ドローン点検は、ハシゴも使わず、屋根にも登らないで屋根の状態を点検できるので、屋根を傷つけることがありません。年数の経った屋根は素材によっては、登ったときに踏み割れてしまい、実は詐欺業者がそこをあたかも「割れていたので点検した方がいいですよ」って言うそうです。(こわっ……。)
ということは、ドローン点検をする業者は優良業者ですね!と僕は思っていたわけですが、そんなに単純なことではありませんでした。今回も「なるほど!」がたくさん詰まった石川さんのお話をご覧ください。
本記事は以下のインタビューを記事化したものです。
みんなの屋根の相談所|石川商店【公式YouTubeチャンネル】
※前回のインタビュー記事はこちら
本記事の目次
ドローン点検を導入している屋根屋さんは少ない、自分も元々はいらない派だった
大久保―――
屋根屋さんはドローン点検を導入されているものなのでしょうか?
石川―――
いえ、まだまだ屋根屋さんで導入しているところは少ないと思います。
大久保―――
それは操作する技術的なことも含めて色々あるのでしょうか?
石川―――
一番の理由は「どうせ登るから」です。ドローンで写真を撮ろうと撮らまいが関係ないと思っている人が多いと感じています。
僕たち屋根屋の立場からすると一工程増えるんですよ。これまでの考え方だとわざわざドローンを飛ばすという工程自体が不要なので。実際に僕も二年半前ぐらいはそう思っていました。
大久保―――
石川さんも最初は不要だと思っていたのですね。
石川―――
はい。ドローンなんて敵でしかないと思っていました。
大久保―――
なぜ敵だと思ったのですか?(笑)
石川―――
ドローンがあると誰でも屋根を見られるようになるので、屋根屋の商売あがったりなんじゃないかっていうのが本音でした。導入していない屋根屋さんは今でもそう思っていると思います。
ドローンを導入しようと決めたのは懇意のお客様の反応
大久保―――
そんな石川さんが180°変わったのはなぜだったのでしょうか?
石川―――
きっかけは知り合いの屋根屋さんが、ドローン点検の話を同業の方から聞くということだったので、せっかくなら僕も聞きたいと思って一緒に話を聞きにいったことです。
当時は、ドローン使ったら便利なんだろうなって知ってはいたものの、さっき言った通りで「登るからいらなくない?」っていうのが本音です。
ただ実際、見てみないとわからないし使って見ないとわからないなと思って、話だけでも聞いてみようと思いました。
その後、実際にうちの会社に来て実演してくれたら、すごく安定して飛んでいるし操縦も簡単。これだったら三階建てで屋根に上れないとか、屋根が急傾斜でそもそも人が歩けない屋根には使えるなと。そこで一つ、いつも点検しているお客様のところで飛ばさせてもらうことになりました。
大久保―――
はじめてドローンでお客様の屋根を点検してみていかがでしたか?
石川―――
はじめてドローンが飛んでいるのを見たときはすごく感動しました。男子がラジコンを動かして喜ぶみたいな(笑)
実際にお客様の家で飛ばして撮った写真を見てもらったら「あっ。うちの屋根ってこうなっているんですね」って言われて。そのお客様の屋根は、点検する度に写真を見せていたはずだったのに、ドローンの写真を見て初めて知ったような、そんな感じの様子でした。
大久保―――
なるほど!今までは実感がわかなかった感じでしょうか。
石川―――
そうみたいです。僕たちが屋根に上がって撮る写真は一部しか撮れないので、全体像が掴みづらいと思います。どこがどうなっているかをこちらも伝えにくいので、お客様も僕たちのことを信頼して、なんとなくの理解で終わってしまっていたようです。そんなことにも気づかず仕事をしていたんだなと情けなくて、それをはじめて実感しました。
そこで屋根屋のために飛ばすのではなく、お客様のために飛ばした方がいいなと感じ、そこから一気に「ドローン最高」となって調べ始め導入するに至りました。
大久保―――
変わり身が早いですね(笑)
石川―――
はい。急に寝返った感じです。
ドローン点検で点検前と点検後を明確にする
石川―――
屋根に登って自分で壊して、こうなったから修理しましょうっていう業者は残念ながら少なくないです。詐欺ですけど、でも点検前の状態を証明することができません。言われたお客様は「教えてくれてありがとう」って感じになってしまいます。
大久保―――
恐ろしいですね。
石川―――
だから僕らが屋根に上がって点検する時は、上がる前にドローンで撮影します。そして撮影した後に、実際に屋根へ上がって点検しますねっていう二段階でさせてもらうことにしました。
上がる前の状態を写真で撮るので責任の所在が明確になり、こちらがそこで壊しちゃったらドローンの写真が証拠になります。「屋根に上がる前に撮る」みたいな文化ができればいいなと思いますね。
大久保―――
そうですよね。そこのポイントはとてもわかりやすいし明確です。そういう点検をしている業者は信用できるという判断基準になりそうですね。
ドローン点検をするからといって無条件に信頼してはいけない
石川―――
ただ一つ、「ドローン=まともな業者」というのは危ないところもあるんです。
大久保―――
例えばそれはどんな業者ですか。
石川―――
ドローン「しか」使わない業者です。屋根屋さんじゃなくても屋根が見られるようになったので、ドローンを使った新手の詐欺業者がでてきました。
大久保―――
屋根屋さんじゃないのに屋根の点検って、被害に合う人がいるんですね。一体どんな手口なのでしょうか。
石川―――
基本は一緒ですね。お宅の屋根が気になったのでちょっと点検しますよって。これまではハシゴだったものがドローンに変わっただけです。
ただドローンの写真は接近して撮るのが難しく、細かい状態がわかりにくいから騙しようがないので、火災保険を使ってリフォームできますよって言ってきます。そしてその申請代行を無料でしますので、火災保険が降りたら成功報酬をもらいますって。
ドローンを使うのはそのパターンが多いです。
でも被災していないのに火災保険を申請するのは詐欺行為になり、しかもその申請はお客様名義だからお客様が詐欺行為をしたことになります。
大久保―――
悪質ですよね。それで業者はほとんどリスクもない。
石川―――
そうですね。だからドローン=良い業者ではなく、屋根に上がる前にドローンを使って写真を撮り、その後にちゃんと屋根にも上がって見てくれるというのが大事です。ちゃんとした屋根屋さんがドローンを持って点検する、というのが一番安全でしょう。
大久保―――
屋根屋さんがドローンで見て、さらにその後には直接上がって確かめる。この順序を踏んでいることが必要なのですね!
石川―――
そうですね。それが標準になることが望ましいかなって思います。
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石川商店ではこれからも日々情報を発信し、お客様の声に耳を傾けていくので、屋根の悩み事はお気軽にご相談ください。
次回は、屋根材の中でもっとも質問の多いスレート屋根についてお届けします。お家で屋根材がスレート屋根という方にとって役に立つ内容ですので、是非楽しみにしていてください。
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