本記事はインタビューを記事化したものです。
本記事の目次
屋根材別雨漏りの原因解説【スレート】
- 根本的に雨漏りが発生する原因は大きく二つあります。一つは屋根そのものの形で、形状によって雨漏りしやすい場所があること、もう一つは防水シートの劣化です。これらはどの屋根材でも共通しているので、プロが屋根を点検する時は形状によって雨漏りが発生しやすい場所や、防水シートの劣化度合いをチェックします。スレート屋根の場合、他にも考えられる原因を石川さんに聞きました。
石川:スレート屋根で雨漏りしやすい原因は、屋根塗装をした後の目地切りや縁切りができていない時です。隙間がくっついて水がぬけなくなってしまい逆流して雨漏りする現象が起こります。
ペンキを塗って乾いて固まると膜みたいになるんですけど、屋根全体が膜で覆われてしまうと水の抜け道がなくなってしまって水が入るんですよ。屋根材の横のつなぎ目から入ったり、屋根材のてっぺんの棟際から屋根材の裏側に水がまわったりします。
特にスレート屋根の場合は、重なって塗装すると重なり部分に膜ができて塞がってしまいます。本来は水が流れる形状になっていますが、膜のせいで閉じてしまっているので水が防水シートの上にまわってしまうんです。防水シートには釘がたくさん打ってあるのでその釘穴や、防水シートの劣化しているところから雨漏りするということが考えられます。あとは隅棟(すみむね)という箇所があって、その部分の施工が悪いと防水シートが劣化しそこから雨漏りします。
このようなケースの対策としては二つあって、プラスチックの板みたいなのを差し込んでから塗装するパターンと、塗装して固まった後にくっついているところを剥がす目地切りや縁切りをするパターンのどちらかです。
屋根材別雨漏りの原因解説【瓦】
- 続いて瓦です。瓦は意外にもピンポイントの衝撃に弱く、稀に割れていることがあるということでした。あと漆喰については、塗り直しの金額が極端に安い業者さんには気をつけた方がいいですね。
石川:一番単純な原因は瓦が割れていることです。割れ方によってすぐに雨漏りしてしまいます。瓦は風化には強くて頑丈ではあるんですけど、強化ガラスみたいにピンポイントな衝撃に弱いんです。ちょっとした石とかでも割れることがあって、築30~40年経っている家だと防水シートも劣化しているので、そこから水が入るとひどい雨漏りになってしまいます。
あとは漆喰を塗り直した時です。作業する人が古い漆喰を剥がして同じように施工してくれればいいのですが、剥がさずに上から重ね塗りすると漆喰が分厚くなります。そうすると見た目には綺麗になるんですが雨漏りしてしまうんです。水が入らないようにするという鉄則があるのですが、それをよくわかっていないままやってしまうと雨漏りにつながります。
専門の屋根屋がやる時は大丈夫ですが、中にはよくわかっていないのに漆喰を塗ってしまう業者さんもあるんですよ。その目的は大きな工事が欲しいからです。
瓦屋根の工事は大がかりなものだと200~300万かかります。その工事がしたいがために、漆喰を無料で塗りますとか5,000円ぐらいで塗りますとかいってくるんですよ。そして塗り方もよくわからずに重ね塗りとかするから雨漏りします。そうなると塗り直しではなく、「もう工事しないとだめですね」といって大きな工事をする。漆喰はそのための餌まきのようにする人がいるんです。
うちは工事店ですけど問屋としての機能もあるので、屋根用の漆喰を買いに来る人がいます。でも基本的に一元様には売らないようにしているんです。なぜなら、漆喰だけを買いに来る人の大半が、先ほど話したやり方で使うために買いに来るからです。
屋根材別雨漏りの原因解説【アスファルトシングル】
- 続いてアスファルトシングルです。まだ、それほど目立った雨漏りの事例がないようですが、屋根材をくっつけるセメントと塗装に使う塗料の扱いによって雨漏りすることがあるようです。
石川:アスファルトシングルが使われている屋根自体が少ないので、あまり雨漏りしている場面に出会ったことはないですが唯一あったのは塗装です。
アスファルトシングルは屋根材同士の間をセメントでくっつけるのですが、全部の面がくっつかないように点づけして水がぬけるようにします。ですが、塗装した時の塗料で全部がくっついちゃうと、水がぬけなくなって雨漏りするんですね。なので、塗装した後はしっかり目地切りしないと雨漏りしてしまうんです。
屋根材別雨漏りの原因解説【金属】
- 素材別解説の最後は金属屋根です。金属で注意すべきは軒先部分が弱点で、家の中への雨漏りはしないですが、強風が吹くと屋根がめくり上がる危険性が高まります。築年数が経っている家の場合は、台風シーズン前にメンテナンスをしておくのがいいかもしれませんね。
石川:金属屋根は軒先の先端部分が腐って雨漏りすることがあります。築30年くらい経っている金属屋根だと、軒先が一周ぐるっと腐っているということがあるんです。ただ、先端部分なので、水が部屋の中に入ってくることはあまりなく、腐っていたとしても家の構造自体にそこまで影響はありません。
先端部分が腐っていると、強風が吹いた時に屋根がまるごとめくれてしまいます。30~40年経っている金属屋根の軒先を触ると屋根がパカパカ浮くんです。そうなっていると、ほぼ腐っているので危ないですね。
天窓がついている場合の注意点
- 天窓をつけている場合、雨漏りしてしまうのはある程度仕方がないのかもしれません。ただ、その雨漏りしている原因が「パッキンの劣化」によるものであれば、家全体のダメージとしては軽傷です。気づいた時にしっかりと処置をすれば慌てる必要はありません。天窓の特性を理解して適切に対処してください。
石川:取り付けている方角にもよりますが、天窓部分は10~20年くらいで一度雨漏りしますね。そこから先は屋根の防水と一緒で、30年前後で漏る可能性があります。
天窓は屋根に穴を開けて取り付けます。防水の構造としては、木の枠組みと防水シートで水が入らないようにしています。なので、防水シートが劣化すると天窓と屋根の接合部から水が入ってきます。防水シートの劣化がない限りは基本的には水は入らないはずです。
ただ、10~20年での漏れるというのは、天窓のガラスをおさえている縁(ふち)があって、そこに水が入らないようにパッキンが使われています。そのパッキンが劣化すると、ガラスの上から室内に水が入ってしまうんです。紫外線劣化の影響も関係あるので、取り付けている方角によって劣化度合いは変わります。南面だと早い時は10年ぐらいですが、北側だと15~20年くらいですかね。
このパッキンの劣化による雨漏りは、けっこう派手に水が入ってくるんで驚かれます。気がついたら階段に謎の水たまりがあるみたいな感じなので。ただ、ガラスの枠のところだけで起こっている雨漏りなので、雨漏りとしては軽傷なんです。木の枠組みに水が染みることはありますが、家に大ダメージをあたえるような雨漏れではありません。
ずっと放置していると、さすがに枠が腐ってくるので放置はしないで欲しいですが、気づいた時に修繕するというので大丈夫です。
屋根の形状による注意点
- 屋根の形状による雨漏りは、どの屋根材にも共通しています。新築で家を建てる時やリフォームをする時は、屋根の形状として「谷」や「棟違い」がある場合は気をつけましょう。
石川:屋根の形状で雨漏りが起こりやすい箇所は2カ所あって、専門用語でいうと「谷」と「棟違い」という部分です。
「谷」は川底みたいになる箇所があって川底と一緒で水が集まるんです。屋根2面の水を集めて川みたいに流れるので、そこの施工が悪いと水が溢れて漏ってしまうんですね。先端に行けば行くほど水の量が増えるので、一定量をオーバーすると雨漏りします。屋根の形状として「谷」があると、どの屋根材でも雨漏りが起こりやすい場所になります。
「棟違い」は屋根が屋根に突き刺さっている箇所のことで、そこに穴が空いてしまいます。構造上、何をどうか頑張っても穴が空いてしまうので、防水テープを巻くんですけど完全に塞ぐのは難しいんです。
そこが雨漏りするのは多分築15~20年くらい前の家ですね。大手の注文住宅メーカーでも、施工方法が確立されていなかったので。正しい施工のやり方をしていれば漏れにくいですが、いい加減な施工だと新築時から雨漏りしてしまう可能性があります。絶対に雨漏りするわけではありませんが、風向きや雨の量でタイミングが悪いとちょっとした穴に水が入り込んでしまって雨漏りしてしまうんです。
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石川商店ではこれからも日々情報を発信し、お客様の声に耳を傾けていくので、屋根の悩み事はお気軽にご相談ください。
屋根材そのものが原因で雨漏りすることもあれば、形状によっても雨漏りする可能性もあります。根本的に雨漏りする大きな原因は防水シートの劣化です。新築やリフォームの際には、防水シートを良いものに変えてもらうとか、塗装するなら「目地切りをしてくださいね」とか言って対策しておくことも大事ですね。
本記事が雨漏り対策の参考になれば幸いです。
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