ー教えて屋根屋さん! 第112回ー
「屋根が汚れてきたなぁ……」
「雨の時雨樋から水が漏れてくる……」
そんなとき、ひょいと屋根に上がって、自分で掃除できたら便利ですよね。
では、素人が1人で屋根を掃除することはできるのでしょうか?
回答としては、屋根に上れれば、できないことはありません。運動神経が良くて、簡単に上ってしまう人もいます。
しかし、危険性は高いので基本的におすすめはしません。
とはいえ、「自分でやった方が早い」「業者さんにお願いするのも気がひける」という方も多いですよね。
中には「そもそも掃除って必要なの?」という方もいらっしゃるかと思います。
そんな方のために、石川商店で行っているお掃除について簡単にご説明いたします。
(この記事は2016/11/24に投稿された記事を2017/8/3に再編集したものです)
屋根の掃除について
屋根が汚れる原因3つ
なかなか屋根が見えにくい都心ではあまり気にならないのですが、ふと見た時に汚らしいと気になってきますよね。
そんな屋根が汚れる原因は以下の3つ。
・塗膜の劣化
・傷んだ塗膜から生えたコケ
・風で飛んできた砂埃や花粉
砂埃や花粉は雨で綺麗になりますが、初めの二つは放っておいて綺麗になるものではありません。
(瓦屋根は塗膜の色が変わることはあっても劣化することはございません。)
ちなみに余談ですが、屋根の塗膜が劣化したり、コケが生えているからといって雨漏りするわけではないのでご安心を。
屋根の掃除に必要な道具と方法
使うものは、車の洗浄や網戸のお掃除にも使われる「ケルヒャー」の超強力業務用にあたるものです。
お掃除する時のコツは、古くなった塗膜や生えたコケを「削り取るように」洗うこと。
また、洗い残しのないようしっかりと洗うこと。これだけです。
非常にシンプルですが、これが一番重要なポイントなのです。
屋根の掃除だけ行なってもあまり意味はない
お掃除で古い塗膜や汚れを飛ばすと、いったんキレイになってもまた数年で汚れてしまいます。また、場合によってはほぼ塗膜が剥がれて真っ白になります。
それもそのはず。屋根のお掃除はそもそも塗装をするための準備なのです。
ですので、下塗り材が密着するよう、新しい塗膜が剥がれてしまわないよう、表面の汚れや劣化した塗膜をしっかりと飛ばす必要があります。
そうして塗られた新しい塗膜は、また10年〜15年と長持ちするのです。
屋根の掃除は塗装含め業者にお願いするべき
屋根のお掃除と塗装はセットで行うものです。塗装は専用の塗料を数種使い、刷毛で丁寧に3〜4回塗らなくてはならない他、隙間が埋まらないようにしなくてはなりません。そうするとDIYで作業されるのは無理がございます。
ですので、屋根を綺麗にしたい!という方は屋根屋さんか塗装屋さんにお願いするのが得策です。
雨樋の掃除について
雨樋の詰まりの原因3つ
雨樋のお掃除にお伺いして、よくお見かけする原因は以下の3つになります。
・落ち葉や花びら
・砂埃やチリ
・カラスが押し込んだ異物
放置しておくと落ち葉も土になって、数年後には立派な草が生えて花を咲かせていた…なんてこともございます。
雨樋掃除に必要な道具と5つの手順
使うものは
・トングやほうき
・長い針金やアース線
・長いホース
の3種類。
手順といたしましては、
①横に這っている樋に溜まったゴミや土をトングなどで取り除く
②水が集まる場所(集水器)のゴミを取り除く
③ホースから水を流し、下まで水が流れるか確かめる。この時水が流れれば完了。
④まだ詰まっているようなら、水を流しながら地面と軒樋をつなぐ縦の樋(竪樋)を叩く。
⑤それでも改善されなければ、アース線などの太く長く、くねったところに添いやすいもので中を突き水を流す。
以上の流れで大体の詰まりは取れます。
雨樋の詰まりが起こすトラブル
雨樋が詰まってしまうと、雨の日にバシャバシャと音が鬱陶しくて仕方がありません。
また、それ以外にもデメリットがございます。
・バシャバシャと言う水音で騒音トラブル
・泥が跳ねて外壁が汚れる
・水で土が抉られ、最悪躯体(家の木組み)の腐食に
また、雨樋や屋根の形によっては、壁と屋根の継ぎ目から水が入って雨漏りがひどくなる、と言うケースも。
そのため、雨樋のお掃除は気がついた時点で早めに行うのがオススメです。
雨樋の掃除をする時期は「春」と「秋」
春や秋は花びらや落ち葉が舞ってくるだけでなく、風が強い時期なので砂も飛んで来やすいのです。
また、梅雨や台風など長雨の前になりますので、そうしたゴミを早めに取っておくに越したことはありません。
詰まりすぎると撤去に相当な労力が必要になりますので、定期的なお掃除が大切です。
屋根・雨樋の掃除はどちらにせよ非常に危険
冒頭でも申し上げました通り、屋根や雨樋のお掃除を、不慣れな方がされるのは大変危険です。
屋根の上はコケが生えていたり、濡れていることもございます。
そこで足を滑らしてしまうと、真っ逆さまに落っこちてしまいます。
老朽化した屋根材を踏んで割ってしまい、屋根材の欠片ごと転落してしまう人も。
古い瓦屋根を踏んで割ったりして、雨漏りなど二次被害を発生させてしまうこともあります。
雨樋に関しましても、軒先にありますので、一歩踏み外したら、地面に転落してしまいます。
非常に危険なので、基本、自分たちではしないでください。
職人は、安定している場所や、屋根材が絶対に外れない場所などを知っています。
ですので1人でも作業できますが、それでもはしごがバランスを崩さないよう基本的に2人1組で作業します。
それらを知らない人が屋根の上で作業するには、なおさら細心の注意が必要です。
プロなら、安全にお掃除ができるだけでなく、雨漏りしている部分など明らかな屋根の不具合を発見し、指摘や応急処置をすることができます。また、そこから必要な工事をご提案することも可能です。
それを悪用する業者もおりますので一概にはいえませんが、雨漏りなど二次被害を防げることを考えるとメリットは大きいです。
簡単そうに見える屋根のお掃除ですが、慣れない高所での作業にリスクはつきものです。
大けがしないためにも、細心の注意を払うか、またはプロに任せするか、どちらか選んでくださいね。
次回は、「日本らしい家を建てるには」についてお話しいたします。
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屋根専門石川商店の三代目、1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 なんだか断りそうだな、、、
【困り事】 寝ても寝ても眠い病
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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