本記事の目次
1.はじめに
なぜ今「外壁×アスベスト」が重要か
アベストは、耐火性・断熱性・耐久性に優れた建材として昭和期に大量に使用され、外壁材や屋根材にも広く普及しました。外壁は風雨や紫外線で年々劣化し、ひび割れや爆発が起きれば、繊維が飛散するリスクがあります。さらに最近は地震や台風など自然災害が頻繁に発生しており、外壁破損による飛散リスクは以前にも増して深刻です。また、国や自治体は調査義務化や補助金制度の整備を進め、全員に対して安全な対応を求める動きを強化しています。アスベストの現状を正確に調べ、適切な改修・撤去工事を行うことは、住まいを守るだけでなく、地域住民や子どもたちの健康を守ることにもつながります。
2. 外壁で問題になる“アスベスト”の基礎
アスベストとは、「石綿(いしわた)」とも呼ばれる天然の鉱物繊維で、細い糸状の結晶が集まった構造を持ちます。耐火性・断熱性・絶縁性・耐久性に優れているため、20世紀半ばから建築資材や工業製品に幅広く使用されています。セメントにアスベストを混ぜた「スレート」や「サイディングボード」として普及し、コストが安く施工しやすい点も好評です。高度経済成長期から1990年代にかけて建てられた住宅や学校、オフィスビルなど、多くの建築物に使用されています。

2-1. 外壁で該当しやすい部位・材料(仕上塗材/成形板等)
外壁に使用されたアスベストは、主に「仕上げ塗材」と「成形板」に分類されます。仕上げ塗材では、下のモルタルやコンクリート面に吹き付けられた「吹き付けタイル」「リシン」「スタッコ」などが代表的で、若干な繊維が混入している場合があります。一方、成形板では「スレート板(波板・平板)」「窯業系サイ(1990年代以前の製品)」「押出成形セ板」など多くの住宅や学校、倉庫などに使われてきました。特に波型スレートやカラーベストは屋根材と同様に外壁材としても普及し、現在も多くの建物に残されています。このように、外壁におけるアスベストは「塗材」「板材」の両面で存在するため、老朽化建物では特に注意が求められます。
2-2.「レベル1/2/3」の一般的分類と飛散性の考え方
アベスト含有建材は、危険性の度合いを「飛散性」で判断し、一般的にレベル1から3に区別されます。この分類はアスベストの含有量ではなく「飛散のしやすさ」を基準にしている点が特徴であり、外壁材を扱う際のリスク評価や工法選択が大前提となります。
レベル1
レベル1は吹付けアスベストや吹付けロックウールなど、繊維が弱い状態で施工されたものです。
レベル2
レベル2は、成形されているもの比較的もろい断熱材・保温材・耐火被覆材などです。通常は金属や下地に吹き付けて使われており、劣化や加工で繊維が飛散しやすい性質を持ちます。
レベル3
レベル3は、スレート板・窯業系サイディング・押出成形セメント板などの成形板に分類します。セなどに強固に固定されているため、通常の使用環境では飛散性が低く、住んでいる中にだけ危険が生じることは少ないとされています。
2-3. 健康リスクと飛散メカニズムの概説
アスベストが危険とされる理由は、その繊維が髪の毛の数百分ほど細く、とても軽いためです。目に見えない大きさで空気中に途中で上がり、吸い込むと肺の奥まで入ります。肺を刺激し続けることで、じん肺の一種である「石綿肺」や「肺がん」、そして特に知られる「悪性中皮腫」といった深刻な病気を考えることが確認されています。外壁に含まれるアスベストは、通常はセメントなどにしっかり固まっているため、普段の生活でただちに危険になるわけではありません。しかし、繊維が外に出て空気中に広がったとき、飛散した繊維は目では確認できないため、知らないうちに吸ってしまうのが最も怖い点です。そのため、外壁のアスベストは「飛散させないこと」が最優先の対策とされ、調査や工事では厳重な管理が求められています。

3. 外壁にアスベストが含まれている“可能性の見極め方”
3-1. 年代目安と禁止年表(~2004頃使用・2006全面禁止)
外壁にアスベストが含まれているかどうかを判断する上で、建物の「建築時代」は手に大きな悩みとなります。アスベストは耐火性や耐久性に優れていたため、昭和30年代から平成初期にかけて外壁材として広く普及しました。規制の流れを見てみると、まず1975年に吹き付けアスベストの使用が制限されました。その後も健康被害の状況が明らかになるために規制は段階的に強化され、1989年にはクロシドライト(青石綿)、1995年にはアモサイト(茶石綿)の使用は禁止されました。しかし、外壁材や屋根材などに広く使われていた「クリソタイル(白石綿)」については使用が認められ続け、2004年の法改正までは建材に含まれた製品の流通が実際に行われていました。2004年の規制では、アスベストを含むすべての建材が製造・使用が禁止されました。なお、この時点でも1%未満であれば含有が許されていたため、完全に市場から姿を消したわけではありません。この流れを整理すると、1970〜1990年代に建てられた建物は要注意、2004年までの建物は使用可能性あり、2006年以降に建てられた建物は原則として含まれていないと考えることができます。
3-2. メーカー情報(KMEW見解/ニチハの無石綿化公表/照会窓口)
日本の外壁サイディングの大手メーカーとしては「KMEW(ケイミュー)」と「ニチハ」が代表的で、それぞれ無石綿化に関する見解を発表しています。まずは。KMEW(旧・クボタ松下電工外装)は、窯業系サイディングについて「1990年8月以降に製造された商品はすべて無石綿」としています。なお、KMEWの公式サイトや技術窓口では、製品名や製造時期を問い合わせることで識別できる体制が整えられています。次に、ニチハは、2001年10月以降に製造された窯業系サイディングは、すべて無石綿製品であると公表しています。それ以前に製造された製品については最良含有の可能性があり、特に1990年代の製品には注意が必要です。ニチハもまた公式HPで「無石綿化の経緯」を公開しており、施工図面や製品表面の刻印などと見合わせて確認する方法を案内しています。これらのメーカー情報を踏まえると、築年数だけでなく「製品名」「ロット番号」「施工時期」が識別の重要な手掛かりになることがあります。また、判断に困る場合は、メーカーの照会窓口へ直接問い合わせることが推奨されます。KMEWやニチハのほか、旧トーヨーサイディングなどの統合メーカーも存在するため、過去のブランド名で施工された外壁については現メーカーに確認する必要があります。つまり、外壁のベストビューを定期的に行うには「時代建築」だけでなく「メーカー情報」と「公式窓口での会議」が欠かせません。専門業者の調査とあわせて確認を行うことで、より確実にリスクを捉えることができます。
3-3. 品番・設計図書・仕上げ種別での仮判定と限界
外壁にアスベストが含まれるのを判断する際、まずは手掛かりになるのが「品番」か「製品名」です。外壁サイディングの裏面にはメーカー名やロット番号、品番が刻印されている場合があり、これを確認することで、メーカーが公開している「無石綿化の時期」と照合できます。築年の設計図書や仕様書、工事記録などに使用されている建材の品名・仕上げ種類が記載されていれば、含まれる可能性をある程度推測できます。例えば、ニチハやKMEWは「特定の時代以降の製品はすべて無石綿」と明言しているため、その時代以降の品番であれば含まれる可能性は低いと判断できるのです。さらに、仕上げの種類(リシン吹付け、スタッコ、スレート板、窯業系サイディングなど)によっても可能性を推測できます。特に1990年代以前の「波型スレート」や「旧タイプのサイディング」は高確率でアスベストが含まれています。ただし、外観や仕上げの名前だけでは「含有/無含有」を完全に区別することはできません。このため、品番・設計図書・種類仕上げによる確認は「仮判定」の領域の出ない点に注意が必要です。確実にするならば、専門業者によるサンプリングと分析(顕微鏡観察や分散染色法など)を行うしかない方法はありません。まずは、手元の情報(品番・設計図書・仕上げ種類)でおおよその時代と可能性を把握し、その際に必要に応じてメーカーへの照会や専門調査を依頼することが、安全で安心な対応につながります。
4.品川区で必要な法的手続きと最新ルール
4-1. 改正ポイントの時系列(2021→2022→2023義務化)
2021年4月1日施行(大気汚染防止法改正)
2021年4月、改正大気汚染防止法が施行され、解体・改修工事における事前調査の対象が拡大しました。外塗壁材や成形板なども調査範囲に含まれることになりました。同年10月からは「事前調査の届出制度」が始まり、石綿含有の有無に結果を見て、一定以上の工事では調査結果を自治体へ報告することが義務づけられました。
2022年4月1日施行(報告義務の強化)
2023年10月1日施行(資格要件の導入)
2023年10月からはさらに警戒化され、調査者の氏名や資格番号を含む「事前調査報告」が電子システム(石綿事前調査結果報告システム)こどもの国に提出することが完全義務化されました。
このように、2021年に届出対象の拡大、2022年に資格者による義務調査、2023年に電子報告の完全義務化と、毎年段階的に厳しくなったのが大きな特徴です。品川区でも全国と同様にこれらの制度が適用されており、解体・改修工事を行う際には最新ルールを踏まえた事前調査と届出が必須となっております。
4-2. 事前調査の義務と有資格者(建築物石綿含有建材調査者)
アスベストを含む建材の存在を事前に確認することは、工事中の飛散を防ぐためにかかせません。2022年4月からは法改正により、解体や改修工事前に「事前調査」が義務化され、さらにその調査は国内認定を受けた有資格者が行うことが求められるようになりました。調査では設計図書や施工記録の確認、現地での目視点検に加え、必要に応じて試料採取や分析を行います。結果は「事前調査結果報告書」としてまとめられ、2023年10月以降は国内電子システム報告することが必須となりました。報告書には調査者の資格番号も記載されるため、信頼性と責任が明確化されています。この仕組みにより調査精度が全国で統一され、従来の経験への判断から脱却できました。無資格者による調査や報告漏れは行政処分や罰則の対象となるため、発注者・施工者は必ず有資格者にする依頼が必要です。

4-3. 事前調査結果の報告要件(80㎡・請負100万円等)と報告先
アスベスト事前調査の結果は、一定規模以上の工事では国内電子システム自動報告が義務づけられています。具体的には、解体工事の場合は床面積80㎡以上、改修工事やリフォームでは請負金額100万円以上が対象です。また、請負金額に注意、アスベストを含む建材を扱う場合には必ず報告しなければなりません。報告先は従来の自治体への書面提出から変更され、現在は国が整備した「石綿事前結果調査報告システム」へのオンライン入力が原則です。入力項目には、調査者の氏名と資格番号、工事対象建物の概要、調査方法と結果、ベストに含まれる人物などが含まれます。提出期限は工事開始の14日前までとされ、遅延や虚偽は罰則の対象となります。特に、品川区のように住宅密集地を楽しむ自治体では、飛散リスクの認識が限り重要であり、報告住民への影響防止にもなります。
4-4. 届出が必要な工事(大防法・14日前)と品川区の窓口
アベストを含む建材を除去・封じ込め・囲い込む工事は、大気汚染防止法(大防法)に定める、工事開始の14日前までに届出を行うことが義務づけられています。また、レベル3建材であっても切断・研磨など粉じんが飛散する可能性がある場合は、同様に対象となります。入札した場合は罰則が科されるため、施工者は慎重な対応が求められます。品川区における届出窓口は環境課で、書類提出や事前相談、様式の利用などを受け付けています。届出書には、工事場所・建物概要・使用されている建材の種類・施工方法・飛散防止対策の詳細を記載し、図面や調査結果の写しなど添付資料として必要となります。東京都では共通の電子届出システムが整備されており、オンラインでの申請が推奨されているため、遠方からでも効率的に手続きが可能です。正しいな届出は行政への形式的な義務を果たすだけでなく、周辺住民への安全配慮や施工会社確認にも直接します。住宅や商業施設が密集する品川区では、早めに課へ相談し、計画から段階的に準備を進めることが重要です。
5.調査~分析~判定の実務
5-1. 事前調査の流れ/写真・図面確認/サンプリングの要否
外壁改修や解体工事を行う際、まず必要となるがアスベストの事前調査です。実務の流れは大きく三段階に分けられます。最初に、施工当時の設計図書や仕上げ表、仕様書を確認し、使用された建材の品番や種類から石綿含有の可能性を調べます。特に2004年以前に施工された建物では、仕上げ塗材やスレート系成形板などに注意が必要です。2番目に、現地での目視調査や写真を行います。外壁材の刻印・ラベル・表面仕上げの特徴などを確認し、既知のアスベスト含有製品リストと照合します。しかし、図面や目視だけでは確実な判断が難しい場合があります。その際は、第三の手段としてサンプリング調査(採取分析)を行います。必要に応じて電子顕微鏡(SEM/TEM)を用います。分析結果は正式な根拠となり、施工計画や届出の要否を左右します。このように、事前調査は「書面確認→現地確認→必要に応じサンプリング」という順で、飛散防止と確実な判定の両立が求められます。
5-2. JIS A 1481群(定性・定量の違いと概要)
アベストの有無や含有率を正しく把握するためには、JIS A 1481群に基づいた分析が行われます。この規格は、建材中の石綿を検出・定量するための公的基準で、分析精度や手法が統一されている点が特徴です。まず、安定性分析は、「アスベストが含まれるかどうか」を判定する手法です。代表的なものは偏光顕微鏡法(PLM)や位相差顕微鏡法(PCM)で、繊維の圧迫性や形状を観察し種類を特定します。一方、定量分析は「どの程度含まれているか」を測定するものです。通常はX線回折法(XRD)や電子顕微鏡(SEM/TEM)を用いて行われ、含有率1%未満の微量領域まで把握できます。これは重量、規制対象となる「0.1%以上含有」の判定や施工方法を決めることが重要です。JIS A 1481群では、まず定性分析で存在を確認し、必要に応じて定量分析を行うという流れが基本です。これにより「含有の可能性あり」といった不確実な判定を避け、工事計画や法の届出を適正に進めることができます。
5-3. オンライン報告(石綿事前調査結果報告システムとGビズID)
2022年4月以降、一定規模以上の解体や改修工事では、事前調査結果をオンラインで報告することが義務化されました。これに対応するため環境省が整備したのが「石綿事前調査結果報告システム」です。このシステムを使うことで、工事の規模・場所・建材の調査結果などを、インターネットこども労働基準監督署や自治体に一括報告できます。GビズIDは法人・個人事業者向けの共通認証アカウントで、一度取得すれば複数の行政システムにログインできる仕組みになっています。これにより、紙の届出に比べて手続きが効率化され、記載漏れや提出忘れのリスクも軽減できます。ただし、アカウント発行には1〜2週間程度を配慮するため、工事直前に考慮するために早めの準備が必要です。
6.外壁の対処工法(レベル別・材別の考え方)
6-1. 仕上塗材(レベル3相当)の作業基準と注意点
外壁仕上げ塗材に含まれるアスベストは、一般的にレベル3(非飛散性建材)に分類されます。これは、固化した塗膜中に繊維が閉じ込められているため、通常の状態では飛散リスクが低いことを意味します。作業時は、まずはできる限り湿潤化を行い、粉じんの途中上昇を防ぐことが基本です。電動ツールを使用する場合も集じん機を併用し、削りかすを飛散させない工夫が求められます。また、作業場所周辺には養生シートや飛散防止ネットを設置し、近隣環境への影響を考慮することが重要です。さらに、作業員は防じんマスク(区別DS2以上推奨)や使い捨て防護服を着用し、終了後は現場での清掃や廃棄の安全梱包を徹底します。特に仕上げ塗材は表面に行われるため、サンディングやケレン作業を伴う場合は細心の注意が必要です。結局、仕上げ塗材は「通常は安全ですが、施工方法次第で飛散の危険性が高まる」という特徴があります。そのため、湿潤化・集じん・養生・個人防護具という基本的な対策万全に実施し、法律に基づいた適正な作業を行うことが大切です。

6-2. 成形板(窯業サイディング等)の取り扱い・養生・破断回避
外壁に多く使われてきた窯業系サイディングや成形板の一部には、過去にアスベストが混入していた可能性があります。これらは硬化した板材の中に繊維が閉じ込められており、レベル3(非飛散性建材)に分類されます。シートや飛散防止ネットで作業領域を囲い、外部に破片や粉じんが拡散環境を整えます。パネルを外す際にはバールや電動工具で無理にこじらず、ビス・釘を1本ずつ外側にしてパネルをそのままの形で取り下ろすことが基本です。また、作業員は防じんマスクや防護服を着用し、周辺の清掃は湿式を徹底。撤去した板材は早速二重袋や専用容器に封入し、産業廃棄物として適正に処理します。廃材の一時保管も飛散せず屋内や閉鎖状態で行いましょう。成形板の特徴は「見た目は丈夫でも割れやすい」点にあります。破断を回避するために作業員を増やして譲与許可する、大判の板は補助具で支えるような工夫も効果的です。
6-3. 近隣対応・粉じん管理・廃棄物処理の基本
近隣対応
アスベストを含む外壁工事では、近隣住民の安心を確保することが重要です。工事開始前に、作業内容や期間、安全対策をまとめた案内文を配布し、必要に応じて説明会や個別の相談を行います。特に学校や病院が近い場合には、事前の丁寧な説明が信頼につながります。
粉じん管理
粉じん対策の基本は「飛散させない・漏らさない・残さない」の三原則です。作業区域はシートや仮囲いで密閉し、出入口には二重扉やセキュリティゾーンを設けて粉じんの拡散を防止します。作業中は散水やミスト噴霧による湿式処理を徹底し、乾式切断や衝撃を避けることが求められます。また、空気濃度を測定し基準値以下を確認しながら施工を進めることも重要です。
廃棄物処理
撤去したアスベスト含有廃材は、飛散防止のため二重梱包を行い、「石綿含有」と明記して指定の産業廃棄物処理場に搬入します。現場内に一時保管する際も、破損や漏洩を防ぐため密閉容器を使用する必要があります。さらに、運搬や処分は必ず許可を受けた業者が担当し、マニフェスト(管理票)で処理の流れを確認することが義務付けられています。

7.品川区の助成・相談の使い方
7-1. 分析調査助成(上限5万円・10/10)の対象・申請フロー
品川区では、外壁などにアスベストが含まれている可能性がある建築物に対し、分析調査の費用を助成する制度があります。補助額は調査に要する費用の全額(10/10)で、上限は5万円となっており、区民にとって利用しやすい仕組みです。
対象者と対象建物
対象となるのは、区内にある戸建住宅や中小規模の建築物で、事前調査の過程で「アスベスト含有の疑いがある」と判定された場合に申請できます。
申請の流れ
申請の流れは大きく3段階です。まず、調査を行う前に「助成金交付申請書」を品川区環境課に提出し、承認を受けます。次に、登録された専門機関によって外壁材などのサンプリングと分析が行われ、JIS A 1481に基づいた定性・定量検査の結果が報告されます。最後に、調査が終了したら「実績報告書」と領収書を提出し、助成金が精算される仕組みです。なお、この助成は調査費用を区が直接負担する形であり、所有者の自己負担をゼロにできるのが大きなメリットです。ただし、工事費や除去費用そのものは対象外のため、今後の修繕計画とあわせて利用を検討する必要があります。品川区の相談窓口では、申請書の書き方や必要書類の確認もサポートしてくれるため、初めての方でも安心して活用できます。
7-2. 除去等助成(上限50/100万円・2/3)の対象(吹付けのみ)・申請ステップ
品川区では、建築物に使われているアスベストのうち、特に飛散の危険が高い吹付け材(吹付けアスベストや吹付けロックウールなど)を対象に、撤去等にかかる費用の一部を助成する制度があります。
対象者と対象建物
対象となるのは、区内に建つ建物の所有者(個人・法人・管理組合など)で、事前調査により石綿含有が確認された吹き付け材を使用している建物です。過去に同じ建物でこの助成を受けていないことが条件です。
申請の流れ
次登録調査者による事前調査で石綿含有量が判明した場合、施工業者が作成する作業書や見積書を準備し、申請書に提出して提出します。審査の結果、引き渡し決定が通知されてから工事に準備する流れとな工事は石綿作業主任者を構成した専門業者が行い、粉じん飛散防止や近隣への安全対策徹底します。終了後には空気中濃度測定を実施し、工事の安全性を確認します。この制度は、区民の健康被害を防ぐため、最も危険性の高い吹付アスベストに絞って設けられているのが特徴です。
7-3. 無料の使用状況調査と受付枠/窓口
品川区では、区民の健康被害を未然に防ぐため、アスベストの使用状況を確認する「無料の現地調査」を行っています。これは専門の調査員が建物を訪問し、外壁や屋根、天井などにアスベストが使われている可能性がある目視や図面で確認するものです。この無料調査は年度ごとに受付枠が設けられており、申請ブロック数が上限に達するとその年は受付終了となります。対象は区内の住宅や中小規模の建物で、所有者や管理者が申請可能です。申請後は、環境課の担当者と日程を調整し、調査員が訪問して結果を報告します。申し込みや相談の窓口は「品川区環境課環境保全担当」で、電話や窓口で受け付けています。区が高額を負担してくれるため、気建物になる場合は早めの活用がおすすめです。
8. ケースから学ぶ、判断の流れ
築年数が30年以上経過した住宅での、とあるケースと、どのように判断していったのかを、順にご紹介致します。
8-1.「外壁仕上塗材の疑い→調査→作業基準遵守で補修」ケース
外壁仕上げ塗材の疑い
築年数が30年以上経過した住宅で、外壁にひび割れや塗膜の枯れが見られました。所有者は「この仕上げ塗材にアスベストが含まれているのではないか」という不安を抱きました。特に1980〜90年代に施工された住宅の外壁には、吹き付けリシンやタイル吹付け仕上げといった石綿を含む可能性が高い材料が多く使用されています。
調査の実施
依頼者は、施工当時の図面や仕上げ表を確認し、工事業者にも相談しましたが確証が得られませんでした。そこで、専門資格を持つ「建築物石綿含有建材調査士」に依頼し、現場での目視確認や仕上げ材の採取を行いました。サンプリングは割れや少量の破片から採取し、飛散防止のため湿潤状態で実施。JIS A 1481に基づいて分析され、その結果、外壁仕上げ塗材から石綿の含有量が確認されました。この段階で「アスベスト含有建材である」という事実が確定し、今後の補修・工事は石綿関連法令を遵守する必要があることが判明しました。
作業基準に従って補修する
調査を踏まえ、依頼者が全面放棄ではなく補修を選択しました。厚生の指針に定め、この外壁仕上げ塗材はレベル3建材として扱われます。隣住民へ説明を行う、不安を払拭した点も重要です。発生した廃材や使用済み資材は二重袋に密閉し、産業廃棄物として適正に処分。こうして工事は飛散リスクを抑えつつ無事完了しました。
8-2.「成形板サイディング→張り替えorカバー検討→制度確認」ケース
成形板サイディングの調査
外壁改修を検討する際には、まず「含有物の有無」を確認することが必須です。写真や図面だけでは判断が難しいため、実際にサンプリングを行って、JIS A 1481に基づく分析試験で確認します。分析結果が出るまでは、むやみに放棄や解体を進めず、専門調査に基づいて安全性を判断することが、住まい手と施工業者双方にとってリスク回避につながります。
張り替え工法orカバー工法の比較
分析結果により石綿が検出されなければ、次は工法に検討します。張り替え工法を選ぶ場合、それ以降サイディングを削除するため廃材処理や粉じん対策が必要で、コストや工期は増しますが、基礎の状態を確認でき、劣化部分を補修しながら外壁を健全に更新できる点が強みです。カバー工法は、古い外壁を残したまま新しい外壁を優先して、工期が短く、人の負担も小さいのがメリットです。しかし、外壁が二重になり重量が増し、内部の問題を発見しにくいような場合もあります。家族の生活や予算を優先し、まずはカバー工法を優先候補としました。
カバー工法につきましては、下記の記事を参考にしてみて下さい。
認証確認
工法を決定する場面では、助成制度法令の規定を併せて確認しておくことが求められます。品川区ではアスベスト含有の可能性がある建材を取り扱う場合、事前調査と結果報告が義務付けられています。建築材の除去に限定して最大50万円または100万円の高額助成が設けられています。今回のケースでは非含有と判定されたため高額助成の対象外で今度は、制度をしっかり確保しておくことで、安心かつ適切に外壁リフォームを進めることができました。
9. 業者の選び方
9-1. 有資格者・届出・作業計画・記録保存の確認ポイント
アスベストを含む外壁や仕上げ材の工事を依頼する際には、業者選びが最も重要です。まず確認したいのは、工事を行う作業員や現場管理者が、法律で定められた有資格者であるかどうかです。次に、工事内容に応じて必要な行政への届出が適切に行われるかを確認します。大気汚染防止法や労働安全衛生法に基づく届出が、工事開始の1作業領域の隔離方法、粉塵飛散防止策、緊急時の対応手順まで明文化されている記録業者は信頼できます。そして工事後には、作業や写真記録が正しく保存され、依頼者にも判明されることがございます。これにより今後的なトラブル防止にもつながります。
- 有資格者の配置
- ・「建築物石綿含有建材調査者」「石綿作業主任者」などの資格を持つ担当者がいるか
- ・現場管理者が法定資格を保有しているか
- 行政への届出
- ・大気汚染防止法に基づく届出が工事開始14日前までに提出される
- ・労働安全衛生法に関する必要な届出が行われる
- 作業計画の存在
- ・作業領域の隔離方法や養生の具体策が計画される
- ・粉じん飛散防止策や緊急対応が明文化されている
- 記録保存と開示
- ・作業や写真記録が工事後に保存される
- ・依頼者(実施主)にも開示される仕組みがあるか
9-2. 見積書の読み方(事前調査・分析・養生・産廃・報告)
アスベスト関連工事の見積書を確認する際は、単なる金額比較ではなく、必要な項目が網羅されているかを丁寧に見ることが重要です。まず事前調査費用が記載されているか確認しましょう。建築物石綿含有建材調査者による現地確認や図面確認の費用が含まれているのが一般的です。次に、サンプリングが必要な場合の分析費用が明示されているかを確認します。JIS A 1481に基づいた検査が行われているかどうかもチェックポイントです。さらに、作業中の粉じん飛散を防ぐための養生費用(ビニールシートや負圧集じん装置の設置など)が計上されているかどうかは、安全性に直結するため見落とせません。加えて、アスベストを含む廃材の処理に関わる産業廃棄物処理費が明確に記載されているかを確認することが必要です。最後に、法令に基づき行政へ提出する報告書作成費用や届出に関わる手数料が盛り込まれているかどうかも重要です。これらの費用が抜けている場合、後から追加請求が発生する恐れがあるため、見積段階で「調査・分析・養生・廃棄・報告」の一連が含まれているかを必ず確認することが、安心できる工事依頼につながります。
見積もりにつきましては、下記の記事を参考にしてみて下さい。
9-3. 施工後の記録・保証・再販時の説明資料
アスベスト関連工事の完了後は、施工記録を残すことが極めて重要です。記録には、事前調査結果、施工方法、使用した養生資材、廃棄物処理のマニフェストなどを含め、写真付きで整理しておくと安心です。これにより、将来的に施工の適正性を第三者に証明できる体制が整います。また、施工業者から発行される保証書の有無や内容も確認が必要で、工事の品質やアフター対応範囲を明確にしておくことが望まれます。さらに、不動産の売却や賃貸など再販時には、アスベストに関する履歴が重要な説明資料となります。調査報告書や施工完了報告を整理し、必要に応じて買主や入居者へ提示できるよう準備することで、トラブル防止と信頼性確保につながります。
10. よくある質問
- Q1. 2006年以降の建物なら100%安全?(中古・増改築の材混在に注意)
- A.必ずしも安全とは言えません。2006年にアスベストの全面禁止が実施されましたが、中古建物や増改築で古い資材が混ざっている可能性があります。竣工年だけで判断せず、使用材の確認や事前調査で含有の有無を確認することが大切です。
- Q2. 外壁の苔・カビ洗浄で削ると飛散しませんか?
- A.高圧洗浄やブラシで強く削ると、仕上塗材にアスベストが含まれていた場合に微細な繊維が飛散するリスクがあります。外壁の状態によっては分析調査を優先すべきです。清掃時は専用の方法を守り、むやみに削らないことが安全管理につながります。
- Q3. サイディングの品番が分からない時の照会手順(KMEW/ニチハ)
- A.窯業系サイディングはメーカーごとに品番で判定可能です。建物図面や裏面印字で確認し、不明な場合はKMEWやニチハなどのメーカー窓口へ写真や寸法を送って照会できます。判別できない場合は分析調査を依頼するのが確実な方法です。
- Q4. 事前調査の資格者はどこで探す?(講習修了者検索等)
- A.アスベストの事前調査は「建築物石綿含有建材調査者」などの資格者が行います。環境省や国交省の公式ページには講習修了者の検索サイトがあり、地域や専門分野で調べられます。依頼前には資格証や登録状況を必ず確認することが推奨されます。
- Q5. どの規模から報告義務がある?(80㎡・100万円等の要件)
- A.原則として、解体工事で80㎡以上、リフォーム等で請負額100万円以上の工事は、アスベスト事前調査と結果報告が義務づけられています。外壁の改修は金額要件に達することが多いため、着工前に該当するか必ず確認しておく必要があります。
- Q6. レベル3は届出不要でも守るべき作業基準は?
- A.レベル3建材(成形板や仕上塗材など)は事前届出は不要ですが、作業基準は守らねばなりません。湿潤化処理や破砕回避、集じん機付き工具の使用、飛散防止養生、廃棄物の適正処理が求められます。届出義務がない=安全対策不要ではない点に注意が必要です。
- Q7. 外壁材の“分析”って何をする?(JIS A 1481の定性/定量)
- A.分析は、外壁材にアスベストが含まれているかを調べる工程です。JIS A 1481に基づき、偏光顕微鏡やX線回折装置で定性・定量分析を行います。外観では判別できないため、サンプルを採取し専門機関で検査するのが唯一確実な確認方法です。
- Q8. 助成は外壁の“仕上塗材”や“成形板”にも出る?(助成対象の範囲)
- A.品川区など自治体の助成は、仕上塗材や成形板など外壁建材の調査・分析にも適用される場合があります。ただし除去助成は吹付け材が対象となることが多いので注意が必要です。利用時には助成対象範囲や上限額を事前に窓口で確認すると安心です。
11. まとめ
外壁のアスベスト問題は「建物時代の確認」から始まります。2006年以前に建築・改修された住宅では、仕上げ塗材や成形板サイディングにアスベストが含まれている可能性があり、まずは「疑い」を持って検討することが重要です。その結果、含有量が確認された場合は、工事規模(80㎡や100万超円以上など)に応じて報告・届出を行い、適切な工法を選択する流れとなります。工法は、仕上げ塗材なら湿潤化や飛散抑制剤を使った補修、成形板なら破断を気にして取り扱いの徹底、張り替えやカバー工法など検討してみましょう。施工は有資格業者を選び、届出・作業計画・保存の記録を確約する追加見積書では、事前調査費・分析費・養生費・産廃処理費・報告費等の項目を細かく確認し、施工後は記録や保証を保管し、将来の再販売時の説明資料としても活用できます。また、品川区では無料分析助成(上限5万円)、削除助成(最大100万円)、の使用状況調査など複数の支援制度があり、賢く使えば費用負担を大きく考えることが可能です。
お電話でのご相談はこちらから
すぐのお電話での相談は、スマホ画面の一番上か一番下に表示されている『 03-3785-1616 』の電話番号をタッチ。
iPhoneの場合、
03-3785-1616をタッチ→ (通話許可→) 発信
Androidの場合、
03-3785-1616をタッチ→ (電話アプリの選択) → 番号表示→ 発信
で電話を掛けることができます。
電話がつながらない場合は、※ 090ーXXXXー2256 の番号で掛け直します。
LINEでのご相談はこちらから
いつものLINE感覚で、かんたんに相談できます。
やりとりは1対1のチャットなので、プライベートにご相談できます。
スマートフォンの方は、下の【友だち追加】ボタンを押しましょう
石川商店のLINE公式アカウント『みんなの屋根の相談所』を【友だちリストに追加】ボタンを押せば準備完了
パソコンの方は、QRコードをスマホで読み込みましょう
読み込むとLINEアプリがスマホで立ち上がります。
【友だち追加】をすれば、いつものLINE感覚で相談できます。
石川商店LINE相談の使い方はこちら。
メールでのご相談はこちらから
メールでのご相談はこちらのバナーをタッチ。
ご相談フォームに入力すれば、かんたんに相談できます
石川商店からのお願い
記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。
お客様の率直な感想をいただくため「役にたった」「役に立たなかった」ボタンを設置しました。
また、もしもっと知りたいこと、分かりづらかったことなどあれば下のコメント欄にご意見いただければと思います。
日々屋根にお困りのお客様にとって必要な情報をお伝えするために、ご参考にさせて頂きます。





















