
費用は、
・丸1本伏せ(まるいっぽんぶせ)で、15万円
・熨斗積み4段で、27万円
となります。
けらばの取り直し【8万】
M、F型の瓦で、「 けらば 」 という、屋根の側面部分がある家では、築15年で必要なるのが、けらばの取り直し工事です。
■屋根の「 けらば 」 の場所
築15〜30年で、土台の木材が劣化して、台風や地震で、けらばの瓦がはずれて落っこちる被害が出る前に、しっかりとメンテナンスしましょう。
J、S型の瓦の場合、「 けらば 」 があったとしても、工事は不要です。
その部分に、傷む材料が使われていないからです。
工事の流れは、
■けらばの解体
■芯材となる木材と、雨水を集めて流す金具の設置
■瓦の設置
という流れです。
費用は、8万円です。
谷の取り直し【3〜5万】
J、S、M、F型、すべての瓦で、「 谷 たに 」 という、屋根の谷折り部分がある家では、築15年で必要なるのが、谷の取り直し工事です。
雨水が集中する「 谷 たに 」 の防水のやり直しと、カットした瓦の固定の緩みを直して、雨漏りや瓦が飛ばないように、しっかりとメンテナンスしましょう。
■屋根の「 谷 たに 」 の場所
屋根に「 谷 たに 」 がない場合は、工事は不要です。
工事の流れは、
■谷の解体
劣化状態を確認して、防水シートを増し貼りも。
■雨水を集めて流す金具の交換
■瓦の設置
という流れです。
費用は、3〜5万円です。
葺き直し、葺き替え【110〜250万】
J、S、M、F型、すべての瓦で、築30年で必要なるのが、屋根の葺き直し、もしくは葺き替え工事です。
瓦の下の防水シートが劣化し、雨漏りがはじまる前に、しっかりとメンテナンスしましょう。
ちなみに、
「 葺き直し ふきなおし 」 は、瓦を再利用することで、
「 葺き替え ふきかえ 」 は、瓦を新しくすることです。
工事の流れは、
■古い瓦をはがす
■防水シートを増し貼りする
■瓦固定用の木材の設置
■瓦の設置
■棟の工事
という流れです。
費用は、
「 葺き直し ふきなおし 」 は、110〜150万円
「 葺き替え ふきかえ 」 は、190〜250万円
となります。
まとめ: 台風被害は予防対策工事で最小限に
今回の話をまとめると、
- 和瓦、洋瓦の屋根の台風被害の予防対策
-
- 築15年で、棟、けらば、谷の取り直し
- 築30年で、葺き直し、葺き替え
- 金額と工事内容は、瓦と屋根のカタチによって変わる
ということになります。
屋根材別、屋根被害予防対策工事の方法まとめ
各屋根材ごとに、台風や地震などの天災や、訪問販売による押し売りや詐欺などの人災、という屋根被害の予防に必要な最低限の修理やメンテナンス方法をまとめました。
屋根材 | メンテナンス方法 |
---|---|
スレート系 コロニアル カラーベスト | 5年毎: ひび割れ補修 15年: 棟交換 30年: 葺き替え+ 木下地補強 |
金属系 トタン ガルバリウム 瓦棒葺き | 5年毎: 特になし 15年: 棟交換(不要な仕様もある) 30年: 葺き替え+ 木下地補強 |
瓦系 日本瓦 洋瓦 コンクリ瓦 | 5年毎: 特になし 15年: 棟の取り直し 30年: 葺き直し or 葺き替え |
シングル系 シングル アスファルトシングル | 5年毎: はがれ補修 15年: 棟交換(不要な仕様もある) 30年: カバー工法 or 葺き替え |
※ リフォームを想定しているので、最新の工事方法で工事した新築一軒家の場合、予防メンテナンスの時期は変わってきます。
他の屋根材のくわしい予防対策工事の方法と費用は、下記の屋根材の種類名をタップすると確認できます。
■ 瓦系: 日本瓦、洋瓦、コンクリ瓦 ※ この記事
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- 【資格】
- 1級かわらぶき技能士、瓦屋根工事技士、全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士、全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師、耐震プランナー、増改築相談員、古民家鑑定士、ホームインスペクター(住宅診断士)、ジュニアリフォームソムリエ、リフォームスタイリスト1級、リフォーム提案士、ライフスタイルプランナー
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