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カラーベストコロニアルに代表されるスレート系屋根材。
ここ数年は築15年前後経過し製品不良が原因である屋根材(ニチハ・パミール、松下電工・レサス、クボタ・コロニアルなど)におけるリフォーム工事のひとつとして、多くのリフォーム業者さんが推奨しているガルバリウム鋼板を使ったカバー工法を提案されます。
しかし私たちはあえてカバー工法ではなく「葺き替え工事」をお勧めしております。
今回は、最近よくあるカバー工法の勘違いについて解説。1日で完了した葺き替え工事も合わせてご紹介致します。
本記事の目次
カバー工法のメリットは「安価さ」と「時短」?
そもそも「カバー工法」によるメリットは「費用を抑えられる」「工期が短縮できる」というこの2つが大きな要素を占めております。
リフォーム業者さんがカバー工法をお勧めする時も「撤去費がかかる」「廃材処理費が発生する」「工期が短縮できる」という営業トークを使われることがほとんど。
たしかにアスベスト(石綿)が含まれているカラーベストコロニアルの廃材処理費は高額になりがち。その為、今の屋根の上に被せて撤去費を抑えることができる点、カバー工法は効果的です。
その為、「築30年以上、塗装歴があるアスベスト入りスレート屋根で、この先家をどうするか未定」という場合に最適な工事なのです。
(【屋根工事】ガルバリウム鋼板でカバー工法を提案されたときの注意点」をご覧ください)
ではアスベスト(石綿)が含まれないカラーベストコロニアルだったらどうでしょうか?
リフォーム業者さんの多くは先に挙げたニチハのパミール、松下電工のレサス、クボタのコロニアルNEOなど、アスベスト含まない屋根材でも、ガルバリウム鋼板を使った「カバー工法」を積極的に勧めております。(特に塗装をメインとした業者さん)
しかし、そのほとんどが築20年未満のお宅。カバー工法で工事をしてしまうと、そこから20年後の工事は確実に葺き替えになるだけでなく、屋根が二重になっている為その時の撤去費用が倍以上となります。
さらに、これから説明させていただきますがカバー工法と葺き替えの費用も工期もあまり変わりません。ではなぜリフォーム業者さんはカバー工法を積極的に勧めるのか?と言いますと、
「利益が取れる」屋根リフォーム工事が「カバー工法」だからです。
(※リフォーム業者から提出された実際の見積明細、定価50%OFFの屋根材なんて信用できますか?)
ここからは、その理由と実態を説明してまいります。
「カバー工法」と「葺き替え工事」の差額は?
差額検証のため、私たちで過去に施工させていただいたお客様からの情報を元に他業者さんのお見積書を検証してみました。
細かい金額を提示することは出来ないのですが、なんとリフォーム業者さんのガルバリウム鋼板を使った「カバー工法」の見積金額よりも、弊社からお出しするコロニアルグラッサを使った「葺き替え工事」のお見積のほうが安くなっていることが判明しております。
これはアスベスト(石綿)を含んだ屋根材の葺き替え工事の場合でも同じです。
(※他リフォーム業者さんから出されたお見積書)
こんなことを書くとリフォーム業者さんから「見積金額がわかってるんだから、安く出せば工事が受注できるに決まってるだろ」なんて思われるかもしれません。
しかし弊社では「他社よりも安く出せば...」という考えで、お客様に安いお見積書を作成し提出したことは一切ございません。
これは弊社で作成するお見積り内容について、屋根面積、屋根勾配、各部位(軒先・ケラバ・棟・谷など)ごとに数量を計上し、そこにかかる工事費用(手間)まで細かく計算した結果をすべて明確にさせていただいた結果です。
場合によっては弊社のお見積書が高くなっているケースもございます。が、これは弊社の施工スタッフの技術力の高さが他社の追随をゆるさない、絶対に負けない自信をもっている証なのです。
高い技術力にはそれなりの対価が伴うものです。弊社の施工スタッフは他社のどんな方々よりも高い技術力を持ち合わせておりますので「安くやってほしい」といったご要望はお受けできないかもしれません。
それでも弊社をご指名いただき「屋根葺き替え工事」を選択された背景には、いかにカバー工法によるメリットがないかをご理解いただき、更には弊社の技術力の高さ、またスタッフを信頼してくださった結果だと自負しております。
では、なぜ撤去費がかからず安いはずのカバー工法が葺き替えと変わらないのか?と申しますと、単に「カバー工法用のガルバリウム鋼板屋根材と周辺部材、施工費が非常に高価」なのです。
一般財団法人経済調査会の「積算資料ポケット版リフォーム編」によりますと、ガルバリウム鋼板¥7,000/1㎡に対しスレートは¥5,500/1㎡。
下葺材は通常のものに対し、粘着タイプは約1.3倍の価格な上、必要本数は倍。
そこに施工費が…とかかってくれば、金額に差がなくなってくるのもうなずけます。
この時、「下葺材が高いなら、粘着タイプではない下葺の安いもの(940適合品)を使えばいい」という業者さんもいらっしゃいますが、それはメーカー非推奨の施工方法になります。正しい材料を使ってこそ安心できる工事ではないでしょうか。
「カバー工法」「葺き替え工事」の工期はどれくらい違う?
続いて「カバー工法」と「葺き替え工事」の工期について検証します。
一般的に「工期が短縮できる」と言われているカバー工法ですが、意外にも時間が掛かるんです。
屋根材を剥がす手間はかからないのですが「棟板金」「雪止め金具」といった部材は撤去しなけらばならないからです。
特に「雪止め金具」を撤去するときは1本ずつ切断して外すために時間がかかります。
またルーフィングの施工も時間がかかります。「カバー工法」に用いられるルーフィング材は「粘着タイプのルーフィング(田島ルーフィング・タディスセルフなど)」でなければならないのですが、一般的なアスファルトルーフィングに両面テープを併用して施工している業者さんもいらっしゃいます。
粘着タイプの場合、両面テープをイメージしていただきますとわかりやすいのですが、粘着面にシートが貼ってあるのでそれを剥がしつつの工事となります。
さらに、シートを剥がして敷いたはいいもののずれてしまった…という時の作業は大変なもの。普段以上に慎重に施工しなければならないので、やはり手間がかかります。
そんなこんなで意外と時間のかかる「カバー工法」なのですが、ではこれが「葺き替え工事」であればどれくらいの工期になるのでしょうか?
1日で完了。30坪の屋根葺き替え工事の全貌。
今年の3月に弊社で施工した葺き替え工事をご紹介したいと思います。
屋根面積はおよそ30坪(99㎡)、6寸勾配の2階建て切妻屋根です。
1階の屋根は4寸勾配の寄棟屋根でした。
まずは既存の屋根材の撤去から...手慣れた弊社の職人さんにかかれば...
ここまでおよそ2時間程度...それぞれの役割分担が明確になっておりますので、無駄な動きはなくアッという間に屋根材の撤去が完了です。
屋根材の撤去が終わったら、清掃をして新しいルーフィングを施工します。
弊社で葺き替え工事に使用するルーフィング材は、田島ルーフィングの「ニューライナールーフィング」です。30年の耐用年数を誇るこのルーフィング材は、改質アスファルトの先駆けとなった防水性・耐久性に非常に優れたルーフィング材なのです。
1Fの屋根もルーフィング施工が完了しました。
あとは新しい屋根材を施工していくだけです。
新しい屋根材はケイミューの「コロニアルグラッサ」です。
こちらの屋根材は登場してから10年以上経過しておりますが、経年劣化による色褪せが少ないことが実証されており、施工後30年まではこれまでのカラーベストコロニアルのように再塗装工事は必要ない屋根材です。
すべての工事が完了しました。
屋根材撤去から荷下し、ルーフィング施工、新しい屋根材の荷揚げ、新規屋根施工、そして完了まで僅か1日で施工することが出来るのです。
実際の工事は足場の設置及び解体で計2日はございますが、屋根工事だけでみると様々な条件がクリアされれば、葺き替え工事は1日あれば完了させることができるのです。
「費用・工期」押しのカバー工法を勧めるリフォーム会社は信用できない?
私たちは「カバー工法」をすべて否定しているのではありません。
とあるリフォーム会社さんのホームページに「予算のあるお客様には葺き替え工事をお勧めします」と記載されています。
一般的に費用も工期も短縮できるといわれている「カバー工法」ですが、弊社で比較した場合「葺き替え工事」のほうが費用も工期も短縮できる結果が出ているのです。
特に築15年前後のアスベストを含まない屋根材への改修工事として「カバー工法」を勧めてくるリフォーム会社さんには、くれぐれも注意してください。
「カバー工法」のほうが費用的に高くなっているかもしれません。
「カバー工法」によって工期が長くなっているかもしれません。
もしも「カバー工法」を勧められたのであれば...
別の業者さんで「葺き替え工事」の見積を依頼してみてはいかがでしょうか?
弊社では遠方のお客様にも安心した屋根リフォーム工事をご提案させていただくために、屋根工事のプロ集団「全日本瓦工事業連盟」を通じて、安心して任せられる全国の屋根工事店さんをご紹介しております。
ご不明な点等ございましたら、ご遠慮なくお気軽にご相談ください。
屋根専門75年 石川商店
林 洋道(はやし ひろみち)です
【趣味】鉄道写真、旅行、西部警察、ネコ
【特技】洗車、タイヤ交換、他クルマのメンテナンス
【最近】鉄道の写真撮影に目覚めたかも...
【出身地】鳥取県米子市
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
[特技]スーツで点検
石川商店からのお願い
記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。
お客様の率直な感想をいただくため「役にたった」「役に立たなかった」ボタンを設置しました。
また、もしもっと知りたいこと、分かりづらかったことなどあれば下のコメント欄にご意見いただければと思います。
日々屋根にお困りのお客様にとって必要な情報をお伝えするために、ご参考にさせて頂きます。
築24th、2階建て、15年目に屋根の塗装工事をしました。が、7年で塗装がはげてきたので、昨年2月に無料で再塗装してもらいました。が、今年9月9日の台風で雨漏りしました。屋根裏を見たら、古い雨シミがありどうやら、以前から雨漏りしていたようです。屋根に上がって見たところ、縁きりが、されていないように見えます。10月12日の台風でも雨漏りし、まいっています。この際カバー工法にするか、葺き替えが良いか、迷っています。
ひでさま
縁切りがされていないと屋根全面で雨漏りする可能性がありますので、早めに対応したいところですね。
対応としては、葺き替え、が良いと思います。
その木下地が雨漏りで強度が弱くなっていると、新しくカバー工法をしたとしても、最悪の場合、強風で屋根材が飛んでしまう可能性も高くなるからです。
カバー工法では、現在の屋根材が止まっている木下地にカバーする屋根材を固定する釘なりビスなりを打つことになります。
また雨漏りしていなかったとしてもスレート屋根材の家の屋根の木下地は30年経過していれば、強度不足になっていることが多いです。
築24年とそれなりに経過していることも考えると、葺き替えで木下地の補強をしつつ、葺き替えるというのが良いと、ぼくは思います。
石川弘樹