ぼくは築10年、20年、30年と経過した、一戸建てや一軒家の屋根の点検や修理やリフォームで、屋根を1日に2件くらい、10年以上毎日毎日見てきました。
もう3000棟以上の屋根を見てきたでしょうか?
理想的な一軒家暮らしを夢見て建てた、自慢の我が家もあれから30年が経過。
そこでみなさまおっしゃるのが、
「屋根って30年放ったらかしで良いんじゃないの?」
「屋根から雨漏りなんて今時無いんじゃないの?」
「実は10年くらいでボロボロになってたんだけど、、、」
「ローンもあるのにこんなにメンテナンスにお金が掛かるなんて予想外だな、、、」
と嘆いているのです!
それでは住んでから30年後に後悔しないで済んだ屋根材とは何だったのか?
結論から言うと30年ほったらかしでもボロボロにならなかった屋根材は「瓦」だったのです。
しかもメンテナンス費用まで含めると、瓦の方が100万円も安くてお得だったのです。
ぼくたちのような屋根の専門家は知っていて、当然情報発信を続けています。
それなのに、建築業者は瓦をあまりオススメしません。どちらかというとコロニアルなどのスレートなどをすすめてきます。
なぜなら瓦は面倒なのに儲からないから。
この記事は、これから一戸建ての我が家を新築する人のために、
実際に住んでから困らない。後悔しない屋根材は「瓦」だというなのに、なぜ瓦がオススメだと誰も教えてくれないのか?
という建築業界のウラ話も交えながら新築時の屋根材の選び方の話をしましょう。
都心の新築一軒家の8割の屋根はスレート系屋根材の「コロニアル」が利用されている。
都心でダントツの一番人気は、スレート系屋根材の「コロニアル(カラーベスト)」
弊社の実績でも実に8割もの注文住宅の新築一戸建ての家の屋根に採用されています。
スレート(コロニアル)の屋根が多い理由は建てる業者側のメリットが大きいから。
実は、スレート系の屋根というのは、住む側よりも、建てる側のメリットの方が大きいということをご存知の人は少ないのではないでしょうか?
まとめると以下のようなことがあります。
建築業者側の5つのメリット
1)価格の安さ
瓦と比べると1枚あたりの金額はだいぶ安く抑えることができます。
2)だれでも施工できる
瓦よりも加工がしやすく、非常に取り扱いがしやすい屋根材です。
3)工期短縮で喜ばれる
2)で述べたように、加工がしやすいのでもちろん工期も短縮できます。さらに、工期にズレが出づらいというのもメリットでしょう。
4)利益が安定する
屋根材そのものが安く、商品の取り扱いが全国に広がっているため、手に入りやすいという利点もあります。
5)リフォームも見込める
耐久性は瓦と比べると低いので、今後リフォームの注文が増えるということがあります。
お客様に説明されるのスレートの3つのメリットって本当にメリット?
おそらくスレートの屋根を進められたお客様には以下のようなメリットが伝えられると思います。
1)スレートは瓦より軽くて地震に強い
確かにスレートは瓦に比べると重量は約半分。
ですが、通常の耐震強度を持っている家であれば、瓦の重量で地震時に倒れることはないと思います。
2)工期が短縮され引越し費用が抑えられる
おそらくこれは今住んでいる賃貸の家賃を払う期間が短くなる。ということを伝えられていると思うのですが、
その後住む家のメンテナンス費用を考えると果たして本当にやすいのはどっちだろうか。。。と考えてしまいます。
3)新築時の価格が安い
最初に支払う金額は確かにやすくなりますが、メンテナンス費用も含めた金額も考えるとそうでもなくなってきます。
スレート屋根は瓦と違って、10年で見た目がボロボロになる。
日本の一般住宅の平均寿命は27年と短命というのはご存知でしょうか?
その短命の原因のひとつだとぼくが考えているのが、ボロボロになった家の見た目。
30年近くもメンテナンスをしなかった屋根はあまりにもボロボロ。
大体のお客様がこんなにボロボロなら「建て替えるか」となるのです。
そう言った家の多くは、コロニアル・カラーベスト・厚型スレート・コンクリ瓦などのセメント系の屋根材を使っているお家です。
今一番人気の屋根材、コロニアルも入っています。
これらセメント系屋根材は、基材であるセメントを塗料で着色しているだけ。
その塗料が劣化して、ボロボロに見えたり、厚さが薄いモノでは簡単にヒビ割れが発生してしまうのです。
そうなってくると、何とか新築の時のキレイな見た目を取り戻そうとリフォームしますよね!
ちなみに昔ながらの「瓦」であれば、こういったことは起きません。
30年以上同じ家に住むなら家にかけるお金は瓦の方が100万円も得になる。
【初期費用】最初に屋根にかかる費用はスレートは瓦の半分で済む。
コロニアルの新築時の初期費用は、建坪30坪(100㎡)の家で約50万円です。
対して瓦(40枚判)の初期費用は2倍で約100万円です。
建坪30坪(100㎡)の住宅にかかる屋根材の初期費用
■スレート屋根=50万円
■瓦=100万円
【メンテナンス費用】スレートは10年に一度メンテナンス費用が。瓦は基本メンテナンスフリー。
次に、経過年数ごとに推奨されるメンテナンス費用をご紹介します。
スレート系コロニアルの場合、
10年毎に塗装工事。
30年目に全交換する(葺き替え)とされています。
瓦の場合は完璧な工事がされていれば、
最低10年毎に定期点検。
30年目に一部補修。
60年目に使える瓦を再利用して並べ直す(締め直し・葺き直し)とされています。
それぞれの経過年数ごとの屋根の維持費用を計算すると以下の通り。
今回はコロニアルの場合に少し節約したとして、15年で塗装することにします。
屋根材がスレートだった場合にかかるメンテナンス費用30年分
15年目 塗装50万=塗装費用30万+足場20万
30年目 葺き替え120万=葺き替え費用50万+下地補強25万+ごみ処理25万+足場20万
【合計】
170万円
維持費用の合計は170万円。
初期費用50万円を含めると全部で220万円となります。
屋根材が瓦だった場合にかかるメンテナンス費用30年分
10年目 点検5万
20年目 点検5万
30年目 点検10万>
【合計】
20万円
屋根のリフォームやメンテナンスにかかる維持費用の合計は20万円。
初期費用100万円を含めると全部で120万円となります。
結果としては、30年以上その家に住むならば、屋根材を瓦にするだけで100万円もお得になるのです!
それなのに、みなさんコロニアルを選んでしまっているのです。
正直言うと、、、もったいない!
ちなみにガルバリウム鋼板とかの金属屋根材もコロニアルと同様に塗装が必要な屋根材です。
コロニアルと同様に総費用では瓦に軍配が上がります。
これから家を建てるなら屋根材は瓦一択。地震対策も新築なら構造でカバーできる!
さらに、
ここの部分について、もっと詳しい話はこちらの記事でも書いています。
【余談】瓦の耐久性は、国もお墨付き
「そんなのウソだ!知らなかった!早く言え!」と怒られそうですね。(汗)
それを反省して、屋根業界とともに国も動いています。
現に国は、ストック住宅(中古住宅)の有効利用と、新築住宅の長寿命化に取り組んでいます。
そこでは屋根材の全交換などの大規模リフォームは60年に1回するかしないか、という仕様が検討されています。
そしてそれが可能な屋根材は瓦であるとされています。(基本的には)
というのも実際に自然環境下で60年維持できたことがある屋根材は、お寺や神社でも使われている瓦と銅板のみ。
特に瓦は、大規模修繕を終えたばかりの正倉院でも、約1000年前に作られてず~っと屋根に乗っていた瓦も選別後に再利用され、また屋根に乗りました。
日本最古の瓦も元興寺では、1400年以上も現役の瓦が屋根に乗っています!
この実績が買われているのです。
(同じく銅板も頑丈ですが、一般住宅では初期費用を回収出来ない可能性を考慮して標準仕様とはなっていません)
リフォームでも新築でも、今の家に30年以上は住む!という方は、屋根材は少なくとも瓦を選択することをオススメします。
もしわからないこと等あればお気軽にご相談くださいませ!
創業75年、屋根専門石川商店の三代目。
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【資格】
1級かわらぶき技能士、瓦屋根工事技士、全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士、全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師、東京都瓦工事職能組合 震災対策委員長、耐震プランナー、増改築相談員、古民家鑑定士、ホームインスペクター(住宅診断士)、ジュニアリフォームソムリエ、リフォームスタイリスト1級、リフォーム提案士、ライフスタイルプランナー
【趣味】
ワンピース(マンガ)
【目標】
2級建築士、瓦割り世界大会初代チャンピオン
【ブーム】
ブラッククローバー
【困り事】
受験資格がないことが発覚
DIYで作った個人ブログはじめました。
37歳おっさんが残りの半生での日々のチャレンジを綴っています。
http://hiroki-ishikawa.info
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