ー教えて屋根屋さん! 第136回ー
見えないからこそ、重要! 屋根の下地とは?
普段私たちが目にしている屋根の下には下地と呼ばれる基礎があります。
一般的には野地板を張って、その上から防水シート、防水材を重ねて下地を作ります。
目に見えないところにあるのでなかなか重視されませんが、屋根本体もしくはそれ以上に重要な建材です。
今回は縁の下(屋根の下?)の力持ち! 屋根下地についてお話ししようと思います。
屋根の下地にも種類があるの?
下地素材は「普通」、「良」、「優」とおおまかに3つのクラスに分けることができます。
1.普通
いわゆる低コストと呼ばれているもので、一般住宅のほとんどがこれにあたります。
防水シートにアスファルトルーフィングという一般的に広く用いられている素材を使用しています。
防水シートの規格基準の最低ラインの940と呼ばれるタイプの製品が最も主流で、緑色のカラールーフィングと呼ばれているものがこれに当たります。
施工後約10年で大幅に耐久性が低下してしまうのが欠点で、分譲住宅やローコスト住宅と呼ばれるほとんどの住宅に使用されています。
2.良
防水シートの規格基準の最低ラインが1500以上のものを指します。
「普通」と使用されている下地材は同じですが、その違いは防水シートにあります。
改質アスファルトルーフィングという耐久性の高い防水シートを使用しているのです。
一体何が「改質」なのかというと、アスファルトの粘り気、柔軟性、熱への耐性が高いという特徴にあります。
粘り気が強いので釘穴止水性が高い(釘穴に対して粘っこくまとわりつくため、穴が開いたところへの止水性が高い)というメリットも。
ただその分、「普通」に比べて費用が1.5~2倍かかってしまうという難点もあります。
3.優
防水シートだけでなく、屋根の下地の構造自体が異なります。
本来、防水シートに釘で屋根材を打ち付けるので、防水シートには穴が開いてしまいます。
ですが、この穴が原因で止水性が損なわれてしまい、10~20年経つと劣化して雨漏りしてしまうことが多々あります。
長期優良住宅で60~100年と家を長持ちさせるためには、なるべく防水シートに穴は開けないに越したことはない!
そこで開発されたのがホールレス法です。
簡単に言うと防水シートと屋根材の間に隙間を設けることによって、屋根材を止めつける釘による釘穴が防水シートに開かない、という仕組みになっています。
素材が劣化しづらいから長持ちしやすく、本来だったら10~20年毎に行っているリフォームの必要がなくなる、というメリットがあります。
ですが一方で、初期費用がかかってしまうというデメリットもあります。
結局何がおススメ?
補修にかかる費用をできるだけ抑えたいという人は多いと思います。
そのため、60年以上家を長持ちさせたいならば、たとえ初期費用がかかったとしても、総費用が最も安価になる下地材を選ぶことをおススメします。
ですが残念なことに、現在ほとんどの住宅は「初期費用が安い」という理由で屋根の下地材を選んでいます。
というのも日本の住宅業界では、「初期費用が安い=最も良い物」という考えか方が先行しているからです。
下のグラフをご覧いただければ分かるように、家を60年長持ちさせるとしたら、「普通」や「良」より「優」の下地材を使ったほうが、総費用は安くなります。
さらに、劣化しやすい素材だと必要なメンテナンスのサイクルが年を追うごとに短くなる上に、雨水が染入り込み建物自体の寿命を縮めてしまう可能性もあります。
初期費用をしっかりかけて、長持ちする家に住めばそもそも60年目に解体する必要もないですし、リフォームの必要もないので長い目で見ると、かなりの節約になります。
長い目で見て、賢い買い物を!
一生で一番高い買い物といっても過言ではない、住宅。
できることなら初期費用はかかってしまっても、トータルで余計な費用をかけずに済むようにしたいものです。
目先の利益にとらわれず、本当に質の良いものを選ぶと、結果的にお得になることも多いので、「何年この家に住むのか」よく考えた上で購入するようにしてくださいね。
次回は、「長期優良住宅とは、具体的にどんな家?」についてお話しいたします。
創業75年、屋根専門石川商店の三代目。
1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 ブラッククローバー
【困り事】 正月食べ過ぎた
DIYで作った個人ブログはじめました。
37歳おっさんのチャレンジを綴っています。
http://hiroki-ishikawa.info/wp
屋根で損する人をゼロにしたい、屋根屋の三代目です。
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