代表的なアスベスト入りスレート屋根材と点検時の状況
まずは、アスベスト入りのスレート屋根材の特徴を現場の写真を交えながら紹介していこうと思います。
クボタ アーバニーを使った屋根…築30年 塗装歴無し
- クボタ アーバニーの特徴
- 【見た目】ランダムな見た目と、隅棟周りの役物があるのが特徴のスレート屋根材。
- 【販売時期】昭和57年(1982年)〜平成6年(1994年)
- 【アスベスト含有率】10%くらい
規制の段階ごとにアスベストの割合を減らしていった屋根材ですので、30年前となるとまだ10%はアスベストが含まれている頃です。
※ノンアスベスト屋根材の先駆けともされるアーバニーグラッサの前の商品になります。
大きくスリット(切れ込み)が入っている事から、人が乗ったり石が当たったりして割れてしまうことが多いのですが、
今回のお宅は塗装もされておらず、業者さんが上がった形跡もありません。
コケが生えてしまっていますが屋根材そのものに問題は無く、雨漏りもしていないようです。
クボタ コロニアル…築30年 塗装歴有り
- クボタ コロニアルの特徴
- 【見た目】オーソドックスな見た目。
- 【販売時期】昭和36年(1961年)〜昭和61年(1986年)
- 【アスベスト含有率】10%〜26%とアーバニーに比べ少し多め。
施工当時、カラーベスト・スレート同様よく使用されていたオーソドックスな屋根材。
結構ロングラン商品だったんですね。
今よく使用されている「コロニアルグラッサ」等によく似た見た目で、経年劣化で白くなっている部分が見られます。
こちらは塗装されているにも関わらず、踏み割れ等の不具合は見当たりませんでした。
セキスイ かわらU…築15年前後 塗装歴無し
- セキスイ かわらUの特徴
- 【見た目】波型スレートという名前の通り、波打った形のスレート。
- 【販売時期】昭和50年(1975年)〜平成2年(1990年)
- 【アスベスト含有率】不明
波型スレートという名前の通り、波打った形のスレート屋根材です。昭和50年(1975年)〜平成2年(1990年)まで販売されていました。
パミールと同様「10年未満でボロボロになる」と言われているものと同じ名前ですが、こちらはその商品にアスベストが入っている頃の商品になります。
他のアスベスト入り屋根材に比べてかなり最近に施工されている他、商品の廃盤後に施工されたようです。補修用で在庫していた物で施工されたのではないかと考えられます。
アスベスト入りのスレートが主に使われていたのは1961〜2004頃まで。
アスベストが入った屋根材が使われ始めたのは大正時代と随分昔なのですが、屋根材の定番として全国で広まったのは今から55年前の1961年。使われていた主な石綿素材は当時の主流でもあった白石綿(クリソタイル)と言われています。
なぜ石綿がそこまで使われていたのか?というと、粘り気が強くて耐久性が高く、他にも耐火性・防音性・断熱性にも優れていて、軽くて安価だったからです。
健康被害があるとして、アスベストがほぼ禁止されたのは12年前の2004年。
その頃にはかなりの問題になっていて、屋根材メーカーも1999年には「アスベスト含有屋根材の販売はしない」としています。
今から約15年以上前にお家を建てたり屋根を葺き替えてスレートになさった方はアスベスト入りのスレート屋根材である可能性は十分にございます。
自宅の屋根材がアスベスト入りのものかわからない!という方は、調査だけでなく、写真をお送りいただけますとそちらで判断できる事もございます!
不安な方はお気軽にご相談くださいませ。
意外とアスベスト入りのスレートは施工されているだけなら丈夫で害は無い。
「業者さんに、アスベスト屋根材は危険だと言われた!」
「屋根に石綿入ってるみたいなんだけど絶対これ危ないですよね…」
という方も多いのですが、実は施工されているだけならアスベストは飛散しません。
よくテレビで問題になっている健康被害の原因は「内装部分」によく使われた「吹き付けのアスベスト」で、県や自治体が撤去・封じ込め工事をする前に吸い込んでしまったもの。
要するに屋根材であるアスベストが入ったスレートは、使われているだけなら害はございません。
害がないと言い切れるのはなぜか?
と言いますと、基材のセメントによってかっちりと固められ、密度が高い状態で成型されているからです。
イメージとすれば、一枚一枚が封じ込めされているようなもの。
建設業労働災害防止協会のアスベストの分類においても、レベル1〜3の中で発じん性(飛散のしやすさ)が最も低いレベル3とされています。
スレートのアスベストは撤去時に危険がある。
もしアスベストが出てくるとすれば撤去す時に割ったり、切断したり、穴を開けた場合なのですが、その時はむしろ作業者の方に危険が及びます。
とはいえ撤去の際は作業員も防塵マスクを付けるなど法律に則った形で十分配慮しながら処理しますし、廃棄も「石綿障害予防規則」「廃棄物処理法」に基づいた各地域の廃棄方法で処分致します。
見分け方:築15年後、綺麗な状態ならアスベスト入スレートの可能性が。
「ちょうどうちの屋根、アスベスト無くなりかけの時に建てたんだけど…うちのスレート屋根アスベスト入っているの?」
と不安になられている方もいらっしゃいますよね。
見分け方と致しましては非常に簡単です。
アスベストが無くなった直後の屋根材は、アスベストと同等の強度が無くむしろ脆い屋根材でした。
おそらく研究段階で、強度等ちゃんとした試験や結果が得られないまま世に出されたのではないでしょうか。
そのため、築10年前後という屋根材としては通常では考えられない短期間でボロボロになるという不具合が現れています。
また、塗装をしても割れ・ズレ・剥離はまた現れてくるので手の施しようがありません。
(アスベスト禁止直後の屋根材・パミールの場合)
ですので、
築年数(または施工してから)15年以上経過していて色あせ・コケ以外の不具合が見当たらないなら「アスベスト入り」
逆に築15年前後で「穴開き」「ひび割れ」「ズレ」「ミルフィーユ状の剥離」といった症状が見受けられるなら「アスベスト無し」
となります。
アスベスト入りのスレートは撤去・処理費用は通常の倍以上になる事も!
上に記載させて頂きましたように、アスベスト入りの屋根材を撤去する際は危険のないように十分配慮した特殊な形で行う為、処理の費用だけでも割高になります。
また、業者もどこでも良いという訳ではなく
「石綿作業従事者特別教育」の受講と「石綿作業主任者技能講習」を修了している業者でないと作業はできず、
作業自体にもリスクも伴うので作業費も高くなってしまうのです。
アスベスト対策の「カバー工法」は必ずしも良いとは限らない
撤去や処理の費用が掛かってしまう、そんなアスベストが入った屋根材でオススメされがちなのは「カバー工法(重ね葺き)」
カバー工法は屋根材の上に屋根材を重ねるので撤去費用がかからない事が利点です。
とはいえ、2度目に全体の改修工事をする場合は葺き替えとなるので、その時には更に撤去費用が掛かってしまうのが難点の一つ。
それなら葺き替えしてしまった方が良いのか?とも考えられますが、アスベスト入りの屋根材は丈夫な屋根材。
ちょっとした補修と塗装だけで築40年もったケースもございます。
では何が一番良くて何を選ぶべきなのか?というと、「お客様のご自宅が築何年なのか、今後建て替えの予定はあるか」で大きく変わります。
そちらに関しましては弊社の記事にまとめております。
まとめ:屋根にアスベストが入っていても健康への影響はほとんどないが、撤去時には注意しよう!
健康被害があるとして問題のあったアスベスト。
屋根材に使われているだけなら特に影響は無く、むしろ硬くて丈夫な屋根材なんですね。
ただし撤去の際は費用が掛かってしまうので注意が必要。
とはいえ、大きな工事を検討なさっているなら、
この先ご自宅にどのくらい住まわれるのか、メンテナンスはどのような形が希望か等を十分にご検討なさる事をオススメいたします。
他にもわからないことがあれば、弊社にお気軽にご相談ください。
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- 創業75年、屋根専門石川商店の三代目。石川弘樹(いしかわひろき)です。
- 【肩書】
- 日本屋根ドローン協会代表理事、東京都瓦工事職能組合 震災対策委員長
- 【資格】
- 1級かわらぶき技能士、瓦屋根工事技士、全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士、全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師、耐震プランナー、増改築相談員、古民家鑑定士、ホームインスペクター(住宅診断士)、ジュニアリフォームソムリエ、リフォームスタイリスト1級、リフォーム提案士、ライフスタイルプランナー
- 【趣味】
- ワンピース(マンガ)
- 【目標】
- 瓦割り世界大会初代チャンピオン
- 【ブーム】
- 10年ぶりに1日3食に戻す
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石川商店からのお願い
記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。
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また、もしもっと知りたいこと、分かりづらかったことなどあれば下のコメント欄にご意見いただければと思います。
日々屋根にお困りのお客様にとって必要な情報をお伝えするために、ご参考にさせて頂きます。
アスベスト含有の29年経過したクボタコロニアルです。10年経過したときに1回屋根塗装しました。
今、屋根の改修を考えていて2,3社の業者に見てもらい、カバー工法か葺き替えか最終判断をすることになります。
金額的に30~40万の差額なら葺き替えにしたいと思っていますが、もし新しく葺き替えする時、30年は大丈夫な新しい屋根材を何にすればよいのか種類が多くあり判断に苦慮しています。
ルーフィング(防水シート)は重要ですから30年大丈夫なものを使用するつもりです。
岡野さま、石川商店の石川弘樹です。
結論からいうと、
・工事方法: 葺き替えで、屋根下地の補強
・屋根材: アスファルトシングル系「 オークリッジスーパー 」
→ コロニアル同等+ 踏み割れしない
・ルーフィング: 田島「 ライナールーフィング 」
となります。
以下、それぞれ回答致します。
カバー工法の向き不向きは、こちらの記事で確認できます。
■スレート屋根で、カバー工法がむいてない家、葺き替えや部分補修がよい家 | 石川商店
http://riverstone-roofing.com/test2020/basic/cover-2020/
また「 カバー工法が安くてお得 」 という意見が多いですが、実際に見積もりを比較すると、逆転現象が起こっていることが多々あります。
詳細は、こちらの記事で確認できます。
■スレート屋根材のカバー工法、費用が安いは本当か?【実際の見積り公開】 | 石川商店
http://riverstone-roofing.com/test2020/reconew/roof_cover/
さらに「 カバー工法が早くて安心 」 という意見が多いですが、石川商店の場合、30坪100㎡の家であれば、たいていは1日で葺き替え工事が可能です。
くわしくは、こちらの記事で確認できます。
■不具合の多いスレート屋根、30坪100㎡、1日で葺き替えできます | 石川商店
http://riverstone-roofing.com/test2020/information/oneday-reform/
参考までに、スレート屋根のメンテナンス目安の、くわしい記事は、こちらで確認できます。
■スレート、コロニアルの台風対策。予防のための補修や工事方法と費用 | 石川商店
http://riverstone-roofing.com/test2020/hirokiroom/prevent-your-roof_002/