石川商店

安く屋根を作る方法ってあるの? 裏技とかないの?

ー教えて屋根屋さん! 第108回ー

「家を建てたい! でも、お金がない……」
そんなとき、なんとか節約しようと、安く屋根を作りたい!と思う人もいるはず。
では、安く屋根を作ることはできるのでしょうか? その方法とは?

 

安い屋根材といえば、人工スレート。
一般的にはコロニアルとか、化粧スレートとか、スレートとか呼ばれています。
このスレートの屋根材の1枚あたりの値段は、瓦の3分の2程度。
例えば、人工スレートの屋根材の初期費用が20万円だとしたら、瓦の屋根材は30万円ほどになります。

そしてここに施工費用をそれぞれ加算すると、人工スレートに50万円、瓦に100万円の初期投資がかかるとしましょう。
じゃあ、スレートの方が安くていいじゃない? と思いますよね?

 

しかし、ここには大きな落とし穴が。

確かに初期費用は人工スレートのほうが50万円安いです。
ところが、瓦と違い、塗料を塗っている人工スレートの屋根材は、15年もするとすっかり劣化して、見た目も汚くなり、メンテナンスの必要性が出てきます

すると、そこでメンテナンス・塗装費用として、50万円ぐらいかかります。

 

さらにまた15年後、塗装がはげて、再メンテナンスが必要になります。
そこで、50万円を再投資。
すると、気づいたら屋根にかける費用は、

 

瓦=100万円
人工スレート=150万円

 

という、逆転現象が起きてしまうのです。

 

そのため、20~30年程度で壊す家でしたら、安い人工スレートでかまいません。
しかし、60年以上住む家でしたら、コスト的には瓦をおすすめします。

 

もっといってしまえば、家全体の建築費を下げたいならば、屋根以外の部分を削ったほうがコスト削減につながります。

 

なぜなら、新築の一軒家を建てるとき、総工事費のなかで、屋根が占める割合はたったの2~3%
1000万円をかけて家を建てるとしたら、30万円が20万円になる程度の節約にしかなりません。

 

それに対して、お風呂、キッチン、洗面所などの水回りの内装費は、25~30%。
金額でいうと、250万~300万円です。
その費用を、3割カットすれば、75万~90万円の節約になります

 

最新のシステムキッチンや総檜風呂のお風呂を導入したいという人もいるでしょう。
しかし、それらは20年もすれば、古くなり、買い替えたくなります
それに、内装に関しては、他者から見えることはありません。そのため、古いままでも特に問題なく過ごせます。

 

ですが、屋根は20年後に劣化してしまうと、家全体がとてもみすぼらしく見えてしまいます
屋根の影響は小さいと思われがちですが、屋根の汚れは非常に目立ちます。
上部にある情報は、面積が小さくても、インパクトが大きいのです。
人間でも、髪の毛が占める割合は少ないですが、見た目に与える影響はとても大きいです。
屋根も同じようにとらえていただければと思います。

 

そのため、最初は「屋根の塗装は要りません」と言っていた人でも、家が完成すると気になり、数年後に塗装を依頼するという人も多いです

 

結論としては、

 

・屋根の初期投資はスレートを使えば安くなる。でも60年以上住むことを考えれば、瓦のほうが断然お得!
・そもそも家の建築費用を削減するとき、屋根は対象に入れない。屋根の費用削減は、結果的に家全体をみすぼらしくしてしまい、家の寿命を縮めてしまう。

 

ということです。

 

こんなことを教えてくれる人は屋根職人以外いないので、「え?」と思ったかもしれませんが、ぜひ家作りの参考にしてくださいね。

 

 

次回は、「屋根のスレートとは何?」についてお話しいたします。

 

「教えて、屋根屋さん!」の連載記事の目次はこちら。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜昭和二十六年創業。屋根に関する製造・販売・工事の全てを経験。
屋根専門石川商店の三代目、1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】  ワンピース(マンガ)
【目標】  瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 なんだか断りそうだな、、、
【困り事】 寝ても寝ても眠い病
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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