ー教えて屋根屋さん! 第109回ー
屋根工事をするとき、よく耳にする「スレート」という言葉。
そもそもスレートって何? スレート屋根材のメリット・デメリットとは?
スレートの疑問について、回答します。
スレートとは
そもそもスレートとは、粘板岩と呼ばれる、岩石の一つ。
粘板岩は、細かい砂や泥が堆積して、圧力を受けて、長い年月を掛けてつくられる天然石です。
天然スレートは、昔はよく使用されましたが、今は非常に高価なため、めったに使われません。
代表的な天然スレートの建造物として、東京駅の屋根があります。
東京駅に使われているのは、宮城県石巻市の雄勝石という日本一のシェアを持つ天然スレート。
東日本大震災時に、津波で流されてしまい、一時はどうなることかと思われましたが、その後の職人たちの必死の努力により、現在の東京駅での採用が実現しました。
東京駅
現代では東京駅ぐらいで、一般の住宅で天然スレートが使われることはほぼありません。
では、なぜ「スレート」という言葉をよく耳にするのでしょうか?
天然スレートと人工スレート
実は、スレートとは天然石だけを指すわけではありません。
上記でも、なぜ天然スレートという言い方をしたかというと、人工スレートがあるからです。
現代では、一般的にスレートというと人工スレートのことを指します。
人工スレートとは、セメントを固めて薄く伸ばし、塗料で着色した、天然スレートの模造品。
石川商店では、工事実績の8割近くは人工スレートが占めています。
人工スレートのメリット・デメリット
なぜ人工スレートは、採用されることが多いのでしょうか?
一つ目の理由が、初期費用の安さ。
新築で家を建てるとき、人工スレートを使えば、瓦の半分ぐらいの初期費用で済みます。
工事も簡単で、本気で勉強すれば、1カ月程度で一通りの作業をこなせるようになります。
そのため、比較的職人が多く、工事のための人を集めるのも簡単です。
工事が簡単なため、工期も短縮できるので、工事金額も安くなります。
このように、一見人工スレートには色々なメリットがあります。
同時に、落とし穴もたくさんあること、皆さんご存知ですか?
まず人工スレートは汚くなりやすいです。
人工でセメントに着色しているため、塗装がはげてしまうと、すぐ汚くなってしまいます。
コケも生えやすく、屋根が緑や黄色に変色することも多いです。
弊社に依頼される屋根掃除のほとんどが、人工スレートの屋根です。
また屋根自体も長持ちしません。
人工スレートは、構造部分の野地板に防水紙を張り、そこに直接釘を打って、施工します。
そのため、釘を打った穴から、雨水が染み込んでしまいます。
雨水が漏れると、木材が傷み、腐敗が進み、60年もすれば、屋根全体を取り替える必要が出てきます。
そのうえ、部屋が暑くなりがちで、瓦に比べると雨音なども響きがちです。
工期や費用ばかりで、家にとってのメリットは何一つありません!!
なぜ人工スレートの普及が進んでいる?
初期費用が安いとはいえ、なぜ家にとってはデメリットばかりの人工スレートがこんなにも普及しているのでしょうか?
それは営業側の問題もあります。
ハウスメーカーの営業は、新規の注文を一つでも多く獲得するため、人工スレートの初期費用の安さばかりを強調します。
しかし、人工スレートは、15年に1度は大規模な修繕が必要で、そのたびに費用がかさみます。
結果、30年近く経過すると、トータルコストで考えれば、メンテナンスフリーの瓦の屋根材のほうが費用的にも住宅的にもメリットが大きかったということが多々あります。
また現在、瓦職人は数が減少しており、工事のための人を集めるのも大変です。
その手間を削減するため、わざと瓦のメリットについては口をつぐみ、人工スレートを勧める業者もいます。
人工スレートは、初期費用や工期など、短期的にみればメリットはあります。
しかし、長年愛着を持って住む家に使うことは、おすすめしません!
上記のような知識を持った上で、自分の家にぴったりの屋根材を選択してくださいね。
次回は、「屋根のカバー工法とは」についてお話しいたします。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜昭和二十六年創業。屋根に関する製造・販売・工事の全てを経験。
屋根専門石川商店の三代目、1級かわらぶき技能士
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 瓦割り世界チャンピオン
【ブーム】 なんだか断りそうだな、、、
【困り事】 寝ても寝ても眠い病
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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屋根で損する人をゼロにしたい、屋根屋の三代目です。
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