高品質な瓦と優れた施工方法、この二つが揃ってはじめて安心・快適な瓦屋根が出来上がります。大規模な震災に備え、地震に強い屋根を目指して制定された「ガイドライン工法(平成13年8月作成)」は、従来の施工方法よりも耐震性・耐風性が飛躍的にアップしております。
今回はこの「ガイドライン工法」に沿った瓦屋根の耐震化改修工事の様子をご紹介したいと思います。
瓦屋根標準設計・施工ガイドライン
この「ガイドライン工法」は、粘土瓦などの設計及び施工を行う人を対象に、地震や台風に強い瓦屋根を確立するため、科学技術的データに基づいた瓦屋根の設計・施工を推奨するものです。
この「ガイドライン工法」を実践できるのは、一般社団法人「全日本瓦工事業連盟」に所属する工事店さんと有資格者のみ、つまり大変申し上げにくいのですが、そのへんのリフォーム会社さんではこの「ガイドライン工法」に沿った施工は出来ないのです。
今回の熊本地震でも瓦屋根の被害が多く発生しておりますが、これはこの「ガイドライン工法」が制定される以前の施工方法で工事された建物が多いのです。
築年数が15年以上経過している瓦屋根においては、今後発生すると思われる震災に備え、適切な改修工事を実施することで被害を最小限に止めることが可能だと思われます。
震災等で被害に遭った瓦屋根
ここまでお見せした写真は、全て震災により発生したものです。
このような瓦屋根の被害を出さないためにも「ガイドライン工法」に沿った施工方法をご紹介します。
ガイドライン工法に沿った瓦屋根の耐震化工事
☑日本瓦編
まず既存の棟瓦を撤去します。
続いて「耐震棟金具」を設置します。本棟、隅棟でこの耐震棟金具の設置間隔は異なります。
設置した耐震棟金具へ鉄筋を設置します。
棟際に収められている瓦はステンレスビスによって固定します。
南蛮入り漆喰(シルガード)を施工します。地域によってセメントを混合させたり、特殊な工事を必要とするケースもございます。
のし瓦は銅線を使って鉄筋に固定します。
2段目以降ののし瓦も銅線を使って鉄筋に固定します。
最後に被せる棟瓦は、予め鉄筋に固定してある銅線を使って固定します。もちろん南蛮入り漆喰も併用します。
日本瓦の耐震棟取り直し工事の完了です。
☑洋瓦編
洋瓦には「平板瓦」と呼ばれるものと「S型」と呼ばれるものがございますが、今回は「S型」の改修工事の様子をご覧に入れます。
S型瓦でも平板瓦でも以前の棟瓦の施工方法は「釘固定」によるものでした。
棟瓦を外してみると、中の材木には腐食が発生しております。また、漆喰で塗られた内側の土は経年によって所々隙間が発生しております。
S型瓦に限らず、日本瓦でも平板瓦でも「漆喰の剥がれ」は経年に伴って見られる現象です。リフォーム会社さんの中には、ただ表面の漆喰を塗り直すだけの業者さんもいらっしゃいますが、表面だけ綺麗にしても根本の原因を解決してあげないとなんの意味もなさないんです。
工事の流れは基本的に日本瓦と同じです。まずは既存の棟瓦を撤去します。
続いて「棟金具」を設置します。使う瓦によって棟金具の高さは変わります。
棟際の瓦は固定し直します。
設置した棟金具へ防腐処理された垂木を取り付けます。
垂木の固定が終わると、南蛮入り漆喰を施工していきます。
そして棟瓦を被せていきます。
棟瓦の固定にはステンレスビスを使用します。
地震に強い、棟瓦耐震化工事の完了です。
リフォーム業者さんは、漆喰の塗り直しや棟の取り直しと言いつつ旧式の施工方法を行なっているケースが多いです。
地震に備えた瓦屋根の耐震化工事をお考えの方は、全日本瓦工事業連盟に加盟している屋根工事店さんにご依頼なさることをお勧め致します。
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屋根専門75年 石川商店
林 洋道(はやし ひろみち)です
【趣味】旅行、F1チームのウェア集め、西部警察、ネコ
【特技】洗車、タイヤ交換、他クルマのメンテナンス
【最近】マクラーレン・ホンダ2015年支給品Tシャツをゲット!
【出身地】鳥取県米子市
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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