石川商店

屋根勾配の決め方は? 勾配が違うと何が変わるの?

ー教えて屋根屋さん! 第128回ー

 

屋根の勾配って何?

勾配(こうばい)という言葉をご存知ですか?
屋根の勾配とは、いわば屋根の角度のこと。
屋根業界では、屋根の角度がなだらかなことを「勾配がのろい」「勾配が遅い」と表します。
では、この屋根勾配は屋根に一体どのような影響を与えるのでしょうか?

 

勾配が屋根に与える影響

まず屋根の勾配がのろいと雨漏りのリスクが高くなります。
逆に、屋根の角度が急であるほど、水が勢いよく飛んでいくので、雨漏りのリスクは低くなります。
日本は全国平均で4日に1回は雨が降るほどの降雨大国。
そのため茅葺(かやぶき)屋根など昔の住宅は、すべて急勾配です。

 

しかし現代では屋根業界でも技術が進化し、フラットな陸屋根でも防水できるようになりました。
そんな時代において多くの方々が考えていることが、太陽光の発電量です。

 

ソーラーパネルには、発電量を最も多くするのに適した角度があります。
それは夏至の日の太陽の入射角が真南で90度になる角度で、地域によって異なりますが、大体4~6寸勾配(約21~30度)といわれています。

 

一般的な屋根勾配の決め方

では、新築を建てるとき、我が家の屋根の角度は何度がベストなのでしょうか?
一般的に屋根の勾配は、建築基準法の日影規制や道路規制に抵触することなく、敷地面積ギリギリになるよう屋根屋さんが計算して決めます。
土地に余裕がある場合は、そのような決め方をする必要はありませんが、大抵の方は土地いっぱいに家を建てるので選択の余地がなくなってしまうのです。

 

また、最低この角度はないと防水上の理由で使用できないという決まりがある屋根材もあります。
最近はメーカーも、屋根材の間口を広げようと、新商品をどんどん開発するのでだいぶなくなってきましたが、かつては「瓦は4寸未満は不可」「スレートは2.5寸以上のみ対応可」「金属は1.5寸未満で使用する場合は別途防水を二重張りに」といったルールが散見したものです。

 

今人気のフラットルーフ、実は危険!?

近年はプレハブ住宅の台頭もあり、陸屋根やフラットルーフと呼ばれる勾配がない屋根も人気です。
フラットルーフは法規制に引っかかることがないので、どの家にも適応できます。
屋上にソーラーパネルが乗っかっている家を見かけたことがある人も多いんじゃないでしょうか?

 

フラットルーフは角度がないためメンテナンスしやすいイメージがありますが、逆に角度がないからこそメンテナンスの必要性も高まります。
冒頭でも述べましたが、屋根は勾配がのろいほど雨漏りのリスクが高まります。
その危険性が最も高いのが、フラットルーフなのです。

 

そのため、屋上のある家を建てた方は10年に1回は必ずメンテナンスするようにしてください。
最近は屋根業界の技術も進化し、屋根メンテナンスの周期も10年に1回から20~30年に1回に移りつつありますが、フラットルーフだけは例外です。
ソーラーパネルだけでなく、ソーラーパネルが乗っかっている屋根も必ずメンテナンスする必要があります。

 

一見、どの角度でも変わりないように見える屋根ですが、勾配によって雨漏りのリスクや太陽光の発電量は変わってきます。
ご自身で「この角度にしてください」と言える必要はありませんが、各勾配の特徴を理解していると屋根トラブルも少なくなるかもしれませんよ。

 

 

次回は、「屋根の塗り替え時期はいつ? 再塗装すべきタイミングとは」についてお話しいたします。

 

「教えて、屋根屋さん!」の連載記事の目次はこちら。

 

 


創業75年、屋根専門石川商店の三代目。
1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】  ワンピース(マンガ)
【目標】  瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 ブラッククローバー
【困り事】 正月食べ過ぎた

DIYで作った個人ブログはじめました。
37歳おっさんのチャレンジを綴っています。
http://hiroki-ishikawa.info/wp


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