ー教えて屋根屋さん! 第118回ー
屋根にもメンテナンスが必要であることは「屋根のリフォーム費用の相場とは?」でもお伝えしました。
しかし、もしメンテナンスフリーの屋根材があったら、ぜひ使ってみたいですよね。
今のところ、メンテナンスフリーの屋根材として実証されているのは、瓦しかありません。
瓦には1400年以上の実績をもつものがあります。
ここまで長持ちすれば、ほぼメンテナンスフリーといっても過言ではないでしょう。
ただここで注意すべきことは、瓦自体はメンテナンスフリーですが、瓦屋根そのものにはメンテナンスが必要ということです。
瓦屋根をつくるには、漆喰やモルタルなどの副資材が欠かせません。
瓦自体はメンテナンスフリーでも、それらの補修はしないければならないのです。
といっても、瓦自体がメンテナンスフリーのため、瓦屋根の維持費用は、塗装などを必要としない分、ほかの屋根材に比べて安価です。
30年以上その家に住むならば、多少初期費用はかかったとしても、トータルコストで考えると瓦のほうがお得になります。
実証はされていませんが、瓦同様にメンテナンスしなくても長持ちするといわれているのがチタンです。
現在、浅草の浅草寺がチタンの屋根材を利用しています。
ただ、チタンの屋根材には、非常に価格が高いという欠点があります。
瓦の2倍近くの費用がかかり、たとえ維持費用が安かったとしても、何百年も住まないと元が取れません。
そのため、一般の方がメンテナンスフリーの屋根材を選ぶとしたら、選択肢は瓦一択となるでしょう。
しかし、瓦のなかにも産地や、陶器瓦・いぶし瓦などの種類があります。
どれを選ぶのが一番良いのでしょうか。
現在、各瓦メーカーが開発に力を入れているため、実際どの瓦を選んでも大丈夫ではあります。
しかし、あえていうとしたら、石州瓦と呼ばれる山陰地方の土を使った瓦が一番長持ちします。
瓦が傷む唯一の理由が、瓦のなかの水分が固まってしまい、割れてしまうことです。
そのため、JIS規格では陶器瓦の吸水率は12%以下、いぶし瓦は15%以下と定めています。
ところが、なんと石州瓦の吸水率は最大3%! これは、ほぼ永久不変であるタイルと同程度の吸水率。
極寒のロシアにも出荷されるなど、どのエリアでも使えるほぼ無敵の瓦なのです……!
実際、50年以上前、まだだるま窯でつくっていたようなころは、しっかり焼けていない品質の低い瓦も市場に流通していました。
なかには、20年程度で壊れてしまうものも。
しかし、現代でそのような瓦を目にすることはほとんどありません。
このような話をすると、50年以上前に建てられた家に住んでいる方は不安を覚えるかもしれません。
でも大丈夫!
不思議なのですが、そのような瓦でも、なぜか地元の土を使っていれば、その土地に合っているせいかあまり傷まないのです。
瓦の世界でも、地産地消というのは大事なのですね。
「瓦は値段が高い」というイメージがある人も、ほぼメンテナンスフリーで使えると知ったら、何だかお得な気がしませんか?
瓦にはそれ以外にも、日本らしい情緒や趣、風格など見た目の良さや、屋内の暑さや寒さを抑えるなど機能面でのメリットもあります。
いつまでも美しい我が家を保ち続けるためにも、メンテナンスフリーの屋根材・瓦をぜひ使ってみてくださいね。
次回は、「人工スレートとセメント瓦の違いとは」についてお話しいたします。
創業75年、屋根専門石川商店の三代目。
石川弘樹(いしかわひろき)です。
【資格】 1級かわらぶき技能士
瓦屋根工事技士
全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士
全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師
耐震プランナー
増改築相談員
古民家鑑定士
ホームインスペクター(住宅診断士)
ジュニアリフォームソムリエ
リフォームスタイリスト1級
リフォーム提案士
ライフスタイルプランナー
【趣味】 ワンピース(マンガ)
【目標】 2級建築士
瓦割り世界大会初代チャンピオン
【ブーム】 ブラッククローバー
【困り事】 正月食べ過ぎて5kg増量
DIYで作った個人ブログはじめました。
37歳おっさんが残りの半生での日々のチャレンジを綴っています。
http://hiroki-ishikawa.info
屋根で損する人をゼロにしたい、屋根屋の三代目です。
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