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戸建住宅のリフォームにおける屋根工事、特にスレート屋根材へのリフォーム工事において、ここ数年多くなってきたのが「ガルバリウム鋼板によるカバー工法」なのですが、なんでもかんでもガルバリウム鋼板で工事をすれば良いってことではありません。
そこで今回、この「ガルバリウム鋼板でのカバー工法」をご検討中の方や、リフォーム会社さんから勧められている方へ、特に気を付けていただきたい事についてご説明したいと思います。
■そもそもガルバリウム鋼板が分からない!という方はこちらから
屋根工事でのカバー工法とは?
屋根のカバー工法は、既存の屋根材を撤去せず、その上から新しい屋根材を施工する工法です。
そして、この屋根カバー工法に使用される屋根材の多くが「ガルバリウム鋼板」に代表される「金属屋根材」なのです。
これは金属屋根材の最大の特徴である「軽い」ことが、このカバー工法に多く採用される理由でもあります。
ガルバリウム鋼板でのカバー工法は万能ではない
スレート屋根材の中でも「アスベスト(石綿)」を含んだものであれば、カバー工法によってその撤去費用と廃材処理費用を抑えることができ、更には工期が短縮できるというメリットを大々的に宣伝しているリフォーム会社さんがほとんどです。
実際にアスベストを含んだスレート屋根材の処分費用は、アスベストを含まないスレート屋根材と比較しますと、おおよそ3~4倍も高くなってしまいます。また、処分費用の他にも石綿飛散防止のため養生費用等も発生することから、カバー工法を勧めるリフォーム会社さんが多いのです。
ここで注目していただきたいのは「アスベスト(石綿)を含むスレート屋根材」です。
日本におけるスレート屋根材としては、1957年(昭和32年)11月に久保田建材工業株式会社から発売された「カラーベストコロニアル」が最初で、今でも「スレート屋根材=コロニアル」と呼ばれるほどです。
しかし「アスベストは人体に有害である」という論文が公開されたことをきっかけに、日本国内においては2004年(平成16年)までに石綿を1%以上含む製品の出荷が原則禁止され、翌2005年(平成17年)には「石綿障害予防規則」が施行されることとなりました。
これを見据え各屋根材メーカーは1999年(平成11年)頃からアスベストを含まない屋根材の販売を開始しております。
屋根材メーカーにより多少の前後はありますが、2002年(平成14年)以降に建てられた戸建住宅のスレート屋根材には、アスベストは含まれていないということになります。
こちらの屋根材はカラーベストコロニアル、おおよそ築30年経過の状態で過去に一度だけ塗装歴があります。
築30年を経過しているということは、この屋根材にはアスベスト(石綿)が含まれていますので「葺き替え工事」を選択した場合は撤去費用や処分費用が割高になってしまいます。
このようなケースで、屋根の下地の木材が傷んでいない場合は、ガルバリウム鋼板によるカバー工法は「正解」と言えます。
しかし一般的な傾向として、スレート屋根の家は、築30年前後で防水シートが劣化し、屋根の下地の木材が傷んでいることが多いです。
その状態でカバー工法をすると、強度のない下地に屋根材を固定しているので、最悪の場合、台風などの強風で、新しくカバーした金属屋根材が飛んでしまう、ということも起こる可能性があります。
なので、屋根下地の木材の補強ができる「 葺き替え 」 工事が、台風対策の予防工事としてはおすすめです。
「ガルバリウム鋼板」の中でも表面に天然石粒が施されている「ディプロマット(ディーズルーフィング)」です。再塗装工事が不要な屋根材で、今後のメンテナンスコストを大きく削減させることができる屋根材です。
ちなみにこのお客様「自分はもう定年してるから今回が最後のリフォームと考えて、どうせやるなら20~30年屋根の心配をしなくていい屋根にしたかった」「自分が死んだらあとは息子が建て替えるなりリフォームするなり好きにするよ」と話されておりました。
ということなので、上記のデメリットは認識した上で、カバー工法を選択しました。
築年数が15年前後で屋根のリフォームをご検討されている方やカバー工法を勧められている方は、まずご自宅の屋根材の状況をしっかりと把握し、本当に適切な工事なのかどうかを見極めることが大切です。
そして、新しい屋根材にはどんなメンテナンス工事が必要なのか?そしてその費用など、将来発生するメンテナンスコストまで考慮して屋根材を選択することが必要なのです。
■カバー工法の向き、不向きについて、くわしくは、こちらの記事で確認できます。
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林 洋道(はやし ひろみち)です
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