本記事の目次
1. はじめに
品川区での外壁シーリング打ち替えは、建物の防水性と耐久性を維持し、快適な暮らしを守る上で非常に重要なメンテナンスです。この記事では、その重要性、本記事で解決できること、そして効率的な読み方について解説します。

品川区でシーリング打ち替えが重要な理由(気象・住宅密集・塩害/汚染)
品川区は東京湾に近く、一部地域では塩害の影響を受ける可能性があります。潮風に含まれる塩分はシーリング材の劣化を早め、早期の硬化やひび割れを引き起こすことがあります。また、都市部に特有のヒートアイランド現象による高温や、自動車の排気ガスなどの都市型汚染もシーリング材にストレスを与え、耐久性を低下させる要因です。さらに、住宅が密集している地域では、日当たりや通風条件が限定的になり、湿気がこもりやすくなることで、カビや苔の発生リスクも高まります。これらの複合的な要因が、品川区におけるシーリング材の劣化を早める傾向にあります。そのため、定期的な点検と、劣化が見られた際の確実な「打ち替え」工事が、住まいの長期的な保護には不可欠となります。
2. シーリングの基礎知識:用語・規格・役割
外壁シーリングの打ち替えを検討する上で、いくつかの専門用語や規格、そしてシーリング材が果たす役割について正しく理解しておくことは非常に重要となります。
2-1. 「コーキング」と「シーリング」の違い(JISの定義と背景)
外壁工事においてよく使われる「コーキング」と「シーリング」という言葉は、日常的にはほぼ同じ意味で使われています。しかし、厳密には定義に違いがあり、日本工業規格(JIS)においては「シーリング材」という用語が正式に使用されています。シーリングとは、建物の隙間に充填材を施すことで「防水性」「気密性」「耐久性」を確保する施工そのもの、あるいは使用する材料を指します。一方「コーキング」という言葉は、もともと木造建築や船舶の隙間を埋める作業を指して使われていた言葉で、現在では建築業界において俗称的に広まり、シーリングと同義として使われているのが実情です。
JIS A 5758(建築用シーリング材)などの規格では、材料の性能や試験方法が細かく定められており、これに準拠する製品を使用することで一定の品質が担保されます。つまり正しくは「シーリング工事」と呼ぶのが公式な表現であり、見積書や契約書などの正式な書類ではシーリングという用語が用いられるのが一般的です。とはいえ現場や住宅オーナーの間では「コーキング工事」という呼び方も広く浸透しており、実務上は両者に大きな差はないと理解してよいでしょう。
2-2. JIS A 5758とクラス表示(F-25LM等の読み方)
シーリング材の性能は、日本工業規格 JIS A 5758「建築用シーリング材」 によって規定されています。この規格では、耐久性・伸縮性能・接着性などを試験により評価し、その結果を「クラス表示」として示すことで、使用者が適材適所で選べるようになっています。
例えば、よく見かける表記に 「F-25LM」 というものがあります。これは以下の要素を意味します。
・F:外装の目地(Façade)に適用可能であること
・25:±25%の伸縮に耐えられる性能を持つこと
・L:Low(低弾性)であること
・M:Medium(中程度のモジュラス=硬さ)であること
このように、アルファベットと数字の組み合わせで「どんな場所に」「どれくらいの動きに対応できるか」「弾性や硬さはどの程度か」が一目で分かります。
2-3. 外壁目地の機能:防水・気密・緩衝
・防水機能:外壁目地の最大の役割は、雨水や湿気の侵入を防ぐことです。サイディングやALCなどの外壁材はパネル同士の継ぎ目が必ず生じますが、その隙間をシーリング材で埋めることで水密性を確保しています。シーリングが劣化してひび割れや隙間が生じると、雨水が内部に浸入し、下地の木材腐朽や鉄骨の錆、さらには雨漏り被害へとつながります。防水機能の維持は、建物全体を長持ちさせるために不可欠です。
・気密機能:外壁目地は気密性の確保にも重要な役割を果たします。シーリング材が外気の出入りを抑えることで、冷暖房の効率が高まり、省エネにつながります。また、外気が室内に流入すると温度差によって結露が発生し、カビやダニの原因となりますが、気密性が保たれていればこうしたリスクを減らすことができます。つまり、シーリングの健全性は住環境の快適性にも直結しています。
・緩衝機能:建物は気温の変化による膨張・収縮や地震・風圧・交通振動などの影響で常にわずかな動きをしています。その動きを直接外壁材に伝えないようにするのが、シーリングの緩衝機能です。ゴムのような弾性を持つシーリング材がクッションとなり、外壁材のひび割れや破断を防ぎます。この緩衝性能があるからこそ、外壁は長期間にわたって美観と耐久性を保つことができます。
3. シーリングの劣化サインと寿命の目安
3-1. ひび割れ/破断/剥離/痩せ/隙間/ブリードの見分け
シーリング材は日々の紫外線や風雨、温度変化によって少しずつ劣化し、外観や性能に分かりやすいサインを示します。代表的な劣化現象を理解しておくことで、適切な補修時期を見極めることができます。まず、表面に細かい線状のひび割れが見られる場合は、弾力が低下して硬化が進んでいるサインです。さらに進行すると、シーリング材が完全に裂けて切れてしまう破断に至り、防水性を大きく損ないます。外壁材との接着が弱まり、縁から剥がれてくるのが剥離です。この状態では雨水が侵入しやすく、内部の腐食や雨漏りを招きます。また、シーリング材自体が痩せて薄くなる痩せや、施工時の充填不足などでできる隙間も劣化の一種です。いずれも見た目には小さな変化に見えますが、防水機能は大きく低下しています。さらに注意したいのがブリードです。これは可塑剤が表面ににじみ出て、黒ずみやべたつきが生じる現象で、美観を損なうだけでなく隣接する外壁材の汚れや塗膜不良の原因になります。これらの劣化サインは放置すると建物全体の耐久性に直結するため、早めの点検と打ち替え工事が不可欠です。

3-2. 一般材の寿命は約10年前後、高耐久材は20〜30年(注意点)
一般的な建築用シーリング材の寿命は、おおよそ10年前後とされています。これは、紫外線、雨風、温度変化などの自然環境による影響を考慮した目安です。しかし、近年では技術の進歩により、「高耐久シーリング材」が登場しており、その寿命は20年から30年と大幅に延長されています。例えば、オートンイクシードのような高耐久変成シリコーン系シーリング材は、特殊な成分配合により、紫外線による劣化を抑制し、長期にわたって柔軟性と接着性を維持します。ただし、これらの高耐久材も、適切な下地処理や施工が行われなければ、本来の性能を発揮できません。また、建物の立地条件や外壁材の種類、建物の構造的な動きによっても寿命は変動します。高耐久材を選定する際は、信頼できる業者と十分に相談し、施工品質にも注意を払うことが重要です。
3-3. 早期劣化を招く要因(紫外線/三面接着/下地不良/プライマー不良)
外壁シーリングは本来10〜15年程度の耐久性を想定していますが、施工環境や条件が悪いと、数年で劣化が進むケースもあります。ここでは代表的な要因を解説します。
・紫外線:シーリング材は日射による紫外線の影響を強く受けます。特に南面や西面は劣化が早く、弾性を失って硬化・ひび割れが進行します。トップコートや外壁塗装の保護がない場合は、直射日光により寿命が大幅に短縮されることもあります。
・三面接着:本来、シーリング材は目地の両側2面にのみ接着させ、底部には接着させない「二面接着」が基本です。しかし施工不良により三面接着になると、建物の動きに追従できず、ひび割れや剥離を引き起こしやすくなります。
・下地不良:目地内部に汚れや水分が残ったまま施工すると、接着力が十分に発揮されません。その結果、数年以内に剥離や隙間が生じ、シーリングの防水性能が失われます。施工前の下地処理は極めて重要です。
・プライマー不良:プライマーはシーリングと外壁材を強固に接着させる役割を持ちますが、塗布不足や乾燥不良があると密着性が弱まり、剥離の原因となります。とくにALCや金属系サイディングなどはプライマーの有無で耐久性が大きく変わります。
4. シーリングの「打ち替え」と「増し打ち」の違いと選び方
4-1. 打ち替え=既存撤去→新規充填、増し打ち=上から足す(図解)
打ち替え
打ち替えとは、既存の劣化したシーリング材をすべて撤去し、新しいシーリング材を充填し直す工法です。古いシーリングを完全に取り除くため、下地との密着性が高く、防水性・耐久性をしっかり確保できるのが特徴です。サイディング外壁の縦目地など、建物の動きが大きい部分では打ち替えが基本とされます。

増し打ち
増し打ちとは、既存のシーリングを撤去せず、その上から新しいシーリングを重ねる工法です。撤去作業が不要なため工期や費用を抑えられますが、下地が劣化していると十分な密着性が得られないリスクがあります。窓枠まわりなど、下地撤去が難しい箇所で用いられることが多いです。

つまり、耐久性を重視するなら打ち替え、コストや施工条件によっては増し打ちと使い分けます。実際の現場では、部位ごとに両者を組み合わせるのが一般的です。
4-2. ALC・サッシ周りは打ち替え推奨の根拠(厚み確保/2次防水の有無)
ALCパネル(軽量気泡コンクリート)の目地や、窓サッシ周りのシーリングは、原則として「打ち替え」が強く推奨されます。ALCパネルの目地は、パネル自体の動きが比較的大きいため、シーリング材には高い追従性が求められます。増し打ちでは、既存材の劣化が内部で進行している可能性があり、新しいシーリング材が十分に機能しない恐れがあります。また、ALCパネルの目地は、シーリング材が主要な防水機能(一次防水)を担っているため、確実に新しい材料で目地を形成することが重要です。窓サッシ周りも同様で、サッシと外壁材の隙間は雨水の侵入経路となりやすいため、既存のシーリング材を完全に撤去し、下地から適切に処理した上で、新しいシーリング材で確実に防水層を形成する「打ち替え」が推奨されます。これらの部位では、シーリング材の厚みを適切に確保することが、防水性能と耐久性を維持する上で非常に重要であり、増し打ちでは十分な厚みが確保しにくいという課題もあります。
4-3. 窯業系サイディング:縦目地/開口部の実務判断
窯業系サイディングの外壁では、縦目地や窓などの開口部周りにシーリングが使用されます。縦目地はサイディングボードの動きを吸収する役割が大きいため、基本的に「打ち替え」が推奨されます。既存のシーリング材が完全に硬化・破断している場合はもちろん、部分的なひび割れや剥離が見られる場合でも、下地を健全な状態に戻し、二面接着を確保するためには打ち替えが望ましいとされます。一方、窓やドアなどの開口部周りも、雨水の侵入リスクが高いため、打ち替えが原則です。ただし、サイディングの横目地など、建物の動きが比較的少ない箇所や、軽微な表面劣化に留まっている場合は、増し打ちが選択肢となることもあります。しかし、増し打ちを行う場合でも、既存のシーリング材が外壁材としっかりと密着していること、そして既存材が健全な状態であることが前提となります。実務的には、劣化の状況を細かく診断し、既存材の撤去の可否、目地の深さ、外壁材の種類などを総合的に判断して、最適な工法を選択することが重要です。

5.シーリングの 標準施工:手順と品質管理
5-1. 既存撤去・清掃・乾燥・マスキング
シーリング打ち替え工事の第一工程は、既存シーリングの撤去です。劣化したシーリング材をカッターなどで丁寧に切り取り、両側のサイディングやALCの目地面を傷めないようにしながら、できる限り残さず除去することが重要です。古いシーリングが残ると新しい材料との密着不良を招き、早期劣化の原因となります。続いて行うのが清掃です。目地内部に付着したホコリやカスを刷毛やブロワーでしっかり除去し、施工面を清潔に保ちます。その後、乾燥状態の確認を行います。目地に水分が残っているとシーリングの硬化不良や剥離の原因になるため、雨天後や高湿度の環境では十分に乾燥時間を確保する必要があります。下地の状態を整えたら、マスキングテープによる養生を実施します。目地の両側にテープを貼り、シーリング材のはみ出しや仕上がりの乱れを防ぐことが目的です。この段階での精度が、後の仕上がり品質に直結します。撤去・清掃・乾燥・養生という一連の工程を丁寧に行うことが、長期的に信頼できるシーリング工事の土台となるのです。

5-2. ボンドブレーカー/バックアップ材で二面接着に(役割・選定・深さ比)
シーリング材の性能を最大限に引き出し、長期的な耐久性を確保するためには「二面接着」が不可欠です。二面接着とは、シーリング材が目地の両側面のみに接着し、目地底には接着させない状態を指します。これを実現するために使用されるのが、「ボンドブレーカー」や「バックアップ材」です。ボンドブレーカーは、目地底に貼るテープ状の材料で、シーリング材が目地底に接着するのを防ぎます。一方、バックアップ材は、目地底に挿入する棒状の材料で、ボンドブレーカーと同様に三面接着を防ぐ役割に加え、シーリング材の適切な深さを確保し、充填量を調整する役割も持ちます。シーリング材は、目地の動きに柔軟に追従することで緩衝材としての機能を発揮しますが、三面接着になると目地底が固定され、動きが制限され、引っ張り応力が集中して早期のひび割れや破断の原因となります。二面接着であれば、シーリング材が目地の動きに追従し、応力を分散させることができるため、耐久性が向上します。バックアップ材の選定にあたっては、目地の幅に適したサイズを選び、シーリング材の深さ対幅の比率が「1:2」程度(例えば、幅10mmなら深さ5mm)になるように調整することが推奨されます。
5-3. プライマー:塗布範囲・乾燥・塗りムラNG・目地底に塗らない
プライマーは、シーリング材と下地材(外壁材やサッシ)との密着性を高めるための接着促進剤です。シーリング工事において、プライマーの塗布は非常に重要な工程であり、その品質がシーリング材の耐久性を大きく左右します。プライマーは、シーリング材が接着する目地の両側面に、均一に「塗布」する必要があります。塗布範囲は、マスキングテープの内側、シーリング材が接着する面全体です。ただし、目地底には塗布してはいけません。これは、目地底にプライマーを塗布してしまうと、シーリング材が目地底にも接着し、三面接着状態となってしまうためです。プライマー塗布後には、メーカーが指定する適切な「乾燥時間」を厳守することが重要です。乾燥が不十分なままシーリング材を充填すると、接着不良を引き起こし、早期の剥離の原因となります。また、プライマーは「塗りムラ」がないように、均一な厚みで塗布することが求められます。この工程の品質管理を徹底することで、シーリング材の長期的な接着性と防水性を確保することができます。
5-4. 充填・ヘラ押さえ・仕上げ:可使時間/温湿度/押さえ角度と圧
プライマーの乾燥後、いよいよシーリング材の「充填」作業に入ります。シーリング材は、専用のコーキングガンを用いて、目地の奥まで空気が入らないように、均一な圧力でたっぷりと充填します。この際、シーリング材の「可使時間」(作業可能な時間)を厳守することが重要です。可使時間を過ぎると材料が硬化し始め、適切な施工ができなくなります。また、作業時の「温湿度」も品質に大きく影響します。低温や高湿度、結露がある環境下での施工は、硬化不良や接着不良の原因となるため避けるべきです。充填後は、速やかに「ヘラ押さえ」を行います。これは、充填されたシーリング材を目地内部にしっかりと圧着させ、余分な空気を抜き、目地材と外壁材との密着性を高めるための重要な工程です。ヘラは、目地の幅や深さに合ったものを選び、適切な「押さえ角度と圧力」で、一方向に均一に引きながら仕上げます。最後に、シーリング材が硬化する前に、マスキングテープを慎重に剥がします。

5-5. 養生撤去・硬化養生・検査(付着性/目視/記録)
シーリング材を充填・仕上げた後は、速やかに養生テープを撤去します。硬化が進む前に剥がすことで、目地端部がきれいに仕上がり、糸引きや欠けを防ぐことができます。タイミングを誤ると仕上がりラインが乱れるため、施工後すぐに撤去することが基本です。その後は硬化養生の工程に入ります。シーリング材は温度や湿度の影響を受けながら徐々に硬化していくため、所定の養生期間を守ることが重要です。硬化不良を避けるため、施工後しばらくは雨水や振動、外力を受けない環境を確保することが望まれます。最後に検査を行い、品質を確認します。検査方法には大きく分けて、表面のひび割れ・気泡・ムラを確認する目視検査、シーリング材が基材にしっかり付着しているかを簡易的に確認する付着性試験、さらに施工内容や検査結果を写真や書面で残す記録があります。これらを適切に実施することで、仕上がりだけでなく長期性能も保証されます。
6. シーリングの材料選定と相性
6-1. 変成シリコーン/ウレタン/シリコーンの特性・塗装適合性
変成シリコーン系シーリング材
変成シリコーン系は、現在もっとも主流となっているシーリング材です。最大の特徴は、耐候性や耐久性に優れている点と、硬化後に上から塗装が可能な点です。従来のシリコーン系シーリング材は塗料が密着しにくいという弱点がありましたが、変成シリコーンはその欠点を克服しました。そのため外壁のサイディング目地や窓まわり、開口部など幅広い部位に使用され、外壁塗装との相性も良好です。柔軟性や密着性も十分に備えており、住宅リフォームにおける標準的な選択肢といえます。
ウレタン系シーリング材
ウレタン系シーリング材は、ゴムのような弾力性と接着性に優れており、下地への密着力が非常に高いという特性を持ちます。施工性が良く、防水性能に優れるため、木造住宅やALCパネル目地などで以前は多く採用されてきました。ただし、紫外線や雨水に対する耐候性は低く、経年劣化が早いのが難点です。特に外部に露出する部分では劣化が進みやすく、ひび割れや硬化による防水性能低下が懸念されます。そのため現在では、露出部ではほとんど使われず、防水層内部や非露出部といった限定的な用途にとどまっています。
シリコーン系シーリング材
シリコーン系シーリング材は、耐候性・耐久性に最も優れた材料のひとつです。紫外線や雨水に対して圧倒的に強く、硬化後も長期間にわたって柔軟性を保持できるため、ガラスまわりや屋根まわりなど厳しい環境下での使用に適しています。耐久性という点では非常に優秀ですが、一方で「塗装との相性が悪い」という致命的な欠点があります。シリコーン表面は塗料が密着せず、上から塗装しても剥がれてしまうリスクが高いため、外壁全体の塗装工事と併用するのは不向きです。そのためリフォームでは、塗装仕上げを行う部分には使わず、限定的に採用されるのが一般的です。
6-2. JIS区分(F/G・LM/HM・E/P)と外壁での基本選定
前述のJIS A 5758では、シーリング材の性能をさらに細かく分類しています。このJIS区分を理解することで、外壁の条件に最適な材料を選定できます。
・用途区分(F/G):「F」は建築物の外装目地用、「G」はガラス周り目地用です。外壁のシーリング打ち替えでは「F」タイプを選びます。
・モジュラス区分(LM/HM):「LM」は「Low Modulus」(低モジュラス)で、柔軟性が高く、目地の動きに追従しやすい特性を持ちます。窯業系サイディングやALCパネルなど、動きの大きい目地に適しています。「HM」は「High Modulus」(高モジュラス)で、硬く強度が高いため、動きの少ないコンクリート目地などに用いられます。一般住宅の外壁では「LM」が推奨されることが多いです。
・耐久性区分(E/P):「E」は耐久性区分で、伸び率に対する耐久性を示します。例えば、「25E」は25%の伸び率まで耐久性があることを意味します。「P」は耐候性区分で、屋外での使用に対する耐候性を示します。
6-3. 高耐久シーリング(例:オートンイクシード)の使いどころ
近年注目されているのが、従来品を大きく上回る耐久性を持つ「高耐久シーリング材」です。代表例として「オートンイクシード」があり、独自の可塑剤レス技術と特殊ポリマーによって、従来10〜15年とされていた耐用年数を20〜30年へと大幅に延ばすことが可能です。では、こうした高耐久シーリングはどのような場面で選ばれるべきでしょうか。まず、外壁塗装と同時に行うサイディング目地の打ち替え工事では特に有効です。通常のシーリング材では、塗料の耐用年数より早く劣化が進み、目地だけが先に破断して再施工を迫られるケースが少なくありません。しかし高耐久品を採用すれば、外壁塗装の耐用年数とシーリング材の寿命を揃えることができ、再メンテナンスの手間や費用を大幅に削減できます。また、沿岸部や日射の強い環境など、過酷な条件下でも性能が長期間維持される点も大きな利点です。コストはやや高めですが、長期的なライフサイクルコストを考えると、むしろ経済的な選択といえるでしょう。
7. 品川区の助成・制度
品川区では、区民の快適な住環境の維持・向上を目的として、住宅改修工事に対する助成制度を設けています。外壁のシーリング打ち替え工事も、この助成制度の対象となる場合があります。賢く制度を利用することで、工事費用の一部を軽減できる可能性がありますので、ぜひ活用を検討しましょう。ただし、助成制度は年度によって内容が変更されたり、予算に限りがあったりするため、必ず事前に品川区の公式情報を確認することが重要です。
7-1. 住宅改善工事助成事業の要点:助成率10%・上限(事前申請/対象工事)
品川区が実施している「住宅改善工事助成事業」は、区内にある住宅の機能維持・向上のための工事費用の一部を助成する制度です。この事業の主な要点は以下の通りです。
・助成率と上限額:工事費用の10%が助成対象となり、上限額が設定されています(例:一般住宅で10万円、要件によっては20万円など。詳細は年度により変動)。シーリング打ち替え工事の費用が助成対象となる場合、この助成率と上限額が適用されます。
・事前申請が必須:最も重要な点として、工事着工前に必ず申請を行い、助成金の交付決定を受けている必要があります。工事着工後の申請は認められません。計画段階で早めに情報収集と申請手続きを進めましょう。
・対象工事:外壁改修工事全般が対象となることが多く、シーリング打ち替えもこれに含まれます。ただし、単なる補修ではなく、建物の機能向上に資する工事であることが要件となります。詳細は品川区の公式サイトで確認が必要です。
・対象者:品川区内に住宅を所有し、居住している方などが対象となります。住民税の滞納がないことなど、いくつかの条件が設けられています。
その他要件:区内業者による施工が条件となる場合や、工事費用の最低額が設定されている場合もあります。
品川区住宅改善工事助成事業(エコ&バリアフリー住宅改修)詳しくは、下記の記事を参考にしてみて下さい。品川区が実施する「住宅改善工事助成事業」の概要ページです。品川区住宅改善工事助成事業(エコ&バリアフリー住宅改修)
7-2. 外壁改修と同時に進めるときのポイント(書類/スケジュール)
シーリング打ち替え工事は、外壁塗装や他の外壁改修工事と同時に行うケースが非常に多いです。この場合、住宅改善工事助成事業をより効果的に活用できる可能性があります。ポイントは以下の通りです。
・工事全体の計画:シーリング打ち替えを単独で行うよりも、外壁塗装など他の工事とまとめて行うことで、助成対象となる工事費用の総額が大きくなり、助成金の恩恵を最大限に受けられる可能性があります。
・書類準備:申請には、工事見積書、工事内容を説明する図面、施工前後の写真などが求められます。複数の工事をまとめて行う場合は、それら全ての工事内容を網羅した書類を準備する必要があります。見積書には、シーリング打ち替えの費用が明確に記載されていることを確認しましょう。
・スケジュール管理:前述の通り、工事着工前の事前申請が必須です。外壁改修全体の計画を立てる段階で、助成金の申請スケジュールも組み込み、早めに区の窓口に相談することをおすすめします。特に年度替わりは申請が集中しやすいため注意が必要です。
品川区で外壁塗装の補助金・助成金につきましては、下記の記事を参考にしてみて下さい。
8. 建材別の押さえどころ
8-1. 窯業系サイディング:協会ガイドラインに準拠(目地寸法/材・プライマー適合)
窯業系サイディングは、日本の住宅で最も普及している外壁材の一つです。この外壁材のシーリング打ち替えにおいては、一般社団法人日本窯業外装材協会(NICCA)が定める「窯業系サイディング施工ガイドライン」に準拠した施工が求められます。主なポイントは以下の通りです。
・目地寸法:サイディングボードの動きを吸収するため、適切な目地幅と深さが必要です。一般的に、目地幅は10mm以上、深さは幅の半分以上(二面接着を確保するため)が推奨されます。
・材料適合性:窯業系サイディングには、塗装可能な変成シリコーン系シーリング材のノンブリード型が最も適しています。これは、サイディング自体が塗装を前提としており、シーリング材からの可塑剤移行による汚染(ブリード現象)を防ぐためです。
・プライマー適合性:使用するシーリング材と下地(窯業系サイディング)に適合した専用プライマーを選定し、確実に塗布することが必須です。プライマーの種類を誤ると、接着不良を引き起こす可能性があります。
8-2. ALC・モルタル:クラック/吸水・厚み確保
ALCパネル
ALCパネルは軽量で断熱性に優れていますが、目地部が弱点となりやすく、クラックや雨水の侵入を招くリスクがあります。また素材自体が多孔質で吸水性が高いため、シーリング不良は建物内部への浸水につながります。そのため施工では「打ち替え」が原則で、既存材を撤去し、十分な厚みを確保することが重要です。さらに下地が湿っていると接着不良が起こるため、乾燥状態を確認し、適切なプライマーを塗布することが不可欠です。
モルタル
モルタルは強度がある一方で、経年によりクラックが生じやすいのが特徴です。シーリング工事ではまずひび割れを補修し、その上で伸縮追従性の高いシーリング材を充填する必要があります。下地が水を吸いやすいため、ALC同様にプライマー処理を確実に行い、塗布ムラを避けることが耐久性確保のポイントです。クラック補修とシーリングを組み合わせることで、防水性と柔軟性を両立させることができます。
8-3. タイル:接点・可動目地の考え方
タイル外壁は高耐久ですが、下地との接点や目地設計が不十分だと剥離やひび割れの原因となります。特に温度変化や地震時の動きに追従できる「可動目地」の設置は欠かせません。シーリング材は弾性保持に優れたタイプを選び、厚みを十分に確保することが重要です。また、仕上がりの美観も重視されるため、色調や硬化後の状態を確認し、タイル面との調和を意識することで、長期的に安全性と見映えを両立できます。

9. Q&A
Q1. 打ち替えと増し打ち、どちらを選べば良い?(症状・部位で判断)
A.基本は劣化が進んだ場合「打ち替え」が原則です。既存材を撤去しないと隙間や密着不良が残るためです。ただし窓枠や開口部など構造上の制約がある部位では、厚みが十分に確保できる場合に限り「増し打ち」が選択されます。
Q2. ALCのサッシ周りは増し打ちでOK?(打ち替え推奨の理由)
A.推奨は「打ち替え」です。ALCは吸水性が高く、またサッシ周りは雨漏りリスクが大きいため、厚みを確実に確保し二次防水を担保することが不可欠です。増し打ちは密着性や厚みに不安が残ります。
Q3. 三面接着はなぜNG?(割れ・剥離のメカニズム)
A.シーリングが目地底と両側面に密着すると、建物の動きに追従できず割れや剥離を起こします。ボンドブレーカーやバックアップ材で二面接着を実現し、弾性を発揮させることが耐久の基本です。
Q4. プライマーは必ず必要?(密着と耐久の要)
A.必須です。プライマーがないとシーリング材は早期に剥離します。目地底には塗布せず、側面に均一に塗ることが大切です。密着性と耐久性を大きく左右する工程です。
Q5. 高耐久材は本当に長持ち?(20〜30年のエビデンスと留意点)
A.オートンイクシードなど20〜30年の耐久試験データがあります。ただし施工不良や下地条件により性能は低下します。「高耐久材+正しい施工」で初めて長寿命が実現します。
Q6. JIS表示(F-25LMなど)の見方は?(選定の指標)
A.「F」は外装用、「25」は伸び率25%対応、「LM」は低〜中モジュラスを示します。つまり建物の動きにどこまで追従できるかを示す指標で、選定時の基準になります。
Q7. 既存材の上に塗装だけしても良い?(根本解決にならない理由)
A.シーリングの劣化を隠せても、防水機能は回復しません。根本的な解決にならず、数年で再劣化します。塗装はあくまで仕上げであり、下地補修と打ち替えが必須です。
Q8. 助成はシーリングだけでも使える?(外壁改修としての整理)
A.自治体によって異なりますが、多くは「外壁改修工事」の一環として認められます。シーリング単体では対象外のことが多いため、外壁塗装や改修と併せて申請するのが一般的です。
10. まとめ&これからできること
10-1.まとめ
品川区での外壁シーリング打ち替えは、防水性・耐久性を守るうえで欠かせない工事です。気候条件や住宅の密集環境により劣化が進みやすく、ひび割れや剥離を放置すると雨漏りや構造劣化につながります。本記事では「打ち替え」と「増し打ち」の違い、材料の特性、施工手順、助成制度までを整理しました。重要なのは、材料の性能だけでなく、正しい工程と施工管理により初めて長寿命が確保される点です。さらに、助成制度を活用すれば費用面の負担も軽減できます。専門知識を持つ業者に相談し、確実な施工を行うことが、安心で快適な住まいを長く守るための第一歩です。
10-1.これからできること
シーリングの劣化は放置すれば雨漏りや構造劣化につながるため、早めの対応が重要です。まずは外壁の目地やサッシ周りを確認し、ひび割れや隙間があれば専門業者に調査を依頼しましょう。その際、打ち替えか増し打ちかの工法や材料の説明を受け、納得して選ぶことが大切です。また、品川区の助成制度を活用すれば費用を抑えられます。日常の点検・専門家相談・助成利用の3ステップが、快適で安心な住まいを守る第一歩です。
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