瓦屋根にお住まいの方必見! 土葺き工法と引掛け桟瓦葺き工法の見分け方

今すぐのご相談はこちらから

お問い合わせはこちら

ー教えて屋根屋さん! 第125回ー

 

我が家の瓦屋根は、土葺き工法? 引掛け桟瓦葺き工法?

建設業界など、屋根に関連する仕事に就いている人ならば、瓦屋根をつくるのにも色々な工法があることはご存知だと思います。
瓦屋根の中でも、とくに代表的なのが「土葺き工法」と「引掛け桟瓦葺き工法」です。
ここでは、そんな2つの違いや、見分け方をお伝えします。

 

“土葺き工法”と“引掛け桟瓦葺き工法”の違いとは

まず、土葺き工法、引掛け桟瓦葺き工法とは何か、それぞれの違いを解説します。

 

土葺き工法
下地の上に杉皮などの下葺き材を張り、その上に粘土を乗せ、瓦を葺く工法。日本古来の工法であるが、下地の上に土を敷くため屋根が重くなるのが難点。

 

引掛け桟瓦葺き工法
桟木を下地に打ち付け、そこに瓦を引っ掛けて釘で固定する工法。土葺き工法に比べて、重さが半分程度になるため、現在主流となっている。

 

テレビなどで、地震の際に、瓦屋根が土と一緒に雪崩を起こしている映像を見たことはないでしょうか?
そう、あれは固定材として土を利用している「土葺き工法」にて起こる現象です。
「もし我が家でもあのような事態が起こったら……」と思うと不安ですよね。
では、我が家の瓦屋根が“土葺き工法”か否か、どうやったら調べられるのでしょうか?

 

1.築年数で判断する

一般の人が「土葺きか否か」を判断する一番簡単な目安が、築年数でしょう。
一概に「何年以上前の家は土葺きです」と断言するのは難しいですが、一応築50年以上の家は土葺きの可能性が高いと覚えておいてください。
また個人的には、お寺が多いエリアや瓦の産地になっている場所のほうが土葺き工法が多い印象があります。

 

逆に、1981年(昭和56年)6月1日以降に建設された家は、土葺き工法以外が用いられていることが多いです。
というのも、この日は新耐震基準の制定日。
耐震基準の改正により、より地震に耐えられる強固な建築物の建造を業者は求められるようになりました。

 

具体的に何が変わったかというと、屋根に関しては、「屋根を重くするなら、壁の強度をもっと増やしなさい!」と言われるようになったのです。
屋根の重さのランクは、

 

○非常に重い→瓦葺き(葺き土あり)など
○重い→瓦葺き(葺き土なし)など
○軽い→スレート、鉄板かわら棒葺きなど

 

となっていて、ご覧の通り、土葺き工法の瓦屋根は「非常に重い」に分類されています。
そのため、壁の強度も高めなくてはならず、その分技術も要求され、建設費用も高くなってしまうのです。

 

以来、積極的に重い屋根を採用する建設業者は減っていきました。
同時に、技術的に難しいこともあり、土葺き工法を採用する工務店はほぼなくなりました。
あるとしたら、重要文化財や国宝など、旧工事法を保存しなくてはならない建造物だけで、一般住宅で見かけることはほとんどありません。

 

2.屋根裏に上ってみる

築50年以上の家の場合、屋根裏の状況確認ができるよう、押し入れの天井板が外れる部屋が1つあるはずです。
今でいう、屋根裏の点検口ですね。
そこから懐中電灯などで照らしてみて、屋根裏や屋根面に、パサパサとささくれ立っているものがあったり、光が漏れていたりしたら土葺きの可能性が高いです。

 

というのも、土葺きの下地によく使われているのが、木の皮。
檜皮葺(ひわだぶき)のように、今でいう防水紙の代わりに、木の板を短い間隔で張っていく工法の屋根がありますが、それはほぼ土葺きとセットで使われていました。
そのため、下地として木の皮が使われていたら、土葺きかもしれません。

 

工法を見極めるより、大事なことは……

“土葺き工法”か“引掛け桟瓦葺き工法”か見分け方をお伝えしてきましたが、この情報を知りたい方が最も気にしていることは、地震対策ではないでしょうか?
そういう観点から見てみると、土葺きであろうと、引掛け桟であろうと1981年以前の旧耐震基準で建てられて家はすべて地震で倒壊する危険性が高いです
そのため、「築40年だから我が家は大丈夫」ということではありません。

 

もし地震が来たとき、我が家は耐えられるか心配だという人は、リフォームするときでかまいませんので耐震診断を受けることをおすすめします。

 

 

次回は、「理想的な屋根リフォームの方法は? リフォームの種類と特長を教えて!」についてお話しいたします。

 

「教えて、屋根屋さん!」の連載記事の目次はこちら。

 

お電話でのお問合わせは03-3785-1616まで!

 


創業75年、屋根専門石川商店の三代目。20141125_profile_01
石川弘樹(いしかわひろき)です。

【資格】  1級かわらぶき技能士
      瓦屋根工事技士
      全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士
      全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師
      耐震プランナー
      増改築相談員
      古民家鑑定士
      ホームインスペクター(住宅診断士)
      ジュニアリフォームソムリエ
      リフォームスタイリスト1級
      リフォーム提案士
      ライフスタイルプランナー
【趣味】  ワンピース(マンガ)
【目標】  2級建築士
      瓦割り世界大会初代チャンピオン
【ブーム】 ブラッククローバー
【困り事】 いくら寝ても眠い

DIYで作った個人ブログはじめました。
37歳おっさんが残りの半生での日々のチャレンジを綴っています。
http://hiroki-ishikawa.info


この投稿は役に立ちましたか? 役に立った 役に立たなかった 9 人中 9 人がこの 投稿 は役に立ったと言っています。

石川商店からのお願い

記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。

お客様の率直な感想をいただくため「役にたった」「役に立たなかった」ボタンを設置しました。

また、もしもっと知りたいこと、分かりづらかったことなどあれば下のコメント欄にご意見いただければと思います。

日々屋根にお困りのお客様にとって必要な情報をお伝えするために、ご参考にさせて頂きます。

お客様からのコメント

よりお客様のお困りごとに応えられるようコメント欄を開放しました。
質問や感想やご意見をお待ちしております!

コメントはこちらへおねがいします。

オススメ記事

この記事を読んだ人にオススメの記事