ー教えて屋根屋さん! 第131回ー
人気急上昇中! 金属屋根材とはどんな屋根?
「金属屋根材」と聞くと、皆さんどんなイメージがありますか?
昔ながらの屋根、軽い、雨音がうるさいなど色々な感想があると思います。
そんな金属屋根材ですが、過去70%近くあった瓦屋根のシェアが50%程度に落ちたのも、金属屋根材のせいだといわれるほど、今人気が高まっています。
では、金属屋根材とは一体どんな屋根材か。特徴をみていきましょう。
金属屋根材のメリット・デメリット
金属屋根材の最大の特徴が、軽いこと。
ほかの屋根材と比較すると圧倒的に軽く、その重さは瓦の約10分の1、軽量屋根材に分類されるスレートやアスファルトシングルの2分の1~4分の1ともいわれています。
軽いため、加工・運搬が容易であり、高層の建物には最適。
フランスなどヨーロッパ諸国では評価が高く、高い建物の屋根はほとんど金属屋根材です。
また厚さも0.35〜0.4mm前後と薄いため、シンプルでスタイリッシュなデザインの家にはぴったり。
最近は、屋根に傾斜を持たせない箱形の家も増えており、緩やかな傾斜の屋根を乗せたいときは大抵金属屋根が採用されます。
近年はソーラーパネルを乗っける家も増えてきていますが、金属屋根材はその点でも優れています。
基本、ソーラーパネルを設置する際、屋根に穴を空けたり、屋根面に何かしらの施工をしたりする必要が出てきますが、縦ハゼ葺きの金属屋根材でしたら、屋根面に穴を空ける必要がありません。
そのため、ソーラーパネル設置し、メンテナンスフリーで30年間屋根を保たせたいならば、縦ハゼ葺きをおすすめします。
(縦ハゼ葺きについて詳しく知りたい方は「瓦棒葺きとはどんな屋根? 特徴を教えて!」をご覧ください)
金属屋根材は、下地材に接着するよう屋根材を貼り付けるため、加工性が高く、雨漏りにも強いです。
しかし、そこがデメリットになることも。
まず屋根面が近いため、雨音が気になるケースが多いです。
また金属は熱伝導率が高いため、屋根裏部屋が暑くなる傾向があります。
寒暖の差が激しいと、結露も発生し、屋根材によっては真っ赤っかにさびてしまうことも。
そのまま放置しておくと、裏側に穴が空いてしまい、雨漏りの原因になることもあります。
金属屋根材のデメリットを解消する、最新の施工技術
そんな金属屋根材ですが、最近は下地材と屋根材の間にすき間を空けることでデメリットを解消する動きが出ています。
これはヨーロッパでは主流の工事方法で、義務付けられている国もあります。
具体的には、網(あみ)が張りめぐらされている防水シートを使うことで、下地材と屋根材の間に通気層をつくるのです。
若干初期費用は高くなりますが、この措置を施すことで、金属屋根材のデメリットはほぼ解消されます。
金属屋根材の寿命は何年?
では、金属屋根材は一体何年保つのでしょう。
真っ赤にさびたとしても「雨漏りしない」という意味では、昔ながらのトタン屋根の場合、メンテナンスしなくても30年ぐらいは保ちます。
しかし、最近はガルバリウム鋼板やステンレス、チタン、アルミなど同じ金属屋根材でも、金属の素材や成分の配合率が異なる屋根材が次々と発売されています。
中でも特に注目を浴びているのが、ガルバリウム鋼板です。
ガルバリウム鋼板は、さびに強く、表面が赤くなることはあっても、穴が空くところまではなかなかいきません。
まだ発売開始から20年程度しか経っていないので、どのくらい長持ちするかは定かではありませんが、50年近く保ってもおかしくないともいわれています。
今後は金属屋根材が主流になるかも!?
金属屋根材は、工事時に職人の力量が問われやすいので、スレートなどに比べると値段が高くなる傾向にありますが、上記の通りメリットもたくさん。デメリットを防ぐ方法も開発されています。
そのため、今後さらに人気が上昇する可能性も。
屋根材もケースバイケースなので、「この屋根材が良い」「この屋根材は悪い」と一概に言い切れるものではありませんが、最新の情報を仕入れることは大切。
色々な知識を入手した上で、我が家にぴったりの屋根材を選択するようにしてくださいね。
次回は、「屋根に汚れが付かないようにするには?」についてお話しいたします。
創業75年、屋根専門石川商店の三代目。
1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 ブラッククローバー
【困り事】 正月食べ過ぎた
DIYで作った個人ブログはじめました。
37歳おっさんのチャレンジを綴っています。
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