窯業系サイディングとは？：メリットやデメリット、施行方法をご紹介

窯業系サイディングの特徴とメリット

窯業系サイディングはセメントに繊維質や無機質材料を混ぜ合わせ、高温で焼成して製造される外壁材です。

その名称はセラミックスなどを製造する窯業の技術を用いていることに由来します。

工場で板状に成形されるため現場での施工が比較的容易であることも特徴の一つです。

窯業系サイディングには、以下の4つの主要なメリットがあります。

豊富なデザイン性

窯業系サイディングの最大の魅力はそのデザインの多様性にあります。

木目調、石調、タイル調など、様々な素材感を再現することができ、色彩も豊富です。

これにより和風、洋風、モダン、クラシックなど、あらゆる建築様式に対応することが可能です。

また同じ外観でも本物の素材を使用するよりも大幅にコストを抑えられるため、経済的にも優れています。

優れたコストパフォーマンス

窯業系サイディングは他の外壁材と比較して初期費用が抑えられ、金属系サイディングやタイル、モルタルなどと比べても経済的です。

また大量生産が可能であることや、施工が比較的容易であることも、コストを抑える要因となっています。

短い工期

窯業系サイディングの施工は工場で生産された板状の材料を現場で張り付けていく方式で行われます。

このためモルタルのように現場で調合や塗布を行う必要がなく、工期を大幅に短縮することができます。

一般的な住宅の場合、外壁工事にかかる期間は約1ヶ月程度で済むことが多く、工事による生活への影響を最小限に抑えることができます。

高い耐火性

窯業系サイディングはその素材特性から高い耐火性を有しています。

多くの製品が建築基準法で定められた不燃材料または準不燃材料の認定を受けており、火災時の延焼を防ぐ効果が期待できます。

窯業系サイディングのデメリットと注意点

窯業系サイディングには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。

防水性の不足

窯業系サイディングはその素材の性質上、防水性が不完全な場合があります。

雨水や湿気が浸透しやすく長期間にわたって水分に晒されると、内部の劣化や変形が進行する可能性があります。

このため適切な防水処理や定期的なメンテナンスが不可欠です。

頻繁なメンテナンスの必要性

窯業系サイディングは他の外壁材と比較して劣化が早い傾向にあります。

一般的に施工後10年程度で塗り替えなどのメンテナンスが必要となります。

これは美観を保つだけでなく、建物の耐久性を維持するためにも重要です。

定期的なメンテナンスにかかる費用も、長期的な視点で考慮する必要があります。

比較的短い寿命

適切なメンテナンスを行っても窯業系サイディングの寿命は他の外壁材と比べて短い傾向にあります。

一般的に20年から30年程度とされており、タイルやモルタルなどの耐久性の高い外壁材と比べると短くなっています。

このため長期的な住宅計画を立てる際には、将来的な張り替えの可能性も考慮に入れる必要があります。

熱の蓄積

窯業系サイディングは熱を蓄積しやすい性質があります。

特に夏季には外壁が熱くなり、室内の温度上昇につながる可能性があります。

これにより冷房効率の低下や電気代の増加といった問題が生じる可能性があります。

これらのデメリットを踏まえた上で窯業系サイディングを選択する際には、以下のポイントを考慮することが大切です。

・住宅の立地環境や気候条件に適しているか

・長期的なメンテナンス計画と費用が許容範囲内か

・デザイン性や初期コストのメリットが、デメリットを上回るか

・他の外壁材との比較検討を十分に行ったか

窯業系サイディングの施工方法

窯業系サイディングの施工には、主に「重ね張り（カバー工法）」と「張り替え（フルリフォーム）」の2つの方法があります。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

重ね張り（カバー工法）

重ね張りは、既存の外壁の上に新しい窯業系サイディングを重ねて施工する方法です。

この工法の主な利点は以下の通りです。

・既存の外壁を撤去する必要がないため、工期が短く、費用も抑えられる

・断熱性能の向上が期待できる

・住みながらの施工が可能

一方で、注意点としては以下が挙げられます。

・既存の外壁の状態によっては施工できない場合がある

・重ね張りによって外壁が厚くなるため、窓枠や軒先との納まりに注意が必要

・既存の外壁の劣化が進行している場合、将来的に問題が生じる可能性がある

張り替え（フルリフォーム）

張り替えは既存の外壁を完全に撤去し、新しい窯業系サイディングを施工する方法です。

この工法の主な利点は以下の通りです。

・既存の外壁の状態に関わらず、新しい外壁を施工できる

・下地から施工するため、高い耐久性と美観が期待できる

・断熱材や防水シートなどを新しく施工できるため、住宅の性能向上が図れる

注意点としては以下が挙げられます。

・工期が長く、費用も高額になる

・大規模な工事となるため、一時的な転居が必要になる場合がある

・既存の外壁の撤去に伴い、予期せぬ追加工事が発生する可能性がある

どちらの施工方法を選択するかは既存の外壁の状態、予算、工期、将来的な住宅計画などを総合的に考慮して決定する必要があります。

また信頼できる業者に相談し、適切な提案を受けることも重要です。

まとめ

窯業系サイディングはそのデザイン性の高さ、コストパフォーマンス、施工の容易さ、耐火性能など、多くのメリットを持つ外壁材です。

一方で、防水性の不足や頻繁なメンテナンスの必要性、比較的短い寿命といったデメリットも存在します。

外壁材の選択は、住宅の外観だけでなく、長期的な維持管理や住宅の性能にも大きく影響します。

これらの点を十分に検討して専門業者のアドバイスも参考にしながら、最適な選択をすることが大切です。

窯業系サイディングは適切に選択し維持管理を行うことで、長年にわたって美しく機能的な住まいを実現する優れた外壁材となるでしょう。

admin