本記事はYouTubeに投稿しているインタビュー動画を記事化したものです。
本記事の目次
「新しい弔い方」ペットロスの悲しみを軽減したい
- まずは石川さんが「なぜペットのお墓を作ろう」と考えたのか、その理由や背景を伺いました。
石川:もともとは、瓦とか屋根に興味を持つきっかけづくりとして「何かできないか」と考えたことがキッカケでした。
日頃から「屋根のメンテナンスをしてください」と言っているのですが、災害予防の話など、いきなり被災するから困ったり、大きな修理が必要になってショックを受けると思っています。
もっと屋根に興味を持ってもらえたら、メンテナンスの必要性を感じて行動してもらえるし、それが災害予防につながります。そうすれば結果的に修理にかかる費用は抑えられるし、先行投資的にはなりますがお客様の得になると考えています。
そういったところでなんとかして屋根とか瓦に興味を持ってもらう方法は何かないかなって。要はキッカケ作りであればどんなことでもやっていこうと思ったんです。今も取り組んでいる「瓦割り道場」のように、瓦素材でペットのお墓を作るというのも、瓦を知っていただくキッカケになればと思って考えました。
ただ、やるからには「瓦でお墓を作る」という企画自体が達成するゴール・目的が「瓦に興味をもってもらう」では成立しません。例えば「瓦割り道場」の場合は「ストレス発散系のエンタメ」というサービスであり、ストレス社会の日本に必要とされることを目指しています。
ペットのお墓を作る目的・意味として考えたのが「ペットロス」でした。家族同様大事にして、亡くなった後を引きずってしまうペットロスによる心の負担を軽減できないかと考えたんです。難しいかもしれないですが、解決の1つの方法として役立つことができないかなと思ったときに、僕が考えたのが「ペットが亡くなったことをしっかり弔う」ことでした。
大切なペットを思い出すものだからいつも側に
- しっかりと弔うための選択肢1つを作ろうとしている石川さん。大切な家族を思い出すものがもっと人の目に触れてもいいのでは?そう感じることがあったと言います。
石川:しっかりと弔うことで、亡くなった悲しみを和らげることにつながらないかなと思っています。もちろん、ペットを大切にされている皆さんは、しっかりと弔っているかと思います。実際、雨漏り調査で訪問させていただいたときに、人間の仏壇にペットの位牌が置いてあるの見たことがあります。
ただ、本当はもっと普段目に付くところに置きたいけど、例えば位牌を玄関に置いたりはしない。いつ誰が来ても大丈夫なところにしか置かないと思うんです。
家族にとっては良い想い出であっても、他人から見ればそれは同じ想い出でにはなりません。だから位牌とか見ても、その背景が分からないと、そこに「死」を感じる何かがあるというだけで怖くなる人もいて、どこにでも置けるわけではない。
人によって違うと思いますが、でも本当は賑やかな場所に置けるなら置きたいと思う気持ちがあるかもしれないと思ったんです。でも人の目につくと悪いから、端っこに置いておこうと。それだと本末転倒だと思ったんですよ。
だから見るからに位牌と分かるようなものではなく、気軽に置けるものであれば玄関にも置けるかなと。そういった感じにすれば、本来置きたかった場所に置ける。そこで犬や猫の形をした置物のようなお墓を瓦で作ろうと思ったんです。
「瓦でしかできないこと」ペットの遺骨を混ぜて魂を込めたい
- 瓦でしかできないこと。それは遺骨を土に混ぜて焼き上げお墓を作るというものでした。いぶし瓦の素材で作ったお墓は、人が撫でるほど変色していくそうです。魂を込めたお墓を日々撫でながら大切な家族を想い出して欲しいと言います。
石川:実際にペットを飼っている人たちに、サンプルを見せながら色々聞いていくと、「これはウチの犬・猫じゃない」という話になりました。当然ですね。
これは瓦の造形物をつくる鬼師(おにし)さんという職人さんがいて、こういう人たちに頼んで写真から特定のペットを再現することができるんです。ただ、制作費として30~50万くらいはかかってしまいます。
もう少し手軽にできないかなと思ったときに、姿形は自分たち家族の犬・猫ではないですが、遺骨の一部を混ぜて作れば、ここにしっかりと亡くなったペットの魂が込められないかなと考えました。瓦は焼き上がる前はぐにゃぐにゃの状態の粘土です。そこに骨を混ぜて作ったらどうかと。
骨を混ぜて焼くことは瓦でないとできないと思うんです。陶器の置物のように遺骨を入れれられるスペースを作って収納するのではなく、混ぜられることでより深く魂を込められないかと考えました。
あと、あえてこの「いぶし瓦」で作るようにしているんですけど、これは塗装や釉薬は使わないので、触ると人間の油が染みこみやすいんです。だから撫でれば撫でるほど変色します。それが目に見える変化となって現れるので、生前のようにたくさん撫でて欲しい。そういった変化が、本当に魂がこもっていると感じやすくなるのではと思っています。
これは「瓦」でないとできないことだと思いました。
【お願い】新しい取り組みなのでご意見お待ちしています
- 話を聞きながら筆者が考えたことは、大切にしていたペットが亡くなったときに人も高齢で新しい家族を迎え入れることに躊躇してしまう人のことでした。迎えたいけど、「お世話ができなくなったらどうしよう」と考える人にとって、瓦で作るペットのお墓が役に立つことがあるのではないかということです。ただ、実現に向けて現実的な課題もあります。
石川:まだ実際、粘土に遺骨を混ぜて焼いたことがないんですよ。だから今は悪影響がないかを検証する段階です。
火葬すると遺骨が出てきますが、実は割と低い温度で焼いているので骨が残るんですよ。瓦は1000~1200度で焼いているので骨も溶けてしまいます。その部分が、土のなかでは空洞になり、その影響で「強度的にもろくなる」など、そういったケースが出てくるのかを検証する必要があります。
製品として形に仕上げるときに、その骨をまぜた影響で割れやすいのであれば問題があります。そうなると、何か改善方法を探っていかなくてはなりません。
これからも継続していければ、ペットのお墓の進捗報告など続けていきたいと思っています。記事やYouTubeをご覧いただいた際は気軽にコメントをいただけたら嬉しいです。
例えば、鬼師さんでペットがいるという人がいるのですが、自分のペットのときに作りたいかと聞かれたら「自分はやりたくない」という人もいらっしゃいます。「可哀想に思うし、遺骨に対してそういうことは良くないのでは」と。
なので、今後もいろいろな意見があると思います。すべて改善できるかはわかりませんが、できるだけ取り除けるように考えたいので、忌憚なく意見をいただけるとありがたいです。
石川商店からのお願い
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