結論から言うと、土でできているものが瓦というのが世界共通です。
日本人の多くが、「瓦」と聞けば、あの銀色にいぶした波状の瓦を思い浮かべるのではないでしょうか?
しかし、瓦は各国に存在しており、その国の人によって思い浮かべるものは異なります。
ヨーロッパでは、表面に釉薬を塗らずそのまま焼いた、素焼きの瓦が多いです。
そのため、瓦というと赤や茶色のイメージが強いと思われます。
日本のいぶし瓦は世界に無いわけではありませんが、日本ほど整ったものは無いでしょう。
なぜ日本ではいぶし瓦が発達したのか?
おそらく、素焼きのままでは、日本の気候風土に対応できなかったからだと思います。
日本は南北に長いため、地域によって気候が大きく異なります。四季もあるため、一年を通して、寒暖の差も激しいです。 そのため屋根上にある瓦は、ある時は氷点下に、ある時は80度以上の灼熱に耐えないといけません。
また日本は湿度が高く、これも日によって20%、80%などと大きく変化します。
素焼きの瓦は吸水性が高いため、こういった気象条件の中ですと、中の水分がかたまり割れてしまったり、段々弱くなってしまったりする危険性があります。それを防止するため、いぶしたり、釉薬を塗ったりといった技術が発達したと考えられます。
もともと瓦は、「洋風建築を建てる時にスペインの瓦を使いたい」などの要望がありましたので、輸入は多くされていました。
しかし最近は、日本の瓦の輸出量も増えています。
例えば、ロシアなどの寒冷地にて、寒さに強くて長持ちする日本の瓦は重宝されています。
中国にも、日本のキレイな銀色のいぶし瓦は珍しいようで、よく輸出されているようです。
日本の瓦の精度の高さが評価されつつあるのでしょう。
では「日本瓦」とは一体何なのでしょうか?
JIS(日本工業規格)規格上では「J形」といい、以下のように定義されています。
J形
和瓦、日本瓦、和風瓦と呼ばれている、お寺の屋根などに使われている一般的な和風の瓦。J形のJはジャパン(JAPAN)を表します。
S形
ヨーロッパの屋根でよく使われている瓦。Sの字を描いており、ひと山が大きいのが特徴。
F形
上記以外の瓦。ふた山あるマウント瓦やフレンチ瓦、真っ平らの平板瓦などが対象となります。
これらはすべて形で分類されており、国産か外国産かは関係ありません。しかし、J形やS形といっても一般的には分かりづらいため、日本瓦や平板瓦など平易な表現が普及したのだと思われます。
また洋瓦とは輸入物を指す場合もありますが、一般的にはJ形以外の山がある瓦をいいます。
世界各国にある瓦。 国ごとに、その特徴を調べてみるのも面白いかもしれませんね。
次回は、「瓦のすりあわせ作業“合端(あいば)”って何?」についてお話しいたします。
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屋根専門石川商店の三代目、1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 サンジはいつ出てくるのか、、、
【困り事】 寝ても寝ても眠い病
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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