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本記事の目次
要するに「メッキを塗った錆びにくい鋼の板」
ガルバリウム鋼板は、すごく簡単に言えば「メッキを塗った錆びにくい鋼の板」。
トタンは10年未満でも錆びが見られることもございましたが、ガルバリウム鋼板は物によっては30年以上と長持ち。
今金属屋根材というと主にガルバリウム鋼板を指すくらい全国で広まっています。「ガルバ」「ガルバニウム」「ガルバリュウム」とも呼ばれる素材です。
- 【基本性能】※金額は屋根形状による
新規施工費:約¥8,000/㎡あたり
重 さ:約4kg/㎡あたり(100㎡で車1台の半分)
耐久性:約30年
厚みが0.35mm~0.5mmとハガキ2枚分以下の鋼の板で、構成はだいたいトタンと同じ。
鋼の板にメッキを塗って、表面に見栄えやメッキ保護になる塗膜処理。裏面も特殊な塗膜が施されています。
作りとしてはブリキの親戚みたいな感じです。
鋼の板自体は、厚さや表面は違いますが船や車にも使われていたりします。
元が鋼の板であることは同じですが、ブリキやトタンとの違いはメッキ部分の成分にあります。
ブリキはスズ、トタンは亜鉛のメッキ使われています。
ガルバリウム鋼板はトタンが進化したようなもので、メッキには亜鉛だけでなくアルミやケイ素が入っています。
トタンと比べてメッキが3倍〜7倍長持ち!
とは言っても
正直メッキの違いでどう良くなるのかよくわかりませんよね。
結論から言いますと、ガルバリウム鋼板は錆び始めが遅いんです。事例によっては、40年もったケースもあります。
例えるなら、外にあるブリキのおもちゃを置いておくと錆びてきますが、車は外にあってもそうそう錆びないイメージです。
少し詳しく説明していきましょう。
トタンの場合、加工の断面など傷がつくと、すぐに劣化が始まらないものの早くて数年でメッキの中の亜鉛が消耗してしまって鉄板の錆びが始まります。
ガルバリウム鋼板は傷がついても、まずメッキの中のアルミが断面に流れて保護するので、亜鉛の消耗が遅くて錆びまで時間がかかります。
ざっくり言うとこんな感じ
メッキの劣化が遅いので、基材である鋼板の錆びまで時間がかかります。その結果長持ちに、という仕組みです。
ただし、海の近くや工場が多い場所だったり、凹みや傾斜が少ない部分など水が溜まりやすい部分があると、耐久性が1/10くらいにがっくり落ちて錆びやすくなるので注意が必要です。
(金属メーカー「JFE鋼板株式会社」の資料【ガルバリウム鋼板製屋根の長期耐久性条件について】参照)
※ちなみに、錆びが始まったからといってもすぐに雨漏りに繋がる訳ではありません。錆びが始まっていてもメンテナンスで30年保ったトタンもございます。
今、金属の屋根材といえばガルバリウム鋼板
私もゲームの武器かと思ってしまうくらい聞き覚えがなかったので、最近出てきたばかりの素材かと考えておりました。
ところがガルバリウム鋼板の国内生産は、実は1982年と30年以上前。
「ステンレス」やお寺に使われる「銅板」、浅草寺にも使われた「チタン」といった高価で上等な金属よりも、安く手に入る【鋼の板】。
その上、軽くて今まであったトタンより錆びにくい。次世代型の素材として注目され、今では割と一般的な金属なんです。
加工もしやすいので、最近だと屋根・壁・雨どいだけでなく、物置やポストに使われていたりします。
それに伴ってガルバリウム鋼板を使った金属の屋根材がたくさんあります。今、金属の屋根材といえばほとんどガルバリウム鋼板です。
製造しているメーカーは、JFE鋼板・日鉄住金・ニチハ・ディーズルーフィングなど、大手だけでも12社以上。見た目だけで言えば、主に
・工場で見るような「縦葺き」
・スレートと同じ「横葺き」
・瓦の形をした「瓦調」
の3種ですが、細かい部分の加工や処理の仕方が各社で違います。それは見た目や機能だけでなく、品質や保証内容までと各メーカーで独自に開発・設定されているので、商品の数はかなり豊富。選び放題です。
しかし、そんなにたくさんあっても正直どこの何を選べばいいのか、そもそも何がどう違っていいのかわからない…なにやら不安ですよね。
保証や品質の違いは「塗膜の質・特殊加工有無」
たくさんあるガルバリウム鋼板の屋根材ですが、実は違いを大雑把に分けますと
・塗膜の質
・特殊加工の有無
と分けることができ、それぞれの違いで価格や保証期間、耐用年数、メンテナンスコストが異なります。
塗膜の質
錆びにくいとはいえ紫外線にさらされ続けると、10年くらいでも色褪せで見た目が悪くなることもあります。錆びていなくても、見上げた時に気分はあまり良くないですよね。
塗膜は美観だけでなく、メッキの部分を守る役割もございますので、慎重に選びたいものです。
塗膜部分は、ガルバリウム鋼板のメッキによく定着するように調整されているとはいえ、「屋根塗装に使われる塗料」の種類とほぼ同じ。
およそ塗膜の保障期間は10年であることが多く、メンテナンス方法としては10年ごとの塗装が推奨されています。
ですが、フッ素樹脂が「焼き付け」されていると、保障はだいたい20年で設定されていて、塗装なしでも30年は綺麗が長持ちとされています。
フッ素系の塗料で身近なものというと、テフロン加工のフライパンでしょうか。テフロンはフッ素樹脂の別名です。料理を繰り替えしたりゴシゴシ洗ったりしないぶん、表面は長持ちです。
見分け方としましては、塗膜保証の年数や断面図、傷がついてしまった時に使う補修液の成分で分かることもあります。
特殊加工の有無
金属の3大デメリットである「夏場の暑さ」「雨音の大きさ」「劣化による錆び・見た目の悪化」。三つ目に関しては上記の塗膜の質で軽減されますが、残りの二つに関してはそれだけではなかなか避けられません。
ですが、特殊加工によってある程度まで軽減させたガルバリウム鋼板がございます。それが、【断熱材付き】と【石付き】の商品です。
それぞれ文字通り、ガルバリウム鋼板の裏面に断熱材がついているのが「断熱材付き」で、表面に石粒がついているのが「石粒付き」になります。
性能として何が違うか?と言いますと、一般的には「断熱材付き」が断熱性能に優れ、「石粒付き」が雨音の軽減に優れているとされています。
ですが、どちらも断熱性・遮音性に優れた面を持っております。
「断熱材付き」はその厚みで雨の音を吸収してしまいますし、「石粒付き」は表面の石が熱を吸い取ってくれます。ですので、 もしお選びになるなら外観の雰囲気で決めていただいても問題はないでしょう。
ただ、それぞれ注意点はございます。
断熱材付きに関しましては、通常のガルバリウム鋼板と同様に塗膜の質にお気をつけ頂く必要がございます。
石粒付きは表面の石粒が天然石か、もしくはお茶碗と同じで色落ちしません。メーカーによっては品質30年保証と通常のガルバリウム鋼板よりも長く安心できるものも。ただ、アスファルトシングルと同じく表面の石粒がしばらくパラパラと落ちてきてしまう事例もございますので、注意が必要です。
【補足】ジンカリウム鋼板って何?
ガルバリウム鋼板と同じく、「ジンカリウム鋼板」というものも聞いたことがある方もいらっしゃると思います。よく一緒のものとされますが、厳密に言えば若干違います。
ジンカリウム鋼板は、ガルバリウム鋼板のメッキ成分と同じですが比率がほんの少し違う商品になります。
ガルバリウム鋼板…アルミ55.0%+亜鉛43.4%+ケイ素1.6%
ジンカリウム鋼板…アルミ55.0%+亜鉛43.5%+ケイ素1.5%
と、正直パッと見わからないくらいの違いですが、耐久性はガルバリウム鋼板より高いという実験結果も。
ただ、国内で販売されているジンカリウム鋼板は、石粒付きの特殊加工がされているものだけ。逆に、石粒付きの金属屋根材のほとんどはジンカリウム鋼板です。
ガルバリウム鋼板を勧められた時の3つの注意点
過剰な売り文句に注意が必要
冒頭でも少し書かせていただきましたが、「メンテナンス不要で長持ちです」「夏に暑くなりません」「錆びません」といった売り文句は、かなり過剰な売り文句と言えます。
塗膜が劣化してくれば、塗装が必要になるものもございます。風で飛んできた石で大きく傷が…なんて時こともあるので定期的な点検は必要です。「錆びにくい」だけであって、メッキの部分が劣化していけば錆びも発生します
また、遮熱塗料が使われていて暑くなりにくいとはいえ、厚さハガキ2枚分以下の金属。表面に何か塗っても、多少の違いはあれどもやっぱり暑いです。真夏の車のボンネットみたいなものなので…
ただ、上記でもお伝えしましたように、ガルバリウム鋼板の裏に断熱材が貼ってあったり、遮熱工事で施工されているなら暑さは多少軽減されます。
ガルバリウム鋼板でのカバー工法は特別安いわけではない
ガルバリウム鋼板を使ったリフォームでよく勧められる工事がカバー工法。
よく、「元の屋根材を剥がさなくてもいいから工期も短くて費用が安い!」と言われますが、実際のところ葺き替えてもカバー工法でも金額も工期もあまり変わりません。むしろ、葺き替えの方が安いこともございます。
ガルバリウム鋼板は安いように思えて、意外に材料費がかかります。また、取り扱いに気を配らなければならないとして施工費も割高になっているんです。
詳細につきましては、弊社の林が投稿しているこちらの記事の下の方をご覧いただけますと幸いです。
施工は簡単になっているが、依頼するなら雑な扱いをしない業者に
数年前はよく「施工が難しいから技術が必要」言われていました。しかし様々な加工がされている中、見た目や品質の良さだけでなく、簡単に上下左右の噛み合わせられて施工も楽にできる商品が多くなっています。そう言ったことから、マニュアルに沿った施工さえすれば良くなっているので、難易度は低くなっています。
ですが、傷がついてしまわないよう取り扱いには十分注意が必要です。雑に取り扱って平気で傷をつけたり、施工したところを踏んで凹ませたりしてしまう業者さんもいらっしゃいます。
普通、誤って傷がついてしまったらその部分を補修液でカバーするのですが、それすら使わないなんてことも。車だって傷ついたらすぐ塗り直しますよね。錆びにくいとはいえ、それが錆びの原因になることには変わりません。
すべての人にガルバリウム鋼板というわけではない
今でも改良され続けている金属、ガルバリウム鋼板。次世代型の屋根材として注目されていますが、お客様の全てにおいてガルバリウム鋼板にすべきかというとそうではございません。
「あと20年くらい保ってくれればいい」「瓦屋根まで手が届かないけど、メンテナンスはできるだけ抑えたい」など、お客様の住まい方によってはオススメできる屋根材ではあります。
ですが、注意点でもお伝えしましたように、製品自体だけでなく施工業者にもまだ改善すべき点があります。屋根材だけでなく業者さんの選び方にも注意した方がいいでしょう。
「屋根は本当にこれでいいのかな」と言った疑問や不安がございましたら、お気軽にご相談くださいね。
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【一言】 いきなり寒くなってきた…なにこれ…
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