本記事の目次
屋根屋が一軒家の石綿リフォームをするのに必要なこと、まとめました。
屋根で損する人をゼロにしたい、屋根屋の三代目、石川弘樹です。
建築物石綿含有建材調査者講習を9月の4、5で、テストを13に受けてきました。
屋根屋さんへの情報共有を含めて、こちらにまとめておきます。
いつから、何をやらないといけないの?
2020年7月に、法律改正が公布されました。
レベル1、2のみだった、事前調査の結果報告が義務化されます。
また調査者が、資格者のみに限定されます。
事前調査の結果報告の義務化は、2022年4月
事前調査の結果報告の義務化は、2022年4月からです。
報告は、工事着工前に電子申請するようになります。
ここまでは決まっているようですが、具体的なことはまだ未決定の部分もあるようで、現時点では発表されていないそうです。
現時点での申請フォーマットは、こんな感じのようです。
■ 電子申請のフォーマット (仮)
調査者の資格者の限定化は、2023年10月
調査者の資格者の限定化は、2023年10月からです。
「 石綿含有建材調査者 」という資格者だけが、石綿の調査を行えるようになります。
つまりそれまでに、講習を受けてテストに合格する必要があるということです。
一応、合格発表までに1ヶ月かかるようなので、8月末までにはテストを受けないと間に合わないかも。
ちなみに今回ぼくが受講したのは、一般建築物用で、一戸建て用も兼ねた講習です。
■ 一般建築物石綿含有建材調査者 講習テキスト
なので一戸建てしかやらない屋根屋さんは、一戸建て用の石綿調査者講習でいいと思います。
ただ現時点では、一戸建て用だけで講習をやっている機関はなかったような気がします。
2023年以降は、10月にむけて、もっとたくさんの機関で講習が開催されているのではないでしょうか。
「 事前調査 」具体的に、何をどうすればいい?
- 事前調査の手順
- 手順⓪ 着工年月日の確認
- 手順① 設計図書の確認
- 手順② 現地調査
- 手順③ 分析調査
- 手順④ 結果報告
- 手順⑤ 健康診断
となります。
順番に、お話しします。
手順⓪ 着工年月日の確認
まずは、屋根をリフォームする家の着工年月日を確認しましょう。
着工が、2006年9月以降であれば、石綿の調査はそもそも不要です。
使用禁止の法改正があった後の建築になるので、石綿は使われていないからです。
ただし着工年月日は、契約書などに正確に記載されていることはあまりありません。
どちらかというと、図面や打ち合わせ記録、工程表などに記載されていることが多いので、あわせて確認しましょう。
また請負金額の合計が、100万円未満であれば、届出は不要ですが、屋根の葺き替えで足場も含めれば、大体100万円は超えてしまうでしょう。
加えて、産廃処理の見積もり金額の相違や、産廃業者の引き取り拒否などの問題が出るので、実際には調査してアスベスト入りかを確認する必要はあるでしょう。
なおカバー工法や塗装は、届出不要のようです。
手順① 設計図書の確認
建築図面の仕様書などから、屋根材を確認します。
メーカーと商品名が確認できたら、石綿含有建材データベースと照合しましょう。
石綿が使用されていれば、こちらで表示されます。
試しに「 コロニアル 」と検索すると、こんな感じに表示されます。
■ コロニアルで、105件
注意点は、このサイトに表示されなければ、石綿が入っていないという証明にはならないことです。
任意で追加されているので、登録漏れなどもあったり、あいまい検索だと非表示になることがあるからです。
手順② 現地調査
設計図書で確認した屋根材が、実際に使用されているか、現地調査を行い、目視で確認します。
また報告用に、建物外観、屋根材の写真、分析サンプルの採取位置、採取状況、応急処置など採取後の写真は、必ず撮影しましょう。
①仕様書と使用されている屋根材が同じで、石綿ありの場合
仕様書と使用されている屋根材が同じで、石綿ありの場合は、手順③の分析調査を省略する「 みなし含有 」とすることができます。
もちろん必要に応じて分析調査を行って、含有であることを確認しましょう。
②仕様書と使用されている屋根材が同じで、石綿なしの場合
仕様書と使用されている屋根材が同じで、石綿なしの場合は、メーカーから無含有証明書を発行してもらいましょう。
ケイミューの場合は、サイトで発行できます。
■ 石綿に関する見解書|石綿不使用証明書|屋根材・外壁材・雨といのケイミュー
■ 無含有証明書サンプル
ただし、お客さま名が入った証明書をもらっておくのが無難ということなので、このフォーマットで実際に申請が通るのかなんとも言えないところです。
③仕様書と使用されている屋根材が別で、実際は石綿なしの場合
仕様書と使用されている屋根材が別で、実際は石綿なしの場合は、②と同じです。
メーカーから、無含有証明書を発行してもらいましょう。
④仕様書と使用されている屋根材が別で、実際は石綿ありの場合
仕様書と使用されている屋根材が別で、実際は石綿ありの場合は、お客さまの心情的には見なし含有とせず、分析調査をしてもらいたいと思うはずです。
ただ分析調査には費用がかかってくるので、お客さまとよく話し合って決めましょう。
⑤屋根材を特定できない場合
他の屋根屋さんや、メーカーに聞いても屋根材を特定できない場合は、分析調査が必要です。
手順③ 分析調査
現地調査の結果、石綿の含有の有無を分析調査が必要になった場合は、分析を依頼します。
分析するためのサンプル回収は、現地調査のときに行います。
調査には任意の3カ所から「 各100c㎡/3 」ほどのサンプルが必要です。
なのでコロニアルで言えば、角を三角に10cm X 7cm ほどの大きさで、3カ所回収してくれば調査試料としては十分ですし、補修も簡単です。
サンプルの大きさは、分析会社によっても違う可能性があるので、調査してもらう会社に事前に確認しておくのが無難です。
ちなみに、ぼくが依頼する予定の会社さんでは、5cm X 5cm で十分と言われました。
なお、結果報告には1週間程度の時間が掛かるとのことでしたので、工事着手前までに調査結果を提出することを考えて、余裕をもって依頼しましょう。
また思っていた結果と違う場合は、分析自体が間違えていることもあり得るので、分析会社にしっかりと内容確認をしましょう。
手順④ 結果報告
以上の事前調査の結果は、お客さまへの報告はもちろん、工事着手前までに自治体にも報告を行います。
現時点での申請フォーマットは、こんな感じのようです。
■ 電子申請のフォーマット (仮)
これに、設計図書の写しや、無含有証明書、分析結果などを添付して、提出するようになるのだと思います。
また事前調査の結果は、3年間保存することも義務づけられています。
手順⑤ 健康診断
調査者も、除去作業者と同じように、半年ごとに通常の健康診断と、石綿特別診断を行う必要があります。
事業主はその結果を、40年間保存する義務があるので、しっかり保管しましょう。
まとめ
事前調査の報告義務化→ 2022年4月〜
調査者資格の必要→ 2023年10月〜
となります。
調査費用はお客さま負担になるので、そのあたりの調整が今後は必要かもしれませんね。
ちなみに石川商店は、もともと点検が有料なので、見なし含有および、無含有証明書の発行は今までの点検料に含むので、工事費に充当され実質無料になります。
ただ分析調査を行う場合は、別途3万円程度の費用負担をお願いするようになると思います。
以上、参考になれば幸いです。
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- 創業75年、屋根専門石川商店の三代目。石川弘樹(いしかわひろき)です。
- 【継続は力なり】
- 禁煙2009年〜、ダイエット2010年〜、禁酒2017年1月〜、筋トレ2018年6月〜、禁チョコ爆食い2018年12月〜、脱カフェイン (コーヒー&ペプシ) 2021年6月〜、3行日記2021年8月〜
- 【資格】
- 1級かわらぶき技能士、瓦屋根工事技士、全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士、全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師、耐震プランナー、増改築相談員、古民家鑑定士、ホームインスペクター(住宅診断士)、ジュニアリフォームソムリエ、リフォームスタイリスト1級、リフォーム提案士、ライフスタイルプランナー
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