本記事の目次
スレート屋根の台風被害
- ● 大型の台風が来たら自宅の屋根は大丈夫だろうか?
- ● スレート屋根ってそんなに耐久性が高くないのかな?
- ● 住んでから数年経つけど一度も点検したことが無いな…。
このような不安を抱えてらっしゃる方が、本記事を読んでいただいているのではないでしょうか。
スレート屋根でどのような被害があるのか、その被害はなぜおこるのか、そして対策はどうすればいいか、ということを順序立てて、お話ししていきます。
まずは被害の実例からご紹介します。
事例1 棟板金が破損、飛散
屋根の破損にもいくつかの種類があり、箇所によって受ける風の影響も違うので被害の差にばらつきがでてきます。
その中でも一番風の影響を受けるのが棟です。屋根の中央部分を1とすると、棟はその5倍影響を受けるため最も被害がでやすい箇所になります。
■ 屋根の部位別の風をうける力
スレート、コロニアルの台風対策。予防のための補修や工事方法と費用 | 石川商店
下地となる貫板(ぬきいた)が腐食して脆くなっているところを、強風で剥がされてしまうというのが原因で、スレート屋根でよく起こる被害です。
棟に限らず風の影響は、高さが高いほど受けやすくなるので、屋根は全体的に台風の被害を受けやすい箇所と言えます。
事例2 テレビアンテナが倒れる
おそらくどのご家庭にもあるテレビアンテナ。このアンテナが強風によって倒れてしまい屋根を傷つけることも。
■ 強風によるアンテナの倒れ
屋根の点検をする際には、アンテナがしっかりと固定されているか確認するといいでしょう。
事例3 屋根材が部分的に剥がれる
築30年を超えたスレート屋根は、棟に限らず、被害にあう可能性が高くなっています。
■ 強風で部分的に剥がれたスレート屋根材
屋根の防水シートの耐用年数が30〜40年ほどで、部分的で軽微な雨の侵入をくりかえすうちに、屋根の下地の木材の強度が弱くなり、屋根材を固定する釘の保持力が弱くなってくるからです。
台風対策で重要なスレート屋根の点検方法
点検方法は大きく2つ。自身で点検するか業者へ依頼するかです。
まずは、自力で点検する方法をご紹介します。
まずこの説明をする際に必ずお伝えしているのは、自身で屋根にあがって点検をするのは、大変危険ですので基本的には推奨はしません。安全対策を行い、2名以上で作業をするといったことは、最低限必要です。
ハシゴを使って点検する場合は、絶対にもうひとりがハシゴを支えた状態で、のぼるようにしてください。
可能な限り安全な方法をとって欲しいので、できればお勧めしたいのは2階の窓やベランダから自撮り棒とスマートフォンを使って、見える範囲で屋根の状態を確認する方法です。
くわしくは、こちらの記事で確認できます。
■ 100均の自撮り棒で安全100円3分。一軒家のDIY屋根点検に最適 | 石川商店
他にも家の構造によっては、1階部分の屋根だけ目視で確認できる場合もあります。
当然2階よりは高さはありませんが、建築基準法の安全の規定では高さ2m以上を「 高所作業 」としています。
つまり建築の専門家でも、高さ2m以上ある1階の屋根から転落すれば大けがするよ、ということです。
できる限り屋根の点検は業者に任せましょう。
むしろ築年数や屋根の素材、立て付けによってどの部分に被害がでそうなのかが、ある程度の経験則から目星がつき点検の質も格段に違います。
台風被害の予防のためとはいえ、自分が怪我をしてしまっては元も子もないので、しっかりと安全に点検を行うのがいいですね。
▼参考記事
台風が来ると危険なスレート屋根の状態2選
僕たちのようなプロが危険視する屋根の状態について簡単にご紹介します。
実際に自分たちで点検をしなくても、危険と判断する状態を知っていただくことで、業者に点検を依頼する際にちゃんと点検してくれる業者かどうか、見極めるヒントになりますので是非知っておいてください。
ひび割れ
スレート屋根において最も多い症状が、ひび割れです。
■ ひび割れしているスレート屋根材
とくに、築15年前後より築浅の家で、ひび割れが多いです。
アスベスト (石綿) の使用が禁止され、スレート屋根材の強度が弱くなったモノが屋根で使われはじめたのが、ちょうどこの頃だからです。
ちなみにひび割れの前症状として、ヘアークラック(髪の毛のように細い筋)というものがあります。
このヘアークラックは、屋根にあがってよく見ても気づかないモノもありますが、新築工事の作業時にすでに「 踏み割れ 」が起こっていて、ひどい時は築数年で、ひび割れまで発達している事例もあります。
当然ひび割れを起こしている箇所は、台風がくると割れてしまったり、剥がれてしやすいです。
浮いている釘がある
前述した症状の事例でも話をした棟ですが、風の影響を最も強く受け破損する可能性が高いということをお伝えしました。
その原因となる理由の一つが、固定している釘が浮いている時です。しっかりと打ち込まれた状態と浮いている状態では固定度合いが全く違います。
■ 棟板金の固定釘の浮き
ここは自主点検は難しい点ですので、しっかり業者に任せた方がいいでしょう。
台風に備えて事前にスレート屋根の補修を
ご紹介したような危険な症状を防ぐためには事前の補修を推奨します。
例えば石川商店の場合は、
- ● 5年おきにひび割れ補修、料金目安1~3万円
- ● 築15年後には棟交換(むねこうかん)、料金目安10~30万
- ● 築30年後には葺き替え(ふきかえ)、料金目安180万
と提案しています。
屋根は家を守ってくれる大切な役割を担っています。状態が悪くなれば雨漏りに繋がってしまうので、このようなメンテナンス費用を、あらかじめ想定しておくのがいいでしょう。
▼詳しくはこちらの記事もご参照ください
スレート屋根の台風対策工事の、業者選びで注意すべき2つの点
実際に、スレート屋根の台風対策工事を依頼するときの、業者選びで注意すべき3つの点をご紹介します。
とにかく「 塗装 」をすすめてくる業者に注意
これは、外壁塗装の会社に多いです。
屋根塗装は、あくまでも美観の回復で、屋根の防水性には悪影響しかありません。
なので、屋根の防水のために塗装するべき、とすすめてくる業者には頼むのはやめましょう。
くわしくは、こちらの記事で確認できます。
■ 屋根塗装すると防水性が悪くなる。屋根塗装のメリット、デメリット | 石川商店
もちろん、塗装屋さんが提携している屋根屋さんに工事を依頼することもあるでしょう。
しっかりした屋根屋さんと、知り合いだといいのですが、そううまくはいかないこともあるでしょう。
それならお客さまご自身で屋根屋さんを探すのが、よいかと思います。
とにかく「 カバー工法 」をすすめてくる業者に注意
これは、リフォーム屋さんや工務店さん、一部の板金・金属専門の屋根屋さんに多いです。
ぼくは、カバー工法がいつでも万能とは思いません。
むしろ、安全を買う以外では、あまり有効ではないとも言えると考えています。
くわしくは、こちらの記事で確認できます。
■ スレート屋根で、カバー工法がむいてない家、葺き替えや部分補修がよい家 | 石川商店
もちろん安全を買う上で、カバー工法以上に合理的なモノもないでしょう。
どんなことにも一長一短ある、ということです。
スレート屋根の台風被害は最小限にできる
ここまでご覧いただきありがとうございました。
本記事の内容をまとめますと、
- ここまでのまとめ!
- 【1】スレート屋根で起こる危険な症状は破損と塗装の剥がれ
- 【2】スレート屋根の自己点検は危険の無い範囲で行うこと
- 【3】台風対策に備えるなら事前に5年ごとに補修点検を行うと良い
- 【4】台風対策の補修工事費用は2万円~
このようになります。
結論としては、一番の台風対策はスレート屋根の特性を知って事前に点検を行うことです。
スレート屋根にされていて、一度も点検をしたことが無いという方は安心/安全のためにもこれを機に検討してみてください。
もし近くに業者さんがいない、と言う場合は僕が全国どこからのご相談でも受け付けております。
実際に工事にいけないようエリアからのご相談でも喜んで対応します。屋根の困りごとで少しでもお役に立てるのであれば、僕にとっても嬉しいので。
台風が年々強まる傾向の今、具体的な対策を検討してもよいのではないでしょうか。
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- 創業75年、屋根専門石川商店の三代目。石川弘樹(いしかわひろき)です。
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- 禁煙2009年〜、禁酒2017年1月〜、筋トレ2018年6月〜、禁チョコ爆食い2018年12月〜、ダイエット2019年1月〜、ストレッチ2020年1月〜
- 【資格】
- 1級かわらぶき技能士、瓦屋根工事技士、全日本瓦工事業連盟認定 瓦屋根診断士、全日本瓦工事業連盟認定 耐震化講師、耐震プランナー、増改築相談員、古民家鑑定士、ホームインスペクター(住宅診断士)、ジュニアリフォームソムリエ、リフォームスタイリスト1級、リフォーム提案士、ライフスタイルプランナー
- 【趣味】
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屋根で損する人をゼロにしたい、屋根屋の三代目です。
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