こんにちは、石川商店の林洋道です。大好評をいただいております瓦割り道場、おかげさまで1000枚を突破することができました。これまでにお越しいただいた皆様には、この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げます。
元々この瓦割り道場、弊社三代目・石川弘樹が日本の伝統文化のひとつでもある「瓦」を皆様に慣れ親しんでいただくことを目的として始めたことなのですが、この瓦割りに使われる瓦、実際の屋根工事においてどこでどのように使われているのかを皆様にご紹介したいと思います。
☑本当の名称は「熨斗(のし)瓦」
瓦にも様々な形状のものがあるのですが、瓦割りに用いられる瓦は「熨斗(のし)瓦」という瓦です。
屋根工事においては「玄翁(げんのう)」というハンマーのような道具で叩いて割って使う瓦なので、どのように叩いても確実に半分に割れるものを使用しています。
こちらが「熨斗(のし)瓦」です。柔らかく焼いているといったことは無く、通常屋根に使われる瓦と同じで1200以上の高温で焼きあげられています。
真ん中に小さな穴が2カ所あるのがご覧になれますでしょうか?こちらの穴については、後程ご説明差し上げたいと思います。
いくら道具を使って割れる瓦であっても、頭で割ることはご遠慮ください。
綺麗に半分に割れていますよね。これは「割って使う瓦」だからこそ、このような割れ方をするのです。
一般的な瓦として、いちばん多く思い出されるのが「桟瓦」という瓦だと思いますが、こちらは骨よりも固く丈夫な瓦。これを素手や頭で割ろうとすると、骨折などの重大なケガに繋がり、最悪は死に至ることもあります。
こちらが「桟(さん)瓦」です。
☑のし瓦はどのように使われるのか?
では実際の屋根工事で、のし瓦がどのような使い方をされている瓦なのかをご覧にいれたいと思います。
これからご覧に入れる写真は、昨年の10月に新宿で開催された「ものづくりフェア東京’14」において、かわらぶき技能士による「瓦葺(かわらぶき)」の施工の様子です。
【完成写真】
「かわらぶき技能士」という国家資格の試験にて使われる模擬屋根です。(写真は1級かわらぶき技能士)
屋根の先端(軒先)を施工しているところです。この段階ではまだのし瓦の出番はありません。
軒先の瓦が全て納められたところです。
軒先及び平部が全て完了しております。しかし、まだのし瓦は登場しません。(写真は2級かわらぶき技能士)
隅棟先端の「鬼瓦」を取り付けるところです。
鬼瓦の固定を終え「棟取り」と呼ばれる工程に入ってます。隅棟に漆喰(しっくい)を施工しているところです。
ここでやっと「のし瓦」が登場します。
のし瓦は全て半分になって隅棟や壁際に並べられているのがご覧になれると思います。
壁際に2段目ののし瓦が積まれております。
間もなく完成します。のし瓦を積み上げ、隅棟には棟瓦(5寸丸という瓦)が取り付けられております。写真の作業は漆喰(しっくい)の仕上げをしているところです。
見事完成です。
☑実際の工事の様子はこちらから...
せっかくなので、実際の現場での作業の様子をご覧に入れたいと思います。こちらの写真は築30年の家で「棟の取り直し」という工事です。
棟取り直し工事は主に築20年以上経過した瓦屋根で、漆喰(しっくい)が剥がれたり崩れたりしている場合に行う工事です。このため、のし瓦は半分に割られた状態となっております。
小さな穴に銅線が通されているのがご覧になれますでしょうか?
半分に割られたのし瓦は、銅線を使ってお互いに緊結することでより強固な棟に仕上げることができます。
のし瓦を仕上げた後は棟瓦(写真は5寸丸という瓦)を使って仕上げていきます。
最後に銅線を廻して工事の完了です。
☑写真で見るのし瓦あれこれ
こちらは青緑(せいろく)の熨斗(のし)瓦です。
のし瓦は瓦の色に合わせて様々な色が用意されております。
港区にある「泉岳寺」んも参道にて。
同じく「泉岳寺」本堂の回廊。
瓦割りの瓦は、屋根工事用と同じ原料から製造されておりますので、割った瓦はご自宅の屋根にそのまま使っていただくことも可能です。
ただし、ご自宅の屋根に使われる場合は少しだけ制約がございますので、悪しからずご了承ください。
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屋根専門60年 石川商店
林 洋道(はやし ひろみち)です
【趣味】旅行、F1チームのウェア集め、西部警察、ネコ
【特技】洗車、タイヤ交換、他クルマのメンテナンス
【最近】カラオケ行ってないなぁ...。
【出身地】鳥取県米子市
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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