ー教えて屋根屋さん! 第113回ー
家を新築するとき、「昔ながらの純和風の家を建てたい」という人もいると思います。
「古民家のように」とまではいかなくても、外観からちょっと日本の趣を感じさせてくれるような家って素敵ですよね。
では、そのような家を建てるには、どの部分に気をつければいいのでしょうか?
まず新築の場合、現在は建築基準法上、古民家のような家は建てられません。
2020年以降は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)の標準化もスタートするので、古民家のような純和風の家を建てるのはだんだん難しくなるでしょう。
といっても、そのような雰囲気を取り入れたいという人もいると思います。
そのような場合、以下の方法がおすすめです。
まず一番簡単な方法は、ししおどしや竹、格子戸などを使って玄関を和風にすることです。
建物の中は建築基準法は関係ないので、玄関を和風にすれば、建物に入る前と入ったあとのイメージにギャップが出ません。
建物の屋根は、いぶし瓦の利用をおすすめします。
いぶし瓦とは、お寺などに使われている、銀色の瓦。
あの瓦を見ると「日本っぽいなぁ」と感じる人は、国籍問わず多いです。
いぶし瓦の屋根
ついでに、いぶし瓦は瓦を燻製にしたもの、釉薬瓦はお茶碗のように表面に薬を塗ったもの、素焼きは植木鉢のようなものです。
もっと詳しく違いを知りたい人は「粘土瓦と陶器瓦の違い」を読んでくださいね。
さらに格式の高い和風建築を演出するならば、屋根に反りやむくりと呼ばれるカーブを入れることをおすすめします。
反りとはえび反りのように屋根が反っている部分、むくりは逆に屋根の盛り上がっている部分を指します。
一般住宅の屋根は直線ですが、屋根に反りやむくりを加えるだけで重厚感が生まれ、より格式のある家に見せられるのです。
屋根の反りやむくり同様におすすめなのが、唐破風です。
破風とは、三角屋根の三角部分を指します。
この三角の部分がぐにゃりと湾曲しているものを唐破風と呼びます。
歌舞伎座の唐破風
唐破風は銭湯などでも見かけることができますが、代表的なのが歌舞伎座です。
関東大震災のとき、新築工事中だった歌舞伎座ですが、ほかの家々が地震の影響で崩れ落ちる中、びくりとすることもなく堂々と生き残りました。
そのイメージが日本の復興の象徴として日本人の中にすり込まれ、銭湯を作るときもいつまでも続くことを願って、歌舞伎座の唐破風を取り入れるところが増えたそうです。
(※諸説あります)
ただし屋根の反りやむくり、唐破風は、一般住宅でも取り入れることはできますが、大工や瓦職人の中でも特に高度かつ特殊な技術が必要です。そのため、一般的な大手ビルダーに依頼しても職人が集められない可能性が高いです。
この唐破風などは、マンションやビルの中でもできます。
一般住宅は難しいかもしれませんが、ビルの中に入っている高級な和食屋さんなどでも、時折格子戸のうえにちょっとした屋根を取り付けているお店があります。
あれも日本風を演出するには、かなりいい作戦です。
日本風を演出する方法は分かりましたか?
日本を愛する人ならば、このような工夫を凝らすことで、新しい家に対してもっと愛着を持てるようになるのではないでしょうか。
「日本風の家にあこがれる!」という人は、ぜひご自宅にもちょっとした“和風”を取り入れてみてくださいね。
次回は、「一番安い屋根材・屋根の種類形状は?」についてお話しいたします。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜昭和二十六年創業。屋根に関する製造・販売・工事の全てを経験。
屋根専門石川商店の三代目、1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 なんだか断りそうだな、、、
【困り事】 寝ても寝ても眠い病
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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