【2020完全ガイド】屋根のスレート瓦ってなに? カラーベスト、コロニアルってなに?

石川 弘樹
石川 弘樹
  • みんなの屋根の相談所、石川弘樹です。

     

    雨漏りなどの、屋根のご相談をされるお客さまのほとんどが、

     

    ・とりあえず瓦なんじゃない?

    ・そもそも気にしたことがなかった

     

    という方がほとんどなのではないでしょうか。

     

    その状態で、業者さんに何やら指摘をうけると、

    「えっ、うちのスレートって、瓦とちがってメンテナンスとか必要なんだ。教えてくれてありがとう」

     

    と、業者の思う壺になってしまうのです。

     

    この記事を読めば、指摘した業者もビックリするくらい、屋根のスレートについて、マルっとすべてお見通しになります。

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この記事はこんな人におすすめ

●近くで工事してる業者という人に「 お宅のスレート屋根、、、 」 と、指摘をうけた
●塗装屋さんに「 スレートがボロボロで塗装できないから、カバー工法」 と、言われた
●ウチのスレート屋根材に、アスベストが入っているか知りたい
●そもそも、スレートってなに?
●どういうメンテナンスが必要なの?

この記事で伝えたいこと

 

●スレート屋根に、詳しくなる
●スレート屋根材の、修理方法や費用相場がわかる
●スレート屋根材の、メリット、デメリットがわかる

 

この記事の動画はこちら。

この記事は、2015年1月に書いた記事の最新版です。
過去記事はこちら。

■スレートってなに?瓦とは違う?スレート屋根の特徴・修理・メリットデメリットを説明します!【カラーベスト・コロニアル】 | 石川商店

スレートってなに?瓦とは違う?スレート屋根の特徴・修理・メリットデメリットを説明します!【カラーベスト・コロニアル】

【2020年版完全ガイド】屋根のスレート瓦、カラーベスト、コロニアルってなに?

この記事を読んでるあなたは、おそらく「 屋根のスレート 」 という言葉を、昨日まで一切聞いたことがなかったのではありませんか?

ところが突然やってきた「 近くで工事している業者 」 さんや、塗装屋さんやリフォーム屋さんの口から、初めてスレートという言葉を聞いて、

ウチの屋根は、スレートなんだ。えっ、瓦じゃないの?

とビックリしたあなたのために、屋根のスレートについて、なるべくわかりやすくお話ししていきます。

スレートとは「 屋根材の素材名 (種類名) 」

スレートとは、屋根材の素材名です。種類名、カテゴリー名といってもよいでしょう。

素材が「 セメント 」 の屋根材を、スレートと呼びます

■スレート屋根のイメージ
スレート

スレート、スレート瓦、スレート葺、スレート葺き、スレート屋根、スレート屋根材、彩色石綿スレート、彩色化粧スレート

いろんな呼び方がありますが、ぜんぶ同じです。苦笑

ちょっとくわしいことを言うと、天然スレートという素材が石のモノもあります。

また、コンクリ瓦という文字で見ると似たようなモノもありますが、フワッと言うと厚みが薄いのがスレート瓦で、厚いのがコンクリ瓦です。

料理に例えると、

寿司 (生の魚) = スレート (セメントの屋根材)

で、寿司にも牛の生肉 (天然スレート) とか、炙り (コンクリ瓦) もあるよね、みたいな話です。

ただ今回は、そのあたりの周辺情報には触れません。

カラーベスト、コロニアルとは「 スレート屋根材の商品名 (固有名詞) 」

カラーベストとか、コロニアルというのは、スレート屋根材を製造している会社の、スレート屋根材の商品名です。

会社名: クボタ  商品名: カラーベスト
会社名: クボタ  商品名: コロニアル
会社名: ニチハ  商品名: パミール
会社名: 松下電工 商品名: レサス

という訳です。

またまたちょっとくわしいことを言うと、カラーベストはクボタのスレート屋根材の総称で、コロニアルが具体的な商品名です。

なので、カラーベストの中に、コロニアルがあるという上下関係です。

そして、コロニアルの中に、コロニアルクアッドとか、コロニアルグラッサという、固有名詞がやっと出てくる感じになります。

カラーベスト

またまた食べ物に例えると、

すしざんまい (会社名) のマグロの握り (カラーベスト) の中に、大間のマグロ (コロニアル) の、大トロ (コロニアルグラッサ) が食べたいとか、中トロ (コロニアルクアッド) が食べたい、という感じです。

もちろん、これ以上はこの話には触れません。

ここまでのまとめ!
  1. スレートとは、屋根材の種類名で、素材がセメントのモノ
  2. カラーベストとは、スレート屋根材の商品名の総称
  3. コロニアルとは、スレート屋根材の商品名の固有名詞

 

となります。

【参考】スレート屋根の商品名ごとの見分け方

この章は、スレート屋根の商品名まで特定する必要はない、のであれば読み飛ばしてしまって、かまいません。

上でお話ししたように、スレート、スレート瓦、スレート屋根というのは、屋根材の種類名というか素材名なので、スレート屋根の中には、各メーカーからたくさんの商品が発売されています。

個別の商品ごとに、抱えている問題や、対応策がそれぞれ違うこともあります。

特別な事情で商品名を特定したい方は、こちらの記事で確認できます。

特に商品名で、パミール、レサスは要注意です。

■各スレート屋根材を画像付きで解説 | 石川商店

ニチハ「 パミール 」の見分け方。不具合の多い他スレート屋根材も画像付きで解説

スレート屋根の特徴

「 スレート 」とは、セメントに繊維質を混ぜたモノを、プレスして固めて着色した薄い板のことです。

【スレートの基本性能】

重 さ:30坪、100㎡で、車2台分ちょっと
    (約21kg/1㎡)
厚 さ:5〜6mm程度
耐久性:約30年

■スレートの断面図
スレート断面

スレート屋根のメリット、デメリット

安くて軽く、加工も簡単なので安価

スレート自体も比較的安価ですが、加工がしやすいので施工も加工も簡単。そのぶん施工費もあまり掛からず、全体的にお手頃です。

シンプルですっきりとした屋根になる

薄い板の為、どんな雰囲気にも無難に合うシンプルな見た目になります。また、色も24色以上と色鉛筆くらい豊富。形や模様も種類がいくつかあり、バリエーション豊かです。

スレート屋根

日本でもっとも工事できる人が多いので、相談しやすい

施工の簡単さから、屋根材の中で最も工事できる人の数が多いので、瓦や金属の屋根材に比べて広く知られています。そのため、困った時に相談するところが見つけやすいです。

もちろんリフォームでは、アスベストの有無、商品による違いや特性などもあるので、新築で取り扱っているから大丈夫とは、一概に言えないので、業者選びには注意が必要です。

塗膜が酸に弱い

雨にもごく少量含まれている酸にも弱く、長年経つと塗膜が劣化してきます。雨漏りすることはありませんが、見た目が悪くなります。また、場所によってはコケが生えてしまうこともございます。

現在では、塗膜が30年保つといわれる商品も発売されています。後ほど、くわしくお話しします。

割れやすい材質、形状のものがある

屋根材の形状で切れ込みを深くし、見た目をランダムに見せるものなどがあり、そうした凝った意匠のものほど、場合によっては割れやすいことがあります。

荒天候で割れる事がある

台風や突風などで、割れて落下してしまうこともあります。

スレート屋根のアスベスト (石綿) の有無によるメリット、デメリット

スレート屋根のどこに「 アスベスト (石綿) 」が使われているかというと、原料のセメントに混ぜている「 繊維質 」です。

繊維質があることで、スレート屋根の反りやねじれに対する粘性が強くなり、割れにくくなるのです。

この繊維質に、昔はアスベスト (石綿) が使われていましたが、健康被害が問題になり、使用が禁止されたのが、2002〜2004年頃のことです。

なので約15年前から現在で新築される家では、スレート屋根にはアスベストは含まれていなく、他の人工の繊維質などが使われています。

「 アスベスト入り 」は、頑丈だが、処分費が高い

天然繊維のアスベスト (石綿) は、強度と断熱性に優れたとても優秀な素材です。

そのため、アスベストが混ざっているスレート屋根は、とても頑丈なのです。

事実「 アスベスト入り 」のスレートは、とても頑丈です。40年近く、無塗装で放置されていても、素材としてはビクともしていません。

■40年近く放置した「 アスベスト入り 」のスレート
40年近く放置した「 アスベスト入り 」のスレート

ただ繊維がとても細かいため、大量に吸い込むと肺の末端に引っ掛かり、健康被害が出たので、使用禁止になりました。

そのため、すでにアスベストを使われているモノを撤去する時に、健康被害が出ないように特殊な対策が必要になり、そのぶん処分費が高くなります。

ちなみに、屋根にアスベスト入りのスレートがあっても、健康被害はほぼないと言っていいので、特別に心配する必要はありません。

屋根材のアスベストは、セメントでがっちりと固められているので、屋根の上に載っかっているだけなら、そうそう害はないのです。

それはアスベストが飛散するのは、振動時だからです。

アスベストは、叩いたり、割ったりする時に、飛散します。

なので密閉空間で解体する作業者は、特に健康対策が必要ではあります。

アスベスト有りのスレート屋根の詳細は、こちらの記事で確認できます。

■アスベスト(石綿)含有屋根材って大丈夫?代表的な石綿スレートの注意点や撤去方法を解説します。 | 石川商店

アスベスト(石綿)含有屋根材って大丈夫?代表的な石綿スレートの注意点や撤去方法を解説します。

「 アスベスト無し 」は、強度がよわく、踏み割れが心配

アスベストが使用禁止になってからは、人工の繊維などをセメントに混ぜるようになりました。

もちろん色んな努力がされているのですが、アスベスト入りのスレート屋根に比べると、どうしても強度がないように感じます。

事実「 アスベスト無し 」のスレートは、施工してから約15年経った現在で、ひび割れが多発しています。

■「 アスベスト無し 」のスレートのひび割れ
「 アスベスト無し 」のスレートのひび割れ

このひび割れの原因のほとんどは、作業時の「 踏み割れ 」です。

強風や地震などで、ひび割れが発生しているということもあるでしょう。

しかしながら、実際にひび割れが症状が多発している部位が、

1、屋根の谷、妻側 (ケラバ)、雪止まわり、天窓まわり、煙突まわり、隅棟まわり、大棟まわり
2、壁際、軒先、妻側 (ケラバ)

といった、

1、踏み割れしやすい段差が裏に隠れている部分や、加工した屋根材が使われている部分
2、外壁工事や、足場の解体作業などで、職人さんがよく歩く部分

に集中しているので、ほとんどの原因は踏み割れだという推測ではあります。

スレート屋根の修理方法、相場

コロニアルやカラーベストなどのスレート屋根材の修理の方法や金額、価格、費用などの相場感についてのご相談がとても多いです。

工事時期の目安やおすすめの修理方法と費用をまとめました。

時期目安工事内容と費用
(※ 30坪100㎡)
5年おきひび割れ補修
1〜3万円
築15〜20年棟交換
→ てっぺんのフタ交換
10〜30万円
築30〜40年葺き替え
→ 全交換
160万円
(※ 屋根材= シングル)
※ 年数に関わらず非推奨カバー工法
→ 上からかぶせる
135〜280万円
※ 年数に関わらず非推奨塗装
30〜40万円

※ 費用は、屋根面積が30坪、100㎡の家を想定しています。目安としてお使いくださいませ。

ひび割れ補修【 5年おき 】

項目内容
おすすめ時期5年おき
工事名ひび割れ補修
内容ひび割れの拡大防止
屋根材の落下防止
接着剤で応急処置
費用
(※ 30坪100㎡)
1〜3万円
何年保つか作業時に踏み割れる可能性
→ 5年おきにチェック
接着効果は30〜40年

文字通り、スレート屋根材のひびや割れを補修します。

新築工事のときの踏み割れによるひびが、だんだんと広がり深くなり、強風で割れて落下するのを防ぐために行います。

■ひび割れ
スレート屋根 ひび 割れ

■割れ
スレート屋根 割れ 欠落

ひび割れや、小さな割れでは、かんたんに雨漏りしませんが落下すると破片が割れて修理も大変なので、5年おきくらいで、新たなひび割れが起こっていないか確認し、修理したいところです。

ひびが入っている屋根材の裏側に接着剤を注入してあげることで、割れの進行と落下を防止します。
割れた屋根材の破片があれば、破片をパズルのようにくっつけてあげれば十分です。

■ひび割れ補修
スレートひび割れ補修

スレートひび割れ補修

■割れ補修
スレート割れ補修

費用は1〜3万円

接着自体は30〜40年保ちますが、気付かなかったひび割れや作業時にできた新たな踏み割れもあるでしょう。
割れ補修の時期は、理想は毎年、5年おきが現実的、最低でも築15〜20年で1度は、ひび割れ補修をやっておきましょう。

棟交換(むねこうかん)【 築15〜20年 】

項目内容
おすすめ時期築15〜20年
工事名棟交換
内容台風、強風での飛散防止
屋根のてっぺんのフタの交換
費用
(※ 30坪100㎡)
10〜30万円
何年保つか20〜30年

屋根のてっぺんの金属のフタを交換することを棟交換(むねこうかん)と言います。

2018、2019年の台風の修理依頼の8割は、このフタ、正式には棟板金(むねばんきん)の飛散被害でした。

■棟が飛んだ
棟板金 台風 飛んだ

■下地の木材が腐っている
棟の下地の木材 劣化 腐っている

被災したほとんどは築30年以上の家でしたが、立地や条件によっては築10年でも飛んでしまった家もあります。

30〜40年で葺き替えする半分のタイミングで、棟交換だけを行うことで、強風による屋根被害を予防しましょう。

棟交換では、必ず木材を交換しましょう。

木材に棟板金が固定されて、棟部分をフタしています。この木材の劣化による釘の保持力低下が飛散の原因だからです。

■新しい木材
棟の下地の木材

■新しい棟板金
新しい屋根のフタ 棟板金

費用は10〜30万円です。

棟交換の時期は、築15年が理想、20年で1度は、やっておきましょう。

葺き替え(ふきかえ)【 築30〜40年 】

項目内容
おすすめ時期築30〜40年
工事名葺き替え
内容古い屋根材を剥がす
新しい屋根材にかえる
屋根下地を強化できる
費用
(※ 30坪100㎡)
180万円
(※ 屋根材= シングル)
何年保つか30〜40年

屋根を全交換するのが、葺き替え(ふきかえ)です。

屋根自体の耐久年数が30〜40年なので、この時期に全交換しましょう。

葺き替え工事の流れは、

古い屋根材の撤去

屋根の下地の木材の強化

新しい防水シート

新しい屋根材

となります。

30年での葺き替え工事では、屋根下地の強化は必ず行いましょう。

劣化が激しい場合は、釘の保持力が半分以下になります。せっかく全交換しても耐風性がなくては、最悪の場合、台風などの強風で屋根材が剥がれてしまうこともあるからです。

■新しい屋根の下地の木材で強化
新しい木下地 ベニヤ 構造用合板12mm

■新しい防水シート
新しい防水シート ルーフィング

■シングル屋根材
スレート屋根葺き替え アスファルトシングル

費用は160万円です。

新しくする屋根材によって変わりますがスレート屋根の葺き替えでおすすめの屋根材『 シングル 』です。
スレートに比べて、踏み割れしない、耐風性が強いからです。

160万円はシングルで葺き替える費用です。

葺き替えの時期は、築30年が理想、引っ張っても40年というところでしょう。

スレート屋根の注意点

塗装は不要

スレート塗装

そもそも屋根塗装は不要、と結論付けています。

屋根の一番大事な機能は防水で、防水性を悪化させる可能性がある屋根塗装は、改悪になりかねないからです。

塗装がいらないと、結論付けた根拠を2つあげます。

根拠① 防水シートが先にダメになり雨漏りする

確かに塗装するほど屋根材は長持ちしますが、塗装してもしなくても、30〜40年で屋根自体の防水性がなくなってしまい、雨を防げずに雨漏りしてしまうので塗装が無駄になってしまうのです。

例えるなら、折り畳み傘。
傘の表面に撥水スプレーをかけるほど長持ちはします。撥水スプレーをかけてもかけなくても、強風で折れてしまえば、雨を防げずに身体は濡れてしまうのと同じです。

屋根材の下に敷いてある防水シートが、30〜40年で屋根材より先に劣化して防水性を保てなくなるのです。

屋根は元々、屋根材と防水シートの2つの防水層で雨水の侵入を防ぐ仕組みです。

■屋根 防水層 図解
屋根 防水層 図解1

屋根 防水層 図解2

最終の防水層である防水層が先に劣化してしまえば、当然、雨漏りするという訳です。

せっかくの塗装が無駄になってしまうので、あえて塗装する必要はないことになります。

ではなぜ10年ごとに屋根塗装が必要、と言われているのでしょうか?

最大の原因は、塗装会社の営業努力である、とぼくは思っています。

もちろん原因のひとつに、物理的に屋根材の見た目がボロボロになってくる時期である、ということもあるでしょう。

塗装業界が業界の発展のために、何年もかけて新しい習慣や文化を作ったのです。
バレンタインデーにチョコを送るとか、ホワイトデーはキャンディー、クリスマスにはケーキを食べるようになったのと同じで、元はそんな習慣や文化はなかったはずです。

これは塗装業界の営業力はすごいと言っているだけで、いいとか悪いとかの話ではありません。

根拠② 屋根材を35年放置しても『 防水性に問題なし 』

石川商店は、国といっしょに屋根の研究をするプロジェクトに5年間参加していました。

その一貫で、35年放置した屋根材の調査をした結果、屋根材を塗装せずに放置していても問題ないということを確認したのです。

実物も入手してあるので、みなさんにもお見せします。

■スレート
35年放置したスレート屋根材

もちろん見た目はボロボロです。しかし屋根材が崩壊したり、穴が空いたりしている訳ではありません。

以上の2つの根拠から、屋根塗装は不要という結論にいたりました

屋根塗装は不要という話の詳細は、こちらの記事で確認できます。

■Q.スレート屋根材のひび割れ修理は塗装すれば直るの? A.むしろ悪化します | 石川商店

Q.スレート屋根材のひび割れ修理は塗装すれば直るの? A.むしろ悪化します

塗装が長持ちする「 グラッサ 」にしたい

スレートだけに言える事ではありませんが、セメントが使われている屋根材の塗装は酸に弱いです。

雨にごく少量含まれている酸にも弱く、15年くらい経ってくると塗装が劣化してきます。

なので塗装が劣化すると、そこから胞子が入ってしまっていつの間にやら苔が生えているのです。

■スレート屋根の塗装劣化
経年劣化

もちろん上でお話ししたとおり、塗装が劣化しても、屋根の防水性とはまったく関係ないので、雨漏りはしません。

ただ見た目があきらかに汚れていると、家の築年数が古く見え、訪問販売の営業の目印になりやすいです。

そこで、虫歯予防にも使われていうフッ素系の塗料が使われている「 コロニアルグラッサ 」がおすすめです。

「 でも、お高いんでしょ〜 」

という声が聞こえてきそうですが、ぼくは「 むしろ安い 」と思っています

こちらは、最新のメーカーカタログの179,183ページからの抜粋ですが、

■コロニアル 表面塗装の違いによる価格差 メーカーカタログ抜粋
コロニアル 表面塗装の違いによる価格差 メーカーカタログ抜粋

10年くらいで見た目が悪くなる「 コロニアルクアッド 」が1枚590円で、見た目が悪くならない「 コロニアルグラッサ 」が1枚640円です。

これを30坪、100㎡の屋根の材料費として計算すると、

クアッド354,000円と、グラッサ384,000円なので、確かに3万円高くなっています。

ただ10年後、見た目をキレイにするために屋根を塗装する費用は、約40万円+ 足場15万円前後で、合計55万円です。

なので「 コロニアルグラッサ 」という、フッ素塗料を使ったスレート屋根材を使うことで、見た目を維持する費用としては、むしろ安くなっていると思っています。

カバー工法は万能じゃない

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石川商店のカバー工法に対する基本的な考えですが、

●今の家に長く住む場合、

・築15年前後であれば、カバー工法のような大規模工事は早すぎ、部分修理で十分
・築30年以降であれば、劣化している屋根の下地の木材を補強したいので、葺き替えがよい

●建て替えや引っ越し予定で、あと5年前後しか住まない場合

・いずれにしろ、カバー工法は過度

と考えています。

ようするに石川商店では、カバー工法がスレート屋根のメンテナンスとして、常に最も合理的とは考えていないのです。

このあたりの詳細は、こちらの記事で確認できます。

■スレート屋根で、カバー工法がむいてない家、葺き替えや部分補修がよい家 | 石川商店

スレート屋根で、カバー工法がむいてない家、葺き替えや部分補修がよい家

念のため、カバー工法ばかりをすすめない、その他の理由をお話しします。

常に、カバー工法が安くてお得とは限らない

「 カバー工法が安くてお得 」という意見が多いですが、実際に見積もりを比較すると、逆転現象が起こっていることが多々あるからです。

詳細は、こちらの記事で確認できます。

■スレート屋根材のカバー工法、費用が安いは本当か?【実際の見積り公開】 | 石川商店

スレート屋根材のカバー工法『 費用が安い 』は本当か?【実際の見積り公開】

カバー工法も葺き替えも、早さはあまり変わらない

「 カバー工法が早くて安心 」という意見が多いですが、石川商店の場合、30坪100㎡の家であれば、たいていは1日で葺き替え工事が可能です。

くわしくは、こちらの記事で確認できます。

■不具合の多いスレート屋根、30坪100㎡、1日で葺き替えできます | 石川商店

不具合の多いスレート屋根、30坪100㎡、1日で葺き替えできます

「 棟換気 (むねかんき) 」は、必ずつけたい

「 棟換気 (むねかんき) 」とは、屋根裏や天井裏の湿気を排出し、結露を予防するための換気穴つきの屋根のフタのことです。

■「 棟換気 (むねかんき) 」
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スレート屋根に、棟換気を設置したい理由は、屋根の下地の木材(ベニヤ板)に直接葺くので、屋根裏や天井裏で、結露が起こりやすいからです。

すこし専門的な話になりますが、くわしくお話しします。

屋根材ごとの、屋根の構成図を比べてみると、こんな感じになっています。

■屋根材ごとの葺き上がり構成図
【瓦屋根】
瓦屋根

【スレート屋根】
スレート屋根

ここで注目していただきたいのは、屋根材の一つ下が何になっているか

瓦の下には木が縦と横に入っていますが、スレートは下葺材(防水紙)の上にそのまま施工されています。

瓦の場合は木があって空間ができているので、風通しが良く結露も起こりにくいのですが、スレートは直に貼ってありますね。

そのため、屋根裏や天井裏が暑くなりやすいので、湿度が高くなり蒸れやすいので、雨漏りより恐ろしい結露が起こりやすいのです。

そうした点から、スレート屋根のように下葺材の上に直接葺く屋根材は、湿気を排出するための「 棟換気 」の設置は、必須といってもよいでしょう。

棟換気についての詳細は、こちらの記事で確認できます。

■夏の湿気、冬の結露に有効!家がもっと快適になる「棟換気」がすごい。【カビ・湿気・結露対策】 | 石川商店

夏の湿気、冬の結露に有効!家がもっと快適になる「棟換気」がすごい。【カビ・湿気・結露対策】

正しい施工方法を知っているお店に頼みたい

スレートは本体だけでなく、施工費も安価とお伝えしました。

その理由は、瓦のように美しく見せる為の技術や多くの手順が必要なわけではなく、また金属屋根のように加工で気を使うことも、そうありません。スレート屋根は、マニュアルを押さえれば、誰でもカンタンに施工ができるのです。

なので、業者にも人気があるのですが、

「もっと工事を早く済ませたい」
「簡単だけどそこまでやるのは面倒」

と中には、あまりよろしくない業者さんも、少なからずいらっしゃいます。

その結果、

・釘の3本止め
・釘の打ち込み不足
・板金の重ね不足

など、あきらかな施工ミスや、施工不良による雨漏りなどのトラブルが多発しているのです。

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特にリフォームでは、アスベストの有無、商品による違いや特性などもあるので、新築で取り扱っているから大丈夫とは、一概に言えないので、業者選びには注意が必要です。

強風対策工事で、台風とひび割れに備えたい

スレート屋根の「 強風対策工事 」とは、通常の釘固定だけでなく、接着剤も塗りながら、屋根材を固定していく工事方法です。

■強風対策工事
コロニアルグラッサ 強風施工

■強風対策工事 動画

ご覧のように、接着剤を点々とつけていくので、ひび割れが発生したとしても、落下しににくなるのです。

強風対策工事を行うことで、台風とひび割れに同時に備えられるので、とても合理的です。

強風対策工事をおすすめしている理由は、上記でお話ししたように現在のスレート屋根は、アスベストが入っていない代わりに強度が弱いからです。

これは、メーカーが何を言おうが、どんな努力をしようが、素材自体の強度は、今のところ15年間ほぼ変わっていません。

そのため工事中におこる目に見えない踏み割れが、数年後に大きなひび割れとなって散見されたり、割れたスレートが落下したり、はがれてしまう被害が多発しています。

■踏み割れ
踏み

今問題がなくても10年〜15年後に、台風などで屋根材がゴソッとはがれたり、屋根材の落下による近隣被害に、つながりかねません。

なので、これから屋根をスレートにするならば、強風対策工事をおすすめします。

もしくは、踏みわれの全くない「 アスファルトシングル屋根材 」 での、新築や葺き替え工事がよいでしょう。

中でも、「 オークリッジスーパー 」 という商品は、風速50m/sの設計強度を、強風施工で得ることができるのでおすすめです。

■オークリッジスーパー
アスファルトシングル屋根材で、葺き替え

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創業75年、屋根専門石川商店の三代目。石川弘樹(いしかわひろき)です。
20141125_profile_01
【継続は力なり】
禁煙2009年〜、禁酒2017年1月〜、筋トレ2018年6月〜、禁チョコ爆食い2018年12月〜、ダイエット2019年1月〜、ストレッチ2020年1月〜
【資格】
1級かわらぶき技能士、瓦屋根工事技士、全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士、全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師、耐震プランナー、増改築相談員、古民家鑑定士、ホームインスペクター(住宅診断士)、ジュニアリフォームソムリエ、リフォームスタイリスト1級、リフォーム提案士、ライフスタイルプランナー
【趣味】
ワンピース(マンガ)
【目標】
瓦割り世界大会初代チャンピオン
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