本記事の目次
【品川区大井】コンクリ瓦から和型の釉薬瓦へ。屋根葺き替え工事の事例
屋根で損する人をゼロにしたい、みんなの屋根の相談所、石川弘樹です。
今回は品川区大井で、コンクリ瓦から和型の釉薬瓦へ、屋根の葺き替え工事をおこなった事例を紹介します。
元々はテレビアンテナが倒れたので、屋根を見て欲しいとのことでした。
ただ屋根に上がってみると、コンクリ瓦が風化して、屋根の下地が腐っている状態でした。
なのでいったん応急処置をしつつ、最終的には屋根の葺き替え工事を行いました。
瓦屋根の葺き替え工事は、1~2週間で完了
今回の屋根の葺き替え工事は、1人で実質1週間ほどで工事を完了しました。
工事の流れは、こんな感じです。
- 瓦屋根への葺き替え工事の流れ
- 手順① 古い屋根材の撤去 【120〜180分】
- 手順② 防水下地、瓦固定木材の設置 【180〜300分】 ※ここまで他人数で1日
- 手順③ 瓦の荷揚げ〜通常部の瓦設置 【3日〜7日】
- 手順④ 棟部など、仕上げの瓦工事 【3日〜7日】
- 手順⑤ 工事完了 【合計1~2週間】
順番に工事の様子を、写真つきで解説します。
手順⓪ 工事前状況
こちらが、工事前の状態です。
(点検時にドローンで、屋根に上がる前に撮影しています。)
■全景
当初のご依頼は、アンテナが倒れてしまったということでした。
ただ下の1/3くらいの、色が変わっている部分に、なにか違和感を感じますね。
もう少し近づいて見ると、
部分的に、コンクリ瓦が風化しているのが確認できます。
つづいて屋根に上がっての、状態確認です。
■ テレビアンテナの倒れ
■ コンクリ瓦の風化
ここまで風化していたので、コンクリ瓦の下の防水シートも破れた部分から雨漏りし、屋根下地の木材も、腐朽した状態でした。
■ 屋根下地の腐朽
なので風化している部分の瓦をめくって、防水処置までを先行して行いました。
■ 応急処置
以上の作業を行った後日、早い段階で全体の葺き替え工事を実施しました。
手順① 古い屋根材の撤去 【120〜180分】
まずは古い屋根材を、はがしていきます。
■古い屋根材の撤去
瓦を剥がし終わったら、固定用の木材や古い防水シートも撤去します。
■撤去完了
※ 下の部分は、先行して応急処置をした部分です。
手順② 防水下地、瓦固定木材の設置 【180〜300分】 ※ここまで他人数で1日
つづいて、新しい防水シート (ルーフィング) を貼っていきます。
その前に、雨漏りで傷んだ屋根下地を交換します。
■ 屋根下地交換
傷んだ部分を交換したら、防水シートを貼っていきます。
■防水シート貼り
防水シートを貼りおわったら、瓦をひっかけて固定するための下地木材「 瓦桟 (かわらざん) 」を、設置します。
■瓦桟の設置
この瓦桟を、ベタッと防水シートの上に固定してしまうと、雨水の逃げ場がなくなり、雨漏りの原因になってしまうので、木づり (きづり) という、木材と防水シートの間に、スキマをつくるための部材もあわせて、設置します。
■木づりを、瓦桟の下にはさむ
木づり (写真の白い細いモノ) は、文字どおり、薄い木材を使用したり、ポリエチレン製のテープ上のモノを使用したり、瓦桟自体に水抜き穴が開いてるモノを使用したりします。
石川商店では、通常は、ポリエチレン製のテープを使用します。
手順③ 瓦の荷揚げ〜通常部の瓦設置 【3日〜7日】
つづいて、瓦を屋根の上にあげる「 荷揚げ (にあげ) 」をします。
■荷揚げ
瓦を固定する瓦桟に、ひっかけるようにして仮置きしてあるので、途中でズレ落ちたりすることも、まずありません。
材料をすべて屋根の上にあげおわったら、通常部の瓦を設置していきます。
■ 通常部の瓦の設置
手順④ 棟部など、仕上げの瓦工事 【3日〜7日】
通常部の瓦の設置がおわったら、「 棟 (むね) 」などの、仕上げの瓦を設置していきます。
■棟部など、仕上げの瓦設置
手順⑤ 工事完了 【合計1~2週間】
以上で、工事完了です。
■工事完了
新しい屋根材によって、工事期間は前後します。
和風の瓦で2週間くらい、その他の洋瓦や平板瓦であれば1週間くらいになります。
石川商店の瓦屋根は、耐震・耐風工法で安心安全、もちろん快適 【手順③④詳細】
石川商店の瓦屋根の標準仕様を、解説しながら、手順③④の、新しい屋根材の設置を、くわしく解説していきます。
- 石川商店の屋根は、耐震・耐風工法で安心安全、もちろん快適
- 防水シートは、高品質高耐久で、防水性向上
- 瓦の固定木材は、通常の1.8倍の太さを使用
- 使用する瓦は「 防災瓦 」
- すべての瓦を緊結する耐震・耐風工法で、安心安全
- 雪止め金具の全階全面設置で、安心安全
- 屋根裏換気の設置で、結露対策
防水シートは、高品質高耐久で、防水性向上
すべての屋根の防水の耐久性は、おおかた防水シートの保ちによります。
なので石川商店では、田島ルーフィング株式会社の「 ニューライナールーフィング 」を使用します。
これは、超大手の注文住宅が使用している防水シートで、それを標準仕様にしています。
■防水シートは、高品質高耐久
瓦の固定木材は、通常の1.8倍の太さを使用
瓦の固定用の木材、「 瓦桟 (かわらざん) 」は、15mm X 30mm を使うように、施工マニュアルに指示があります。
そこを石川商店では、防腐処理された木材で且つ、18mm X 45mm を、標準仕様としています。
昔の瓦屋根の細い瓦桟の腐食が原因で、瓦がずり下がっていることが、多々あるからです。
■瓦の固定木材は、標準の1.8倍の太さで防腐処理されたモノ
使用する瓦は「 防災瓦 」
防災瓦とは、瓦自体に防災機能を持たせた瓦のことです。
普通の瓦は、瓦が重なってはいるけど、屋根の先端側は浮きやすい構造です。
なので防災瓦は、斜めの瓦や横の瓦同士を噛み合わせて、先端側が浮き上がらないようになっています。
■ 防災瓦の耐震・耐風構造
これにより、地震や台風によるズレや飛散に対して強化してあります。
すべての瓦を緊結する耐震・耐風工法で、安心安全
瓦の台風・地震対策で、しっかりと固定する工事方法は、国交省と瓦の業界団体で決められた方法があります。
これを「 ガイドライン工法 」と、いいます。
ガイドライン工法とは、耐震・耐風への強度基準を上回る、指針 (ガイドライン) となる工事方法のことです。
具体的な工事方法はいろいろあり、どの工事方法を選択するかは各工事店での判断になります。
ガイドライン工法の触りだけをちょっと解説すると、
・台風や地震で、瓦が落ちない飛ばないように固定してね
・被害にあいやすい部位を、よりしっかりと固定してね
というモノです。
一般的な屋根では、屋根の中央部分がうける風の力を「 1 」 とすると、
軒先「 2 」 (のきさき):屋根の先っぽ
けらば「 2.5 」:屋根の横はじ
棟「 5 」(むね):屋根のてっぺん
と言われています。
実際に、2018年の台風24号、2019年の台風15号、19号での、和瓦、洋瓦の屋根の台風後の石川商店への修理依頼でも、この数字が高い部分に、あきらかに被害がでています。
これら直近の台風での被災事例を反映し、ガイドライン工法をさらに強化して、しっかりと対策をしていきます。
軒先は、あおり止めフック+ ビス2本の3ヶ所固定
屋根の傾斜の先端部分を「 軒先( のきさき ) 」と言います。
防災瓦でも、1段目の瓦の先端側は押さえが効かないので、あおり止めのフックになる釘を追加する必要があります。
さらに瓦の固定釘は、通常部は1本の釘打ちを2本にします。
■軒先の瓦の固定
平部の瓦は、全数釘1本打ち
屋根の中央部分を「 平部( ひらぶ ) 」と言います。
平部の瓦は、風や地震の影響が他より弱いですが、これもきっちりと釘やビスを最低1本は打って、しっかりと固定します。
■ 平部の瓦
ケラバの瓦は、3ヶ所固定
屋根の横端を「 ケラバ 」と言います。
ケラバも軒先と同じで、上2ヶ所、先端部1ヶ所を固定します。
固定には、銅線( などの金属線 ) や釘やビスを使用します。
■ ケラバの瓦の固定
棟は、耐震金具+ 固定穴の防水シーリング
屋根のてっぺんのフタ部分を「 棟( むね ) 」と言います。
棟の瓦は、その土台となる周辺の瓦の固定から、しっかりとおこなう必要があります。
■棟周辺の瓦の固定
そして棟部の瓦を固定するための、金具を設置します。
■ 耐震棟金具の設置
そして「 熨斗瓦( のしがわら ) 」という、四角い瓦を積む段数に応じて、数本の鉄筋を棟金具に通します。
■ 棟固定用の鉄筋の設置
そして、熨斗瓦を積む土台として「 なんばん漆喰 」という、土と漆喰が混ぜてつくったより強固な下地の土を盛り、熨斗瓦をならべつつ、鉄筋に1枚1枚結びつけて固定していきます。
■なんばん漆喰、熨斗瓦の設置
熨斗瓦を積み終わったら「 丸瓦( まるがわら ) 」という、半月の形の瓦を最後のフタの役割で設置します。
■ 丸瓦の設置
なんばん漆喰は通常、汚れが目立たない黒色のモノが使われことが多いですが、石川商店では、基本は白色を使います。
メーカーの社長いわく、
「 白に着色料を混ぜて作っているのが黒。なので、白の方が純度が高く、長持ちする 」
ということなので。
雪止め金具の全階全面設置で、安心安全
落雪による、雨どいやカーポートやクルマの損傷や、近隣トラブルや安全を考慮し、屋根の全階の全面に、雪止め金具を設置します。
■雪止めの設置
屋根裏換気の設置で、結露対策
屋根裏の結露防止で、換気するための部材を設置します。
まずは、屋根の下地の木材「 野地板 (のじいた) 」に、屋根裏と外気とをつなげる穴をあけます。
■棟換気 開口部 ※ イメージ
この開口部からの雨漏りを防止するための、金具と瓦固定の下地も兼ねた金具を設置します。
■開口部に専用部材を設置 ※ イメージ
通常、「 青空 (あおぞら) 」という製品を、使用しています。
棟の工事をすすめていき、棟の瓦の下で、棟換気の設置の最終形は、このような状態になっています。
■棟換気の設置完了 ※ イメージ
今回の葺き替え工事は、築年数のかなり古いお家だったため、屋根裏の換気を心配する必要があまり無いので省略しています。
瓦屋根への葺き替え工事の金額は、190〜250万円前後
瓦屋根への葺き替え工事の金額は、1㎡あたり約1.8万円です。
ここに古い瓦屋根の撤去費用が、別途かかります。
屋根工事の総額で、1件あたり、190〜250万円くらいになることが多いです。
【参考】 瓦屋根の台風・地震被害の予防は、対策工事で最小限に
参考までに、瓦屋根の台風・地震被害の予防方法を記載しておきます。
- 和瓦、洋瓦の屋根の台風被害の予防対策
- 築15年で、棟、けらば、谷の取り直し
- 築30年で、葺き直し、葺き替え
- 金額と工事内容は、瓦と屋根のカタチによって変わる
ということになります。
くわしくは、こちらの記事で確認できます。
■和瓦、洋瓦屋根の台風対策。予防のための補修や工事方法と費用 | 石川商店
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- 【継続は力なり】
- 禁煙2009年〜、ダイエット2010年〜、禁酒2017年1月〜、筋トレ2018年6月〜、禁チョコ爆食い2018年12月〜
- 【資格】
- 1級かわらぶき技能士、瓦屋根工事技士、全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士、全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師、耐震プランナー、増改築相談員、古民家鑑定士、ホームインスペクター(住宅診断士)、ジュニアリフォームソムリエ、リフォームスタイリスト1級、リフォーム提案士、ライフスタイルプランナー
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