ー教えて屋根屋さん! 第127回ー
屋根材はどうやって選べばいい?
新築の家を建てるとき、あなたは何を基準に屋根材を選んでいますか?
色? デザイン? 初期費用?
プロの屋根屋からすると、そんな基準で屋根材選びをするのはもったいない!
屋根屋がおすすめする、屋根材選びのポイントをお伝えします。
プロが伝授! 屋根材の正しい選び方
屋根材はどうやって選べばいいのでしょうか。
そのポイントは「その家に何年住むか」にあります。
自分たち夫婦だけで取り壊すならば30年ぐらいでいいかもしれません。
お子さんたちも住むならば、最低60年は視野に入れておきたいところでしょう。
孫たちにも住んで欲しいと願うなら、90年近く住めるようにしたほうがいいですね。
このように何年住むかによって、どの屋根材が良いかは変わってきます。
正確にいうと、初期費用だけでなく、メンテナンス費用も含めた総費用(ランニングコスト)が屋根材によって大幅に変わってくるのです。
例えば、以下の資料を見てみてください。
この資料は屋根材と下地の工法別にいくら総費用がかかるかを表しています。
左の「30年目で解体」を見てください。
「ス 良」という項目の費用が一番安くなっていますね。
上の「ス」の部分は屋根材を表しています。スの場合は、スレートです。
下の「普」「良」「優」は下地の工法。普→良→優の順番に質が高くなっていきます。
この表を見る限り、30年で解体する場合は、「化粧スレート葺き 高耐久」という屋根材&工法が一番安価に済むことが分かります。
だから、日本建築の平均寿命が26年である現代において、スレート屋根材を選ぶということは何ら間違っていないのです。
60年で解体する場合はどうでしょうか?
右の表によると、「40 瓦 優」と書いてあります。
これは「40枚瓦 防水通気流し桟」と呼ばれるもので、簡単にいえば「良い工法で建てた、瓦屋根」と思ってください。
30年で解体する場合に安かった「ス 良」は、瓦より数十万近く高価なことが分かります。
これは、国総研(国土交通省国土技術政策総合研究所)や全瓦連(全日本瓦工事業連盟)と5年間一緒に研究したなかで作成した資料です。
ただし、「10年に1回メンテナンス」とあくまで理想論を語る政府と違い、より現実路線にするため、メンテナンス回数を15年に1回にするなど、私なりのアレンジを加えています。
弊社独自の資料となるため、公式とは言いがたいですが、参考にはなるでしょう。
このように家を解体する年数によって、最適な屋根材は変わります。
そのため、最初に「何年住むか」を念頭に置いて欲しいのです。
といっても、30年といえば、ローンの返済も終わりまさに「これから!」というとき。
ローン返済終了と同時に、家を解体しようと考える人は少ないと思います。
ですが、先ほども申し上げたとおり、現在の日本の建物の平均寿命は26年。
30年すら届いていない状態です。
なぜこのような結果になっているか。
その一つとして、住宅の“資産価値”の問題が挙げられます。
多くの人が家を購入することで資産が増えると考えますが、残念ながら現代の日本では、家の価値はたったの22年で0円になってしまいます(土地は別)。
そのため、22年経過すると「取り壊しても良いか」となってしまうのです。
現状を変えようと、政府も動き出しています。
30年で解体される家ではなく、3世代住めるような“長期優良住宅”を推進し、そのような家の資産価値は22年で0円にならないよう法改正を進めているのです。
いつ現状が変わるかは不明ですが、確実に状況は変化しています。
そのため、これから家を建てる方は「何年住むか」を念頭に、家作りや屋根材選びを考えてくださいね。
次回は、「屋根勾配の決め方は? 勾配が違うと何が変わるの?」についてお話しいたします。
創業75年、屋根専門石川商店の三代目。
1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 ブラッククローバー
【困り事】 正月食べ過ぎた
DIYで作った個人ブログはじめました。
37歳おっさんのチャレンジを綴っています。
http://hiroki-ishikawa.info/wp
屋根で損する人をゼロにしたい、屋根屋の三代目です。
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