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予防メンテナンスをすれば、地震や台風による屋根被害は1〜2割に激減!?
すべての屋根で、予防メンテナンスを行えば、屋根被害は1〜2割に抑えられると、ぼくは考えています。
何を根拠にと言われると、2011年の地震、2018〜19年の台風での実体験からです。
実際に一軒家の修理にあたると、被害にあったほとんどが「 築30年以上 」または「 メンテナンスを20年以上していない 」のいずれかだったからです。
国交省の調査結果から、少なくとも4割は減る
石川商店での調査データでは、根拠が薄いと思われる人も多いはずなので、国交省の調査結果を引用させていただきます。
令和2年7月13日に行われた、令和元年房総半島台風を踏まえた建築物の耐風対策に関する検討会(耐風TG)での資料から引用します。
■ 令和元年房総半島台風の屋根被害の国交省調査
↑ にあるように、
・被害のあった屋根の8割は、瓦屋根
・被害のあった部位で一番多い「 むね 」で、68%
・「 むね 」がガイドライン工法での被害は、27%
→ ガイドライン工法の予防率
→ 100% ー 27% =73%
ここから計算すると、0.8 x 0.68 x 0.73 = 0.39
約4割は、減らすことができた計算になります。
※ ガイドライン工法とは?
瓦屋根標準設計・施工ガイドライン|屋根工事と瓦のプロ集団【全日本瓦工事業連盟】
でも古い瓦屋根は「 葺き替え 」しか、メンテナンス方法がない
築30〜40年くらいの瓦屋根で、台風や地震対策をするとなると、基本的には、葺き替えや葺き直しといった全面やり直し工事を「 ガイドライン工法」という最新の工事方法で、おこなうしかなく、費用は200万前後にはなってしまいます。
なので、今の家に数年くらいしか住まない人には、過剰で費用も高額なため、葺き替えせずに放置しておく場合が多く、そのような家が台風や地震で被災してしまっているのが、現状です。
2021年から、葺き替えに助成金が出るが、、、
国土交通省の令和元年房総半島台風を踏まえた建築物の強風対策の一環で、強風災害・水災害等により被害を受けるおそれがある住宅の改修に対する支援をすることが、発表されています。
補助の内容は、
- ●1 屋根の耐風診断に、1棟31,500円
- ●2 屋根の葺き替え工事に、最大55万円
- ●3 耐震、省エネリフォームに伴う防災工事に、最大100万円
のようになっています。
くわしくは、国交省のホームページなどで確認できます。
■ 建築:令和元年房総半島台風を踏まえた建築物の強風対策 – 国土交通
6. 補助制度
ただこちらの補助金のうち、1、2の耐風診断、葺き替えに関しては、本当に2021年中に実行されるのか疑問です。
というのも、このような新設の制度は、予算の調整もあるので、1年以上前に決めて稼働するのが通常の流れです。
それが3ヶ月とか半年で実施するようなスケジュールになっていること。
そして、予算は国と地方自治体が分け合って捻出するようになっています。
なので自治体がやらないと言えば、実施されません。
ちなみに3・11時点で品川区では、担当も決まっていないので、事業が行われるかどうかもわからない状況と、区役所に電話して確認しました。
ぜひとも前向きに、検討してほしいところです。
瓦屋根の「むね 」のメンテナンスも、決して安くはない
以上のように、古い瓦屋根の家で完全に防災対策をするとなると、補助金があったとしても100万円は超えるような工事になり、長く住むか分からない人にとっては、躊躇する金額です。
そこでぼくたち屋根屋が、次に提案するのが、棟の取り直し工事です。
■ 棟の取り直し工事
こちらは上の表で、68%の被害が出ている「 むね 」部分だけをメンテナンスする方法です。
その場合の金額は、仕様や棟の長さで変わりますが、金額目安は15〜50万円です。
もちろん、全体工事からすると安くはなりますが、決して安いとは言えません。
また、その他の部位、軒・けらば、平部は対策できないので、完璧な防災対策ではありません。
上の国交省の資料からすると、約半分は被害にあう可能性があることになってしまいます。
安価に全部位対策できる「 ウッドロック」
上述のような実態や、石川商店のお客さまからの相談で、古くなってきた瓦屋根を災害予防でしっかり対策したいけど、あまり長く住まないから、費用は抑えたい、という要望が少なくありませんでした。
特に、
- ● 築30年以上、経っている
- ● 今まで、一度もメンテナンスしてない
- ● あと5年くらいしか、住まない
ようなヒトからの、要望が多かったです。
そこで考えた工事方法が、ウッドロックです。
■ ウッドロック工事事例
ウッドロックはもっとも合理的に、台風と地震への対策ができます。
その効果は、通常工法なら基準風速34m、強風施工なら38m地域での耐風性と、阪神淡路大震災級の地震への耐震性をもつことができます。
ちなみに基準風速38mというのは、2019年に台風15号で甚大な被害が出てしまった南房総地域の基準風速です。
そこまでカバーできれば、四国の一部や九州の一部や沖縄や離島を除いた、日本のほとんどの地域で耐風性が約束されます。
■ 基準風速の分布図
■ ウッドロックの耐震実験、耐風実験の動画
■ 都道府県別、地域の基準風速 (関東)
ケイミュー屋根材 グランネクスト/カラーベスト設計施工マニュアルより抜粋
ウッドロックの金額は、30〜40万円
雨漏りの部分修理の工事金額は、30坪100㎡で、30〜40万円くらいです。
葺き替えや葺き直しで、200万円前後ということを考えれば、とても合理的な対策だと思います。
ウッドロックに補助金?!
ウッドロックのような工事にも、補助金が出るといいですよね。
なので品川区の「 住宅改善工事助成事業 」の、耐震性を高めるための工事に該当するか、区役所に確認中です。
結果が出次第、ご報告しますね。
適応条件などの詳細は、品川区のホームページで確認できます。
2020年度の事業は終了していますが、2021年も継続することを区役所で確認しています。
内容はほぼ同じとのことなので、参考になるはずです。
■ 住宅改善工事助成事業(エコ&バリアフリー住宅改修)【令和2年度分は申込終了しました】|品川区
■ パンフレット
予防メンテをすれば、地震や台風による屋根被害は激減することを伝えたい
予防メンテをすれば、地震や台風による屋根被害は激減することを伝えたい。
今日は、そんな気分の1日でした。
- 創業75年、屋根専門石川商店の三代目。石川弘樹(いしかわひろき)です。
- 【継続は力なり】
- 禁煙2009年〜、ダイエット2010年〜、禁酒2017年1月〜、筋トレ2018年6月〜、禁チョコ爆食い2018年12月〜
- 【資格】
- 1級かわらぶき技能士、瓦屋根工事技士、全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士、全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師、耐震プランナー、増改築相談員、古民家鑑定士、ホームインスペクター(住宅診断士)、ジュニアリフォームソムリエ、リフォームスタイリスト1級、リフォーム提案士、ライフスタイルプランナー
- 【趣味】
- ワンピース(マンガ)
- 【目標】
- 瓦割り世界大会初代チャンピオン
- 【ブーム】
- 筋トレ
- 【困り事】
- 正月太りが直らない
屋根で損する人をゼロにしたい、屋根屋の三代目です。
石川商店からのお願い
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