茅葺きから杉板重ね葺きに変更された大嘗宮の屋根の気になる工夫。

石川 潤
石川 潤
  • 天皇陛下即位に伴う儀式「大嘗祭」が行われた大嘗宮。
    その取り壊しの前に一般に公開されたので見に行った来ました。

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一般参観で多くの方が見学した大嘗宮。

天皇の代替わりのときにのみ設営、使用される「大嘗宮」。

皇室が身近になったと云われることもあってか、前回平成のときと比べて一般参観に1.8倍もの方が来場したそうです。

自分が行った日は雨が続いたあとの晴れの日だったので、気温は低いにもかかわらず多くの方が参観にいらしていました。

良い天気です。

坂下門に向かってぞろぞろ。

 

主基殿等主要建物の茅葺きをやめて板葺きに変更。

大嘗宮の設営にあたって話題になったのが、屋根の仕様のこと。

伝統的に茅葺きの屋根が使用されていましたが、今回初めてすべての建物で茅葺きをやめました。

代わりに板葺きになりました。

理由としては、コストの問題は大きかったようです。

また、減少している資材をいかに調達するかや、職人の高齢化や減少もあります。

そしてこれらを総合して、なにより限定された工期内で確実に完成させるという時間的な制約を最重要視した結果、板葺きへの変更が決まったそうです。

平成の大嘗宮のときにすでに多くの簡略化がなされていたそうですが、主基殿、悠紀殿、廻立殿の主要三建物は茅葺きだったとのことです。

今回はこれらと殿外小忌幄舎、小忌幄舎が杉板の重ね葺きとなりました。

各所から批判や要望もあったようです。

 

富士見櫓を過ぎたあたりの道幅が狭くそこを通過するのに割と時間がましたが大嘗宮まではすんなりと進みました。

ただ大嘗宮前には多くの人がいました。

正面に向かいます。板葺きの屋根が見えます。

茅葺きに比べると簡素なはずですが重ね葺きの屋根の色が濃いせいかそこまで軽くは見えません。

大嘗宮の良い写真を撮るのは一苦労。

皆さんかなりよいカメラを持っていたり、スマホを掲げたりしていて、また最前列で撮りたいので、かなりの混み合いです。

激安バーゲン並みの圧力を受けました。

ただ、正面の鳥居を過ぎると逆にびっくりするくらい余裕で写真が撮れました。

坂下門からの混み具合が、焦って写真を撮らなければという気にさせていたように思えます。

悠紀殿の千木と鰹木。

大勢の人が写真を撮っています。

大嘗宮の重ね葺きは普通の板葺きとは違う?

参観し写真をとってきて、ちょっと気になったのが件の杉板重ね葺き。

杮葺きなどでは木の厚みの分だけ隙間ができたりしますが、写真で見る限りズラして重ねてある板の下に隙間がありません。

よく見ると板の軒側は厚いですが、棟側は薄くなっています。

ウッドシングルのような形状に見えます。

宮内庁によれば大嘗宮では厚さある板を重ねて竹釘で固定するがその際の納まりをよくするために表面板にそのような加工がなされていると考えてよいとのことでした。

同様に厚い板を使用する栩葺きでは、特に板厚が厚い場合には納まりをよくするために棟側を薄く削ったものを使用することがあるようです。

18mmともいわれる板を使用しているという大嘗宮でも同じような工夫がされていました。

他にも気になったものを写真でいくつか。

木でできた消化器箱。

木造の大嘗宮には欠かせないものですが、その雰囲気にあったものが使用されていました。

もともと皇居にあるものですが、長い棟が素敵な建物。

そして天守台の石垣。

 

なかなか貴重なものが見られて良かったです。

 

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Jun

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