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本記事の目次
アスファルトシングルの台風対策。予防のための補修や工事方法と費用
「台風被害にあう前に予防できたらいいけど、自腹で費用をかけてまで予防する必要って本当にあるの?」
という声が聞こえてきそうなので、まずはアスファルトシングル屋根の台風被害の事例をご紹介します。
ちなみに、記事内では「 アスファルトシングル 」 と言っていますが、タイトルの「 シングル 」 のフルネームで、同じものです。
シングルと言ったり、アスファルトシングルと言ったりして、ごめんなさい。
台風によるシングル屋根の被害事例と原因
一般的な屋根では、屋根の中央部分がうける風の力を「 1 」 とすると、
軒先「 2 」 (のきさき):屋根の先っぽ
けらば「 2.5 」:屋根の横はじ
棟「 5 」(むね):屋根のてっぺん
と言われています。
弊社への台風後の修理依頼で、アスファルトシングルの屋根が非常に少なく、実際の事例は2019年の台風15号での軽い被害だけでした。
その理由は、
・被害にあいやすい築30年くらいの家で、アスファルトシングルの屋根が少ない
・アスファルトシングルは防水性が高く、屋根の下地も長持ちするので、大きな被害は少なかった
ということが考えられます。
ただし、アスファルトシングルの屋根でも、雨漏りはおこります。
屋根の下地の木材が傷んでいることで、屋根材がめくれてしまったり、下地ごとめくれる可能性もあるということを、ここでは認識していただきたいので、スレート屋根での事例を3つ目の事例では、ご紹介しています。
事例① 屋根材が部分的に飛ぶ
屋根材が部分的に飛んでしまう被害です。
■ 屋根材が飛んだ事例
■ 屋根材がめくれた事例
原因は2種類あって、
■① アスファルトシングルを固定する釘の本数不足
■② セメント(糊 のり)の接着不良、未施工
の2種類です。
事例②ー1 棟(屋根のてっぺん部分)が飛ぶ
屋根の棟(むね = てっぺん部分)が、部分的に飛んでしまう被害です。
■ 屋根の棟が飛んだ事例
事例②ー2 棟(屋根のてっぺん部分)の金属のフタが飛ぶ
同じく、屋根の棟(むね = てっぺん部分)が、部分的に飛んでしまう被害ですが、日本では、スレート屋根と同じ金属のフタをしている場合が少なくありません。
事例は、スレート屋根の台風被害ですが、症状は同じです。
【棟が部分的に飛んだ事例】
■ 棟板金(棟の金属のフタ)だけ飛散
原因は、棟板金(棟の金属のフタ)の下地の木材の劣化で、棟板金をとめている釘まわりの木材がくさってフニャフニャになったことで、棟板金が飛んでしまったり、下地の木材ごと飛んでしまったりする場合があります。
■ 棟下地ごと飛散
事例③ 屋根の下地ごと飛ぶ
アスファルトシングルの屋根でも、屋根の下地の木材が傷んでいることで、屋根材がめくれてしまったり、下地ごとめくれる可能性もあるということを、ここでは認識していただきたいので、スレート屋根での事例をご紹介します。
これは「 屋根材がはがれる 」 というよりは、「 下地ごと屋根がごっそり飛んでしまう 」 被害です。
【屋根の下地ごと飛んだ事例】
原因は結露や雨漏りで、屋根の下地を止めている釘がサビたり、釘まわりの木材がくさってフニャフニャになったことで、傷んだちかくの屋根が下地ごとはがされてしまうのです。
- シングル屋根の台風被害の事例3つ
- 事例① 屋根材が部分的にめくれて飛ぶ
- 事例② 屋根のてっぺん部分がめくれて飛ぶ
- 事例③ 屋根が下地ごとめくれて飛ぶ
ということが、実際におこっています。
シングル屋根の予防対策工事の時期は5年、15年、30年
シングル屋根を予防的にメンテナンスする時期の目安は5年、15年、30年と覚えましょう。
そのタイミングで、台風被害の原因がおこるからです。
屋根の劣化は、
セメントの接着不良
↓
屋根のてっぺんのフタ部分の劣化(金属のフタの場合)
↓
屋根の防水シートが劣化
のような流れとなっています。
劣化症状がおこる前に、予防メンテナンスをしましょうということになります。
5年、15年、30年の予防対策工事の方法と費用
予防メンテナンスの時期としては、
■ 5年おきに、はがれの確認、補修【1〜3万円】
■ 築15年で、棟交換【10〜30万円】(金属のフタの場合)
■ 築30年で、カバー工法、もしくは葺き替え(+ 木下地の強化)【130〜180万円】
がおすすめです。
それぞれの予防対策工事の方法と費用を、確認しましょう。
※ 費用は、屋根面積が30坪、100㎡の家を想定しています。目安としてお使いくださいませ。
5年おき: はがれの確認、補修【1〜3万円】
釘の本数不足も、セメントの不良も、本体の屋根材なのか、棟なのか、に関わらず、どれも予防対策の工事は同じ方法になります。
アスファルトシングルは、本体の屋根材も棟も、同じものを使っている「 同質役物 どうしつやくもの 」 を使うことが多いからです。
■ 棟(同質役物 どうしつやくもの)
その工事方法は、
①セメントの不良で、アスファルトシングルがめくれないか、確認する
②めくれたら、釘の本数も確認して、足りなければ追加する
③セメントをしっかりと塗って、くっつける
工事方法は、シングルなのでアメリカの屋根屋さんに、解説してもらいましょう。
※ 動画は、雨漏りの補修なので、イメージにはなりますが、ほぼ同じ作業です。
費用は、1〜3万円です。
釘の本数の確認は、屋根上からすべておこなうのは、おすすめしません。
すべての釘を確認するためには、すべてのセメントをはがす必要があり、強度や防水性に問題が出てしまうからです。
工事途中の写真で確認するか、屋根裏から見える範囲で確認するか、アスファルトシングルがめくれた部分をついでに確認するか、が良いでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
おすすめ時期 | 5年おき |
工事名 | はがれの確認、補修 |
内容 | はがれによる飛散防止 屋根材の落下防止 セメントで接着 |
費用 (※ 30坪100㎡) | 1〜3万円 |
何年保つか | 接着効果は10〜20年 |
築15年: 棟交換【10〜30万円】(金属のフタの場合)
スレート屋根と同じように、屋根のてっぺんが金属のフタになっている場合が、日本では多くあります。その場合は、スレート屋根と同じように、棟交換(むねこうかん)を行いましょう。
棟交換では、必ず木材を交換しましょう。
【新しい木材】
【新しい棟板金】
棟交換の費用は、10〜30万円です。
項目 | 内容 |
---|---|
おすすめ時期 | 築15〜20年 |
工事名 | 棟交換 |
内容 | 台風、強風での飛散防止 屋根のてっぺんのフタの交換 |
費用 (※ 30坪100㎡) | 10〜30万円 |
何年保つか | 20〜30年 |
※ スレート屋根と同じです。
築30年① 葺き替え工事で屋根の下地の補強【180万円】
防水性の高い、アスファルトシングルの屋根も、常に完璧ということはありません。当然、雨漏りしていることもあるでしょう。
その場合は、屋根の下地が弱くなってしまいますので、台風の強風対策として、葺き替え工事で、古い屋根材をはがしたら、新しい屋根の下地の木材を、古い屋根の下地の上からもう1枚貼りましょう。
【新しい木下地】
このとき古い防水シートも結露を防止するために、できるだけはがします。
【古い防水シートはなるべくはがす】
屋根の下地の補強工事は、20〜40万円です。ただ補強工事だけ行えないので、葺き替え工事と合わせると費用は180万円です。
項目 | 内容 |
---|---|
おすすめ時期 | 築30〜40年 |
工事名 | 葺き替え |
内容 | 古い屋根材を剥がす 新しい屋根材にかえる 屋根下地を強化できる |
費用 (※ 30坪100㎡) | 180万円 (※ 屋根材= シングル) |
何年保つか | 30〜40年 |
築30年② カバー工法【130万円】
なお、雨漏りがなく、屋根の下地の木材の強度も問題なければ、古いアスファルトシングルの上に、新しいアスファルトシングルでカバー工法できます。
【工事事例写真】
■棟、雪止めの撤去(※ 作業のイメージ写真です)
■ルーフィング(防水シート)の接着材を塗る
■防水シートを貼る
■新しいシングルの施工
■棟(同質役物 どうしつやくもの)
■棟(金属のフタ)
カバー工法の費用は、130万円となり、葺き替えよりも安く工事でき、防水性も復活します。
項目 | 内容 |
---|---|
おすすめ時期 | 築30〜40年 |
工事名 | カバー工法 |
内容 | 古い屋根材を剥がさない 防水シートを古い屋根材の上に貼る 新しい屋根材を上から貼る |
費用 (※ 30坪100㎡) | 130万円 (※ 屋根材= シングル) |
何年保つか | 30〜40年 |
まとめ: 台風被害は予防対策工事で最小限に
今回の話をまとめると、
- シングル屋根の台風被害の予防対策工事の方法と費用
- はがれの確認、補修 【5年おき】 1〜3万円
- 棟交換(むねこうかん) 【築15年】 10〜30万円
- カバー工法 or 葺き替え(ふきかえ) 【築30年】 130〜180万円
ということになります。
屋根材別、屋根被害予防対策工事の方法まとめ
各屋根材ごとに、台風や地震などの天災や、訪問販売による押し売りや詐欺などの人災、という屋根被害の予防に必要な最低限の修理やメンテナンス方法をまとめました。
屋根材 | メンテナンス方法 |
---|---|
スレート系 コロニアル カラーベスト | 5年毎: ひび割れ補修 15年: 棟の釘増し打ち or 棟交換 30年:カバー工法 or 葺き替え+ 木下地補強 |
金属系 トタン ガルバリウム 瓦棒葺き | 5年毎: 特になし 15年: 棟の釘増し打ち or 棟交換(不要な仕様もある) 30年: 葺き替え+ 木下地補強 |
瓦系 日本瓦 洋瓦 コンクリ瓦 | 5年毎: 特になし 15年: 棟の取り直し 30年: 葺き直し or 葺き替え |
シングル系 シングル アスファルトシングル | 5年毎: はがれ補修 15年: 棟の釘増し打ち or 棟交換(不要な仕様もある) 30年: カバー工法 or 葺き替え |
※ リフォームを想定しているので、最新の工事方法で工事した新築一軒家の場合、予防メンテナンスの時期は変わってきます。
他の屋根材のくわしい予防対策工事の方法と費用は、下記の屋根材の種類名をタップすると確認できます。
※ 順次、記事追加予定
■ シングル系: シングル、アスファルトシングル ※ この記事
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- 【資格】
- 1級かわらぶき技能士、瓦屋根工事技士、全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士、全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師、耐震プランナー、増改築相談員、古民家鑑定士、ホームインスペクター(住宅診断士)、ジュニアリフォームソムリエ、リフォームスタイリスト1級、リフォーム提案士、ライフスタイルプランナー
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