この記事の最新版は、こちら。
こだわりの一軒家の必需品である「天窓」。
- ☑ 新築時に設置するべきかしないべきか?
設置したのは良いけれど、
- ☑ 暑い・寒い
- ☑ 曇って外が見えない
- ☑ 開かなくなった
- ☑ 雨漏りする
- ☑ 木枠の黒ずみ・腐食汚れ
- ☑ メンテナンス方法は?
などなど、天窓で困っているあなたのための解決法をお伝えします。
天窓を設置する長所や短所も交えて解説しますので、「今から新築の一軒家を建てるぞ!」というあなたにもきっと役立ちます!
長所は健康効果、短所はメンテナンス性の悪さ
- 「屋根に天窓などの「異物」があると雨漏りしやすい」
- 「安心の家づくりのためには天窓なんて付けない方が良い」
と何度も何度も言ってきました。
そんな話し初めて聞いたというあなたは、こちらも合わせてお読みくださいね。
教えて、屋根屋さん!第45回「雨漏りしやすいのはどんな家?」
とは言え、やはり天窓への憧れは僕にもありますし、
もし自分で家を建てるなら天窓はつけると思います(笑)
そこで、天窓の長所と短所をまとめてみました。
まずは長所からひとつずつ解説します。
開放感
視線が空へと抜け、心地よい外への開放感や広がりを感じることができます。
プライバシー確保
都市部の狭小地では、隣家が建て込んでいることが多く、近接した隣家と窓と窓とが向き合っていると、互いの視線や音が気になりますが、天窓であれば解決できます。
防犯
空き巣被害の多くはバルコニーなど窓からの侵入がほとんどですが、窓が屋根の上にある天窓は、不審者が侵入する心配も少なく、防犯面でも安心で、外出時なども気兼ねなく開けたままにしておくことができます。
多彩な生活スタイルに
最近では、防犯上の配慮や、アレルギー対策、共働き家庭の増加などから、室内に洗濯物を干すニーズも増えています。その際、ランドリースペースに開閉式の天窓を設置すれば、光と風の効果で洗濯物の乾きもよくなります。突然の雨でもセンサーが感知して自動的にを閉じるタイプもあるので、天候を気にすることもありません。
室内の有効活用
天窓 (トップライト) は元々、日差しの少ない北欧で、小屋裏を有効活用するために開発されたのが始まりで、閉ざされた空間でも、採光が確保されるようになります。
また、壁面に窓がなくなることで、壁を収納や、家具の設置スペースとして有効利用することが可能になります。
☑ つまり居住性が向上する
一軒家を建てるのは、夫婦円満や温かい家族の生活をより向上するためですから、こだわりの一軒家の居住性が大幅に上がる、天窓 (トップライト) は、特に都市部で嬉しいことが多いですね。
それでは続いて、人体への良い効果について。
健康的な自然光
骨にカルシウムを運ぶ役割を果たすビタミンDは、自然光を浴びることにより体内で合成されます。
また朝の自然光を浴びることで、体内時計の狂いがリセットされ、睡眠障害や認知症が改善されると言われています。そして、うつ病やパニック障害も自然光の不足とも言われています。
子どもの成長
天窓 (トップライト) を介して空や雲、月や星を眺め、光と風を感じ、自然と触れ合うことは、子供の豊かな情操教育をはぐくみます。
また「自然光のあふれる教室で勉強する子どもは、電気証明の教室と比べて、読解力が26%高まり、計算が20%速くなる」という調査結果もあります。
☑ つまり人体に良い
一軒家を建てるのは、家族の健やかな成長を願ってのこと。天窓 (トップライト) が採りこむ自然光は、子どもの健康な発育・発達を促し、ストレスの多い日本人全員の生活に良い効果が多そうです。
それでは続いて、省エネについて。
採光性3倍
天窓(トップライト)は、昼間のほとんどの時間帯で一定の自然光を得られ、日中照明に頼りがちな室内の奥にまで光が届きます。
確かに建築基準法上でも、一般の壁面の窓に比べて、3倍の採光効果があると規定されています。
通風性最大4倍
通風や換気、煙抜きのために日本の特徴的な屋根の形状として、越屋根(こしやね)と呼ばれる通気用の小屋が屋根の上に設置された屋根があります。この越屋根で有名な建物としては世界遺産の富岡製糸場があります。開閉する天窓 (トップライト) を設けると、この通気性に優れた越屋根と同じ原理になります。
窓と窓との開口部の垂直距離に比例して換気率が上がるため、窓だけの場合と比べて2〜4倍の通風効果が得られます。
また煙突効果、ドラフト効果、排熱や夜間換気と呼ばれる働きにより、無風でも風が通り抜け、ロフトや最上階の部屋や勾配天井など、屋根付近の熱が集まりやすい部屋の通気や換気に最適です。
☑ つまり省エネ
このように天窓 (トップライト) を設置することで、照明の使用量を減らすことができ、人が感じる微風があると、室温は外気温より低くなり、エアコンの稼動時間は減らせ、電力消費量・二酸化炭素排出量も抑えられ省エネになります。
それでは続いて、デザイン性について。
デザイン性が向上する
天窓 (トップライト) からの自然光は、照明に頼らずに表情のある空間をつくり出すことができます。
もちろん、曇りの日でも天井面から拡散した柔らかい光が室内に広がります。夜間は室内の明かりが外にこぼれ、外から見る人に生活の温もりを感じさせてくれる風景になります。
こんなにメリットばかりだと断然付けたくなりますね〜。とは言え、良いことばかりではありません。続いて短所を見ていきましょう。
雨音が大きく聞こえる
これは瓦の屋根から金属やスレートなどの軽量で薄い屋根材にした時は全面ですが、天窓の部分に叩きつける雨音が直接室内に伝わっておこる現象です。
自然を感じると言えば良いことかもしれません。また、階段上や吹き抜けの勾配天井などにある場合は、距離が遠いため、さほど気にすることでもないでしょう。
夏暑く、冬寒い
これは窓の宿命です。どうしてもガラス1枚を隔てた向こう側の温度の影響は受けます。いくら断熱・遮熱性能が上がったとしても、あるかないかで言えば、無いほうが断熱・遮熱性能は良いに決まっています。
眩しすぎる
夏暑いこととも関係していますが、夏場の直射日光は眩しすぎるくらいに強烈です。僕が点検して回った家の大半は、お手製のカーテンなどで塞いでいることが多いです。
☑ つまり居住性への悪影響がある
居住性で言うと矛盾しているようですが、長所もあり短所もあるというのが現実です。
それでは次に、メンテナンスの難しさについて。
雨漏り
天窓の上部に雨水が溜まらないように、水切りという金属プレートや防水シートを天窓の周りにグルっと設置して、水をなるべくスムーズに排出するような工夫がされていますが、根本的に屋根を切り抜き、突起物を設置しているので、雨水を必ず一度受けることになり、何も突起物のない平坦な屋根に比べれば、雨漏りの危険性は高まります。
天窓(トップライト)の雨漏りの原因は大きくは3つだけで、
- ガラス面の防水パッキンの劣化
- 水切りや防水シートの劣化
- 設置時の施工不良
だけです。
現象としては、直接室内に水垂れがおこるのは、ガラス面の防水パッキンの劣化が原因で、雨が降るとすぐにポツリとくるので、雨漏りにすぐに気付きます。
また、室内の壁の内側からにじみ出てくるようにジワジワと雨漏りしている場合は、水切りや防水シートの劣化と設置時の施工不良が原因で、屋根の内側に水が入り込んでしまっているので、雨漏りに気付くのに時間が掛かり、気付いた頃の被害は甚大です。
トップライトの雨漏りでお困りになりましたら、天窓メーカーのベルックスとコラボした修理も承っております!詳しくはこちらから
清掃
せっかくの眺望を期待して設置したのに、ガラス面の汚れで台無しということもあります。
とは言え、屋根の上だけに、自分で登ってキレイにするのはとても危険で難しいです。
またガラスの清掃だけではなく、上述の雨漏りを防ぐ水切りに、ホコリや土、落ち葉などが溜まってうまく水が排出されなくなると、劣化や施工不良がなくても雨漏りすることがあるので、合わせて掃除したいのですが、自分では難しいでしょう。
☑ つまりメンテナンスが難しい
僕も含めた屋根に天窓は付けない方が良いと主張する派は、雨漏りや清掃などの維持管理の難しさを一番に考えてのことです。
最後に、省エネに向かない、という長所とは矛盾している短所について。
冷暖房効率が下がる
窓から暖気を取り込んでしまったり、冷気を吸収してしまったりするためです。
ソーラーパネル設置面積が減る
天窓が付いている部分には当然ですが、ソーラーパネルは設置できません。設置面の屋根が北面であれば、北面にソーラーを載せることは基本的にはないので、問題はありません。
☑ つまり省エネに不向き
冷暖房効率は、天窓が無い場合に比べると確実に下がりますし、省エネの代名詞、ソーラーの設置枚数が確実に減って、発電量が減ってしまいます。
最近の天窓は居住性がバツグンに進化
技術の進歩とともに、天窓の性能も格段にグレードアップしています。
電動・タイマー開閉機能
開閉式のトップライトには、タブレット式リモコンでの操作で開閉できるので、手動でキコキコしなくても済みますので、毎日の開け閉めで億劫になりません。
さらに天窓とブラインドそれぞれに日時、曜日をタイマーでセットできるものや、開閉幅などを設定できるものにすることで、より煩わしさはありません。
温度やレインセンサー付き
温度や突然の雨を検知し、自動で開閉してくれるセンサー式のものであれば、天窓を開けっ放しでも安心して外出でき、特に洗濯物を部屋干ししているご家庭ではとても便利です。
電動ブラインド
夏場の直射日光が辛いと思われる場所には、純正のブラインドを設置できます。
網戸
純正の網戸があれば、開けっ放しでも虫の侵入も気になりません。
遮熱性
Low-Eコーティングにより、日射熱を71%カット。さらに2枚のガラス間のアルゴンガスが熱の伝導を抑さえ、冷房効果を高めます。
断熱性
ペアガラスの熱貫流率は、一般ペアガラスの3分の2以下。室内の暖気を外部に逃がしにくく、優れた断熱性能を発揮。同時に結露の発生を軽減します。
UVカット
紫外線を90〜99%カット。室内の壁、家具類などの色あせを軽減します。各種ブラインドを併用すると一層効果的です。
安全性
強化ガラスを室外側に標準装備。室内側には、割れても破片が飛び散らず、安全性の高い合わせガラスや、防火、安全性に優れた網入りガラスを採用しています。
防犯性
普通のガラスの3-5倍の強度をもつ強化ガラスを採用し、より防犯性に優れた仕様になっています。
雨漏り対策
雨漏り3大要素の対策も当然研究され改善しています。
ガラス面からの雨漏りには、新幹線の窓のシーリングと同じ商品を使い、20年雨漏り保証を実現。水切りや防水シートの劣化は、10年目の安心点検などの定期点検で確認。
設置時の施工不良は、天窓の枠を固定する金具を改善し構造をシンプルにすることで、施工の容易さ(フールプルーフ)と、枠と屋根面との完全分離化により、大幅に雨漏りの改善を実現しています。
(上記すべて、天窓専業の日本ベルックス製品を参照)
一軒家の新築やリフォームで天窓をどうすべきかお悩みのあなたのために、次に天窓の日本における歴史を解説していきます。
日本には賞味期限切れの天窓が100万個存在する
建築基準法の採光料の緩和、緩傾斜屋根の増加、ソーラーパネル設置時のデメリットなどの、市場規模の縮小を理由に、松下電工(パナソニック)、トステム、新日軽など事業から撤退や統廃合し、最盛期には10社ほど存在した天窓メーカーが、現在は2社しかなありません!
日本ベルックスとリクシルだけです。そのうち天窓専業は日本ベルックスのみとなっています。
この30年間で100万の天窓が販売され住まい手の家に設置されました。
そのうちベルックスの実績によると、1981年創業以来、1990年までに10万、1995年までに30万の天窓を販売し、天窓の耐用年数は25年。使用期限間近の天窓がベルックス製品だけでも、40万近くある計算になり、他社製も含めると、倍から3倍の70万〜100万の天窓が、雨漏りなどの問題に晒される危険性が増しており、これからのメンテナンスの重要性が、天窓業界では囁かれています。
そこで次に、天窓のメンテナンスの現状をご紹介致します。
雨漏りの責任転嫁とメンテナンスの高額さで放置されてきた現状
本来は、10年ごとにメンテナンスが必要な天窓。とは言え、屋根の修繕・葺替時にも天窓は放置していることがほとんどです。
これらの理由の多くは、雨漏りを確実に止めるのが専門工事店ではないと難しく、トラブルに巻き込まれたくない業者側からすると、トップライトのメンテナンスには敢えて手を付けなかったり、天窓メーカーの相次ぐ撤退や初期設置から年数が経過し過ぎたために、交換部材の供給が終了してしまい、大掛かりな工事をして交換せざるを得ないことから、費用がかさみ、住まい手も敬遠しているという悪循環が起こっているのが現状です。
それでは、実際に天窓のメンテナンスで困っている一軒家のオーナーはどうすれば良いのでしょうか?
天窓で困ったら、1に修理、2に交換、3が撤去
天窓の困りごとの多くは、雨漏りか開閉不良、もしくは暑さや眩しさということがほとんどです。
これらを解決する方法は3つ。
- 修理する
- 交換する
- 撤去し塞ぐ
ことになります。
修理が可能であれば、それで良いでしょう。しかし、ベルックスかリクシル以外のメーカーの天窓で、設置してから20年を超えているモノは、現実としては交換するという認識で居た方が良いでしょう。
もちろん、天窓にデメリットしか感じない!ということであれば、撤去して塞ぐということも検討されますが、いずれにしろ、交換か撤去であれば、屋根材や防水下地などの一時撤去・復旧などの屋根工事、大工工事、壁紙などの内装工事や足場工事と、ワリと大掛かりな工事になってしまうので、屋根や外壁のリフォームと合わせて検討したい内容です。
リフォームで新しく天窓を取り付けることってできるの?
なんだか天窓ありかも、、、と思った方もいらっしゃることでしょう。では屋根リフォームで新しく天窓を取り付けることはできるの? という疑問が湧いてきますよね。結論から言うと、できます。ただし、簡単じゃありません。
というのも、家の外の屋根に窓をつけるのが天窓。その屋根の窓が家の中までつながることで、天窓の長所が受けられることになります。
屋根と家の中がつながる? と勘のいい方は気づいたかもしれませんね。そう何か邪魔ですよね? そうです。屋根裏です。天井です。
屋根の天窓まで室内からつなげるためには、
- 天井をくり抜く
- くり抜いた穴から窓までを筒状? 箱状? に囲う
- 壁紙を貼る
ということが必要なんです。よく分からないけど大変そう、ということが分かっていただければ大丈夫です。このイラストを見ていただけると少しイメージしやすいかもしれませんね。
スカイライトチューブに関しては、こちらのホームページの解説がとても詳しいのでオススメです。
天窓のメリットデメリットをよ〜く知ってる屋根屋が教える採光リフォーム4つの方法!
この会社はなんと創業、慶應4年(1868年)! 愛知県の老舗の瓦屋「神清(カミセイ)」さんです。創業150年近くとかすごいですね。石川商店の倍以上の先輩企業さんです。実は上の写真もこちらからお借りしました。
1階にもかんたんに自然光を取り入れたい! という方にはスカイライトチューブという選択肢もいいですね!
【結論】天窓はあるべき! つけるべき!
天窓(トップライト)を設置すると、屋根だけの事を考えると良くないけれど、一軒家の総合的な価値は大幅に上がるため、
一軒家に天窓はつけるべき(特に都市部)
ただし、
しっかりとした屋根の専門家が工事をすることが条件
です。
家族の健康だけではなく、地球環境にも貢献する天窓。
特に冬暖かい家づくりが進む一方で、夏場のエアコン使用量は増加傾向で、都市部では、室外機からの排熱などによるヒートアイランド現象で屋外の気温が上昇し、ますますエアコンの使用量が増加して二酸化炭素の排出量も増える、という悪循環を抜けるための、ひとつの手段かもしれませんね。
◆この記事と合わせて読みたい!◆
古い天窓さようなら。デメリットを解消するリフォーム方法と費用が誰でもわかる3ステップ
石川商店からのお願い
自己紹介の下に「役に立った」「役に立たなかった」ボタンを設置してみました。
私たちは、屋根にお困りのお客様にとって必要な情報をお伝えしたいと考えております。
お客様の率直なご感想を受け、よりわかりやすくお伝えできるよう精進いたしますので、もしよろしければご協力をお願い致します。
- 創業75年、屋根専門石川商店の三代目。石川弘樹(いしかわひろき)です。
- 【資格】
- 1級かわらぶき技能士、瓦屋根工事技士、全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士、全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師、東京都瓦工事職能組合 震災対策委員長、耐震プランナー、増改築相談員、古民家鑑定士、ホームインスペクター(住宅診断士)、ジュニアリフォームソムリエ、リフォームスタイリスト1級、リフォーム提案士、ライフスタイルプランナー
- 【趣味】
- ワンピース(マンガ)
- 【目標】
- 2級建築士、瓦割り世界大会初代チャンピオン
- 【ブーム】
- ブラッククローバー
- 【困り事】
- 受験資格がないことが発覚
石川商店からのお願い
記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。
お客様の率直な感想をいただくため「役にたった」「役に立たなかった」ボタンを設置しました。
また、もしもっと知りたいこと、分かりづらかったことなどあれば下のコメント欄にご意見いただければと思います。
日々屋根にお困りのお客様にとって必要な情報をお伝えするために、ご参考にさせて頂きます。