「合端」とは、瓦同士をぴったりすりあわせる作業のこと。
瓦は並べるイメージが強いですが、壁などの接合面においては、屋根のカタチに沿って切断する必要があります。 ただ切断しただけでは、切断面がキレイになりません。瓦同士をぴったりくっつけるためにも、やすりのようなものを使って微調整する。これが「合端」です。
瓦はとても固いため、合端も大変です。 木材を削るのであれば、のこぎりと紙やすりを使って、日曜大工でもできると思います。 しかし、ホームセンターで売っているような道具では絶対に瓦は切断できません。
詳しくは、第19回「屋根職人の七つ道具を教えて!」をご覧いただきたいのですが、瓦は鏨(たがね)といったダイヤモンドのように固い彫刻刀ややすりを使って削っていきます。 熟練の職人たちは、固い瓦をものともせず、素早くキレイに加工していきます。
瓦はまっすぐよりも斜めに切断する方が大変です。 斜めのなかでも45度は比較的簡単な方で、30度など鋭角になればなるほど、難易度が上がります。
合端作業はどこも大変ですが、例外的な納まりをしているところはさらに難しいです。
例えば、横30cm×縦30cmの瓦を9mの屋根に納めるとします。この場合、瓦を30枚使えば、ぴったり納まりますよね。
しかし、現実には、この屋根の幅が87cmだったりします。その場合、すべての瓦を1mmずつ削っていかなければなりません。削りつつも、加工したことを気付かれないよう、まるで新品のように見せる。これこそ職人技です。
ずれが1cmなど大きい場合は、さらに大変です(専門用語で「割り付けが悪い」といいます)。瓦は削る分量が多いほど加工が複雑になり、難しくなるからです。
どの部分の合端も丁寧に対応しますが、玄関など見えやすい部分の屋根は、特に気合いが入ります。もちろん、見えない部分も手を抜くわけではありませんが、やはり人々の目に触れやすいところは、より慎重に作業をする必要が出てきます。
今回は瓦の加工作業についてお話しましたが、瓦以外の屋根材でも、加工作業は大変です。
屋根屋さんは昔、主に瓦屋さんと板金屋さんに分かれていました。
それは瓦も金属も、加工技術を身につけるには、相応の技術が必要だからです。
瓦も金属も、加工作業は一発勝負。
一回削った瓦は二度と復活しませんし、一度折ってしまった金属の跡は一生取れません。
ひずみなくキレイに作業するのがプロの屋根職人の技。 キレイすぎて、気付くのが難しいかもしれませんが、「この瓦も職人さんの技術によってキレイに納まっているのだな」と時には感じていただけると嬉しいです。
次回は、「屋根のリフォーム時期はいつ?」についてお話しいたします。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜昭和二十六年創業。屋根に関する製造・販売・工事の全てを経験。
屋根専門石川商店の三代目、1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 カイドウやばい、、、
【困り事】 寝ても寝ても眠い病
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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