本記事はインタビューを記事化したものです。
本記事の目次
台風が来る前にできる屋根の災害対策とは
- 台風の被害を防ぐためにもっとも必要なことは、定期的な屋根のメンテナンスです。直前にできることは少ないので、住んでから10~15年で定期的なメンテナンスをしておくのが一番。かといってできることがなにもないわけではなく、万が一被災した後のことを考えて「被災前の写真」を残しておくと役に立つことがあります。
―――屋根の台風被害を防ぐために個人ができる予防などはありますか。
石川:直前で業者に点検してもらうことは難しいので、一番簡単なのは自撮り棒を使ってスマホで屋根の写真を撮っておくことですね。台風が直撃して被災したときに火災保険の申請に使えます。火災保険は悪用をしていないか審査するのに時間がかかることがあるんです。でも台風が来る直前と直後の写真を撮ってだしたら、確実な証拠になるので効果的なんですよ。
あと築15年ほど経ってなにもしてない家は点検してもらうといいですね。どんな屋根でも15年に一回は小さなメンテナンスが必要だからです。やらなくても住めるんですけど災害予防という点ではした方がいいので、より「安心したい」と思うならメンテナンスはしてほしいですね。
屋根工事は少なくとも2週間、大がかりな工事になると1ヶ月くらい先になる場合もあります。梅雨前に点検しておきたいなら2~3月にするとか、台風を9月ピークと考えると4~5月など余裕をもって見ていただければ大丈夫です。梅雨前と台風前は、皆さん同じようなタイミングで依頼をしてくださるので混んでくるんですよね。
「メンテナンスしてない」や「築年数が古い」と、雨漏りや自然災害の被害が起こりやすいので早めの対策をお願いしたいです。
どの屋根材でも共通して被害がでやすいのはてっぺんの部分で、風の影響を受けて飛んでしまうことがあります。どの形状でも屋根のてっぺんは高さがあるのと、形状的に傾斜があるので一番風の影響が強い箇所なんです。高さがあると影響を受けやすいし被害がでやすいんですよ。
基本的にはメンテナンスしていないと大きい被害になります。ぼく達は台風対策として被災しやすい箇所や、屋根材や屋根の形状で「ここはこうなる」といった箇所を重点的に調査して対策します。強度が弱いとか古い工事方法とか、確認して必要があれば部分的なやり替えをしていくのです。屋根のてっぺんだけでも対策しておけば8~9割の被災は予防できるかなと思います。
台風による屋根の被害は火災保険で補填【申請は自分でしましょう】
- もしも台風の被害にあったら、火災保険を使って修理費用を補填しましょう。そして保険の申請は代行業者に頼まず自分自身ですることを推奨します。火災保険で工事費全額をカバーできるのに、業者への手数料を払うことになってしまうからです。申請自体も難しいものではありません。
―――台風で大きな被害を受けた際、火災保険を正しく使うためにはどうすればいいでしょうか。
石川:まずは代行業者を利用することを考えずに、自分で申請することを考えて欲しいですね。火災保険申請代行の会社や社団法人みたいなものがあるんですけど、基本的に申請するのはお客さん自身がやらないといけません。だから結局、申請するのは自分自身なんです。
申請に必要な書類は3種類で、保険金請求書や事故状況説明書など保険会社が送ってくる書類、被害にあった状況の写真、被害工事の見積書です。写真と見積もりは業者じゃないと用意できないので屋根屋さんに頼むことになります。保険会社から送られてくる書類は基本的には自分で書かないといけません。
書くのはすごく簡単です。火災保険の契約書の証券番号、保険金の振込先、あと被災の状況で「いつ、なにがあった」などをすこし書くだけで難しいことは書きません。例えば「7月28日の台風8号で屋根が飛んで雨漏れしています」というようなことですね。それらを書いた書類と、業者が撮った写真や見積もりを送るだけなので申請できるのですごく簡単にできます。代行業者に頼むとしても、自分が書く部分は変わらないし見積もりを発行する屋根屋さんがやる部分も変わらないんですよ。
代行業者さんは保険が適用できたら、成功報酬という形で代行手数料として30~40%くださいと言われます。そうすると、仮に100万の工事だとして70万はもらえるけど、30万は自腹になるんです。それってすごくもったいないと思いませんか?
そういった業者の全てが悪いわけではないんですけど、悪い代行業者だと修理することが目的じゃなくて手数料のためにしています。火災保険の金額を得ることに全力を注いでいて、酷い会社だとそれ以外のことには興味がありません。だからお客さんの修理がどうなろうと関係ないんですよ。
見積もりの段階で金額が支払われるので、工事をした・していない関係なく保険金はでます。被災したときにそんな業者にあたると、良い結果になるのか不安じゃないですか。だから業者さん選びには気をつけた方がいいと思います。というか、正直なところ代行業者さんには頼まない方がいい。
【修理費2,500万!?】火災保険に入っていないと大変なことになった事例
- 火災保険に入っていた方がいいのは間違いありません。火災保険は自分の家の修理費だけでなく、他人の家を破損させたときにも適用できます。入っていない状態で他人の家を破損させてしまうとどうなるのか。過去、石川さんに相談があった「火災保険に入っていない方の事例」をご紹介します。
石川:一番悲惨な状況だったのは、台風で近隣に屋根が飛んでしまって弁償しないといけなくなった話ですね。通常だったら火災保険があるのですが、その人は保険に入ってなくて自腹で2,500万が必要ですってなってしまったらしく相談がありました。
事故が発生する3ヶ月~半年前に屋根をカバー工法で直したらしく、そんなに長く住む予定もなかった家だったため「メンテンナンスしたからもう大丈夫だろう」ということで火災保険を解約されたそうです。その後台風が直撃しました。
正しいメンテナンス方法の選択と、たとえメンテナンスをした後でも、万が一のときを考えて火災保険は入っておく方がいいです。
屋根の台風対策は予防することで被害も費用も抑えられる
- 結論として屋根の台風対策は、定期的なメンテナンスをしつつ被災を最小限に抑えること、万が一被災したときは火災保険を「自分」で申請して修理の負担をなくすこと、この二つになります。
台風が来る直前にできることは少ないです。なので、この記事に出会ったことをキッカケに「屋根の災害予防」を少しでも意識していただけると嬉しいです。
- 結論として屋根の台風対策は、定期的なメンテナンスをしつつ被災を最小限に抑えること、万が一被災したときは火災保険を「自分」で申請して修理の負担をなくすこと、この二つになります。
石川:予防ということにお金を使いづらいかもしれませんが、被災するときは同様に近隣の皆さんも被害にあっているので、屋根屋さんに修理依頼が集中して半年~1年待ち、酷いと2年待ちになるんですよ。そうすると、ずっと雨漏りするかもしれない不安のまま過ごしたり、実際に雨漏りしたりして住めなくなってしまいます。
被災しないことが一番平和です。屋根にそんな出費が必要だと思ってない人が多いと思うので難しいですが、これからも予防の大切さは伝えていきたいと思っています。
―――予防に対しての意識をむけていただけるキッカケが作れたらいいですよね。
石川商店は全国どこからでも屋根の相談を受け付けています
みんなの屋根の相談所石川商店では、よりお客様に近いところでお客様の悩みにお答えできるよう活動し、屋根の専門家+様々な知見をもったライターが、あれやこれやと知恵を絞りながら、役に立つ情報を届けていきます。
石川商店ではこれからも日々情報を発信し、お客様の声に耳を傾けていくので、屋根の悩み事はお気軽にご相談ください。
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日々屋根にお困りのお客様にとって必要な情報をお伝えするために、ご参考にさせて頂きます。
この記事小学校の時に災害に備えようでみた。 出典があってありがたい
とかげ さま、石川商店の石川です。
小学校の授業で、ウチの記事が読まれてたということでしょうか?
だとしたら、とても光栄です。
引き続き、良い情報を発信できるように、やれることをしていきたいと思います。