本記事の目次
【屋根修理】実は知らない人が多い?!日本瓦(和型)の正しい修理方法
悪質なリフォーム詐欺から、大切なご自宅の屋根を守るためには、まずご自身で屋根の状況を把握しておくことが、被害にあわないための手段のひとつなのです。
特に築年数が経過している日本瓦の屋根は、このようなリフォーム営業の的になっているのです。
今回は日本瓦の屋根によく見られる不具合と、その修理方法をご紹介したいと思います。
日本瓦の屋根をリフォーム業者がよく指摘すること3つ
日本瓦の屋根を、リフォーム業者がよく指摘することを、3つご紹介します。
「 漆喰がはがれていて、雨漏りしそうです 」
漆喰(しっくい)がはがれるのは、確かに日本瓦の屋根の劣化症状のひとつの「 目印 」 ではあります。
■漆喰のはがれ
ただ漆喰がはがれただけでは、かんたんには雨漏りしません。
そもそも漆喰で防水しているわけではなく、
・瓦の置き方
・防水シート
で、防水しているからです。
くわしくは、こちらの記事で確認できます。
「 瓦がズレて、雨漏りしそうです 」
築30〜40年くらい経っている、日本瓦の屋根の家では、本当に瓦がズレていれば、すでに雨漏りして、室内で気付くはずです。
こう言われた場合は、念のため、その業者を絶対に屋根に上げてはいけません。
悪質な業者の場合、何もなっていない屋根に上がって、自分で瓦を崩したり、ズラしたりした後に、写真を撮って見せたり、この瓦が落ちてました、と瓦を持ってくる業者もいます。
そんな大袈裟な、、、と思った方、これ決して少なくありません。
つい先日もこういった事例がありました。
■悪質業者が、屋根に上がって壊した跡
台風、地震対策に、瓦を接着剤で固定しましょう
「 ラバーロック 」 とか、「 瓦止め 」 とか、「 ボンド止め 」 とか言われる、接着剤で瓦をくっつける工事を、台風や地震対策として、すすめられることも多いです。
■ラバーロック工事がされた日本瓦の屋根
ただこのラバーロック工事、あとで紹介するちゃんとした日本瓦の台風、地震対策の工事と比べて、安くできるのですが、肝心の効果がないことが、実験で証明されています。
くわしくは、こちらの記事で確認できます。
とはいえ、「 瓦だからなにもしなくていい 」 なんて思われている方、これが大きな間違いの第一歩なのです。
築20年を超えた実際の瓦屋根の様子をご覧いただきます。
つづいて日本瓦の屋根の、劣化症状を見てみましょう。
まずは屋根の全景から...こちらは日本瓦(和型)、色は銀黒です。
■日本瓦の屋根 全景
パッと見は、特に問題がないように見えますね。
しかし屋根の上に「 なぞの塊 」 が、あちこちに、
■「 なぞの塊 」
この塊の正体は「 漆喰 しっくい 」 と呼ばれるもので、主に本棟や隅棟部分を仕上げるときに使用されるものです。
漆喰が剥がれ中の土が見えていますが、これは経年劣化で表面の漆喰が剥がれ落ち「 荒木田土 あらきだつち 」 という粘土質の土が、崩れているのです。
この状態のまま放置しておくと、瓦の重みで水が逆流するようになり、内部に雨水が滲みこんでしまい、いずれは雨漏りしてしまいます。
このような症状に目を付けるのが冒頭に申し上げた「 悪質リフォーム業者 」 です。
「漆喰が剥がれていますから、塗り直さないと大変なことになりますよ」 など、不安を煽って、すぐにでも工事をする勢いで話をしてきます。
たしかに部分的な修理として「 漆喰の塗り直し 」 を行う場合があります。
しかし、大きな地震等の影響により、棟が大きく歪んでしまったり、積んである「のし瓦」が飛び出している場合、「 漆喰の塗り直し 」 などで修理しても根本的な解決にはならないのです。
そこで、日本瓦の屋根の棟の修理としては、、既存の棟瓦を一度解体し、再度積み直す「 棟の取り直し工事 」が必要となります。
また、台風や地震対策としては、「 葺き直し 」 「 葺き替え 」 といった工事が必要になります。
震災や台風など自然災害による屋根への被害
日本は「地震大国」とも言われています。
また昨今の大型台風の上陸により、屋根に甚大な被害が生じているのも事実です。
以下の写真は全て自然災害による屋根の被害です。
■台風被害の実例 築40年
こちらは台風の強風によって、屋根の傍にある木の枝が屋根にダメージを与えてしまい、棟が崩れてしまった様子です。(築約40年)
■台風被害の実例 築20年
こちらも台風の影響により、棟(隅棟)が飛散し崩れてしまった様子です。(築約20年)
■地震被害の実例
こちらは地震によって崩れた棟の様子です。(築約40年)
台風、地震に強い屋根への改修工事
日本瓦(和型)の屋根の棟部分の補修(修理)の代表的な工事が「 棟取り直し工事 」 です。
これは既存の本棟及び隅棟を一度解体し再度積み直す工事なのですが、来るべき震災に備えるために、今は「 耐震化工事 」 を行うのが、屋根業界の常識なのです。
この施工方法は、リフォーム業者さんや屋根工事を大々的に宣伝している集客サイトの工事業者さんでは絶対に施工できない工事です。
【棟の修理】のし積み工法
既存の瓦を再利用し棟を取り直す工事です。
下地には「 耐震棟金具 」 と「 鉄筋 」 を使用します。
■耐震金具
【棟の修理】7寸丸を使用した「一本伏せ工法」
「 のし積み工法 」 ではなく「 7寸丸 」 という棟瓦を使用した棟の取り直し工事です。
既存の棟を撤去後、棟金具を施工し防腐処理済みの垂木を設置、棟瓦をステンレスビスによって固定する施工方法です。
【屋根全体の修理】葺き直し、葺き替え
屋根全体を、台風や地震に強くするためには、葺き直しや葺き替えといった工事をして、最新の工事方法に変えるしか、方法はありません。
費用はそれなりに掛かりますが、今、最新工法で工事すれば、全体としては60年は保つので、長く住むということであれば、必要な工事です。
その工事方法は「 ガイドライン工法 」 という工事方法で、阪神大震災と同等の地震への強度を得るために、釘を止める本数のルールや、棟部分の工事の方法が決められています。
それぞれの工事方法の詳細や費用は、こちらの記事で確認できます。
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屋根専門75年 石川商店
林 洋道(はやし ひろみち)です
【趣味】鉄道写真、旅行、F1チームのウェア集め、西部警察、ネコ
【特技】洗車、タイヤ交換、他クルマのメンテナンス
【最近】鉄道の写真撮影に目覚めたかも...
【出身地】鳥取県米子市
屋根専門石川商店HP:riverstone-roofing.com
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[特技]スーツで点検
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林洋道様
私宅の場合棟に積んだ瓦の一部が割れたり脱落し、漆喰も傷んだ箇所があります。さらに屋根の両端の瓦が、軒に近い部分でずり落ち、特に7寸丸がずっています。70歳で後に住む人もいないので、ずり落ちた部分と棟だけを下地の板と防水シート、瓦を葺き替えたいです。もとの瓦は製造を終え、代替品がないそうですが、部分的に新しい仕様の瓦でふき替えて使えるものでしょうか、教えて下さい。
匿名さま
石川商店の石川弘樹です。
林の代筆で、失礼いたします。
棟の部分だけを、新しい瓦でやり直すのは、おそらく可能です。
ただ、屋根の途中から、違う瓦にするというのは、少し工夫がいりそうです。
そのあたりは実際に、見てみないとなんとも言えないというのが、正直なところです。